ADの1日のスケジュールは? ロケまでの流れとともにADのお仕事内容を徹底解説!

学生や就活生から「ADさんの1日のスケジュールを教えて下さい!」という質問をよくされます。ただ、ADという仕事は決まったルーティーン作業が少なく、ロケや収録に向けて毎日変動的な業務内容になります。なので、今回はADのロケ...


この記事は約11分で読み終わります。

学生や就活生から「ADさんの1日のスケジュールを教えて下さい!」という質問をよくされます。ただ、ADという仕事は決まったルーティーン作業が少なく、ロケや収録に向けて毎日変動的な業務内容になります。なので、今回はADのロケまでのスケジュールを、忙しい度合いとともにご紹介していこうと思います!
まず、ロケに関しては、ネタが決まってからロケまで約1ヶ月を要します。実際ADはどんなことをしているのか、1日の大まかなスケジュールと共にお伝えします。
これからADになる方やADってどんなことをしているのかよくわからないという方は、この記事を読んで知ってもらえると参考になるかと思います!

<リサーチ期間>

ロケネタ決定前 忙しい度★☆☆☆☆

新しいネタが決まるまでは、新ネタ会議をしたり、リサーチがメインになります。
この期間は一番落ち着いてる期間と言えるでしょう。
番組にもよりますが、この業界は基本的に始業時間が遅いので、11時〜12時に出社して19時頃に退社するイメージです。
ロケ場所をリサーチしたり、会議でロケ内容を話し合ったりといった業務内容が多く、デスクワークがメインの期間になります。
また、ロケ場所のリサーチの際に予め、ロケ先の担当の方には電話でテレビの撮影をしたい旨を伝えて可能かどうか伺っておきましょう
ロケ場所を決める会議で、場所を決めてから「テレビ撮影NGでした」では会議が無駄になってしまいます。
この期間が一番予定を立てやすいので、仕事終わりに同期とご飯に行ったり、土日にお友達と遊んだりとプライベートの時間も充実させることができます。

<仕込み期間>

ロケ内容決定 忙しい度★★☆☆☆

 

ロケの内容が決まれば、ここから本格的にロケ準備に向けて始動していきます。
この期間も変わらず11時〜12時出社、19時〜20時退勤といったイメージですが、やることが少しずつ増えていきます。

リサーチ段階の時とは変わって、ロケ先への電話掛けや技術・美術・車両とのスケジュール合わせ、買い出しなどマルチタスクが必要になっていきます。

 まず、事前にリサーチしていたロケ場所の中からロケ内容に適した場所を会議で話し合います。この時、できる限りたくさん候補を挙げられるようしっかりリサーチをしておきましょう。

ロケ場所が決まれば、ロケ先の担当の方や技術・美術・車両に、ロケ場所・ロケ可能日・ロケ内容などのロケ詳細をメールや電話を通じて連絡をします。
そして、ロケに必要な買い出しなどもこの期間から進めていきます。ロケ日までに必要な備品や小道具が揃わない、届かないということが起こらないように、余裕を持って早めに買い揃えておきましょう。
この期間もまだプライベートの時間は確保できます。

 ロケ準備大詰め 忙しい度★★★☆☆

 ロケ日・ロケ場所・ロケ内容全て決定したら、ここからは大詰めです。
この期間は日によっては朝8時や9時頃から始業し、遅い時は終電近くまで働くこともあります。
ここからは番組のジャンルによって業務内容は変わりますが、一般人にインタビューが必要な番組であれば“街録”というものが始まります。
朝から夜までとにかくひたすら声をかけてインタビューをさせてもらいます。上手くいけば、あっという間に時間が過ぎますが、なかなか答えてもらえず上手くいかない時もあります。その時は驚くほど時間が経ちません。めげずに頑張りましょう。

街録が終わると、会社に戻りその日のインタビュー内容をまとめたり、ディレクターにデータを渡したりと作業は続きます。
また、街録は1日だけでなく何日も行うことが多いため、次の日の準備も会社に戻ってから行います。

ドッキリ系の番組であれば、“シミュレーション”というものを行います。
本当にそのドッキリが行えるのか、安全なのか、面白いのかというものを実際にスタッフが試します。
どの方法で行うのが一番面白いのかも検証できるように、様々なパターンを事前に用意しておきシミュレーションを行います。

ロケの週 忙しい度★★★★☆

ロケに向けて最終準備を行う期間。かなり忙しくなります。
ここではロケに必要な資料作りをしていきます。
まず、ロケスケジュール。ロケ場所到着時間、演者さんの入り時間、撮影時間など分単位で細かく作成します。このスケジュールをもとにロケが動いていくのでかなり重要な資料になります。間違いがないよう最後まで何度も確認します。

続いて車両表。こちらもロケ車両の動きを記載したとても大切な資料の一つです。
ここに記載している時間にミスがあるとロケがスケジュール通り進まなくなってしまったり、演者さんを待たせてしまったりということになってしまうので大変です。ロケ終わり時間から逆算して時間・場所ともにミスのないように作成します。

次に香盤表です。こちらは制作スタッフ一人一人の担務表のようなものです。担務に抜けがないように、各スタッフ動きに無駄がないように考え記載していきます。

以上がロケに必要なおおまかな資料になります。
どの資料もロケを円滑に進めるための大切な資料になるので、ミスや抜けがないよう時間をかけて作成します。

 これらの資料作成が終われば、ロケに参加する制作スタッフ全員で、ロケ当日の流れや担務の説明を行う打ち合わせ(ロケ打ち)を開きます。
一人一人にきっちりロケの流れを理解してもらえるよう丁寧に説明していきます。

資料作成のほかに、ロケに必要な買い出しの最終確認などもこの期間に行います。
この期間のプライベートの時間はほぼ無いと覚悟しておくと良いでしょう。

ロケ前日 忙しい度★★★★★

ロケ前日は1泊泊まるセットを持ってきておきましょう。基本的に帰れないことがほとんどです。
前日は、資料の印刷・カンペ作り・制作グッズの準備・カメラのセッティングなどを行なっていきます。
前日になるとディレクターや作家さんからロケ台本が上がってくるのでそれを元にカンペ作りを行います。演者さんが見やすいように字の大きさ、改行の場所などを意識して作ります。

次に制作グッズの準備を行います。養生テープやペン(プロッキー)はもちろんですが、ウェットティッシュや飲み物など演者さんが使用するものに関しては特に抜けがないよう注意して準備しましょう。これ必要かな?と迷った時は入れておくことをオススメします。

そしてカメラのセッティングです。
ロケの際は技術さんがきてくださるので、制作がカメラを持っていかなくて良い場合もありますが、時に必要な場合もあります。その際はいつでも撮影を開始できるようにセッティングをします。それに加え、バッテリーが満タンになっているか、予備も用意してあるかの確認や、レンズを綺麗に拭くなどの準備もしておきましょう。

最後に、作成していたロケ資料・台本をスタッフ分+10部ほど印刷すれば準備OK。

<本番当日>

ロケ当日 忙しい度★★★★★

積み込み
ロケ当日に一番最初にすることは車両への荷物の積み込みです。
ロケ車両は事前に伝えた時間、場所に待機していてくれるので、ドライバーさんに自分の番組の車両で間違いないか確認し、挨拶をして前日に準備した持ち物を忘れ物がないように車両に積み込みます。
(レギュラー番組などだと毎回同じドライバーさんで顔馴染みになることもあります。)
資料はディレクターなどにすぐ渡せるようにすぐ出せるところに置いておくか、ADが持っている方が良いです。

忘れ物がないか、車両に乗り遅れているスタッフがいないかなど最終確認し、ドライバーさんに出発できることを伝えたらいよいよロケ先に向かいます。
プロデューサー、ディレクターなどは自宅から直接ロケ先まで向かうことも多いのでロケ車両に乗り込むスタッフを事前に確認しておくことがおすすめです。

ロケ先に到着したら、ロケに向けて各所準備をしていきます。

セッティング
ロケ場所のセッティングは技術スタッフがカメラをセットしたり、カンペ、撮影に必要な小物などを置いたりと撮影がスムーズに進むように準備していきます。

控室は番組やロケの形態によって、ホテルやレンタル会議室などを借りて制作スタッフや演者さんの控室を作る場合、ロケ車両を控室として使う場合など様々です。
会議室などがある場合は車両から荷物を降ろし、車両の場合は各車両に移動させるなどしてそれぞれ準備をします。(資料や必要なものをわかりやすく置いておくなど)

また、ロケ弁が届くこともあるので、それぞれの控室に必要な数ずつ分けて入れておきます。この時、それぞれの車両のドライバーさん、別車両で来る技術スタッフとドライバーさんにも忘れずにお渡ししましょう。

技術打ち合わせ

技術打ち合わせ(技打ち)とは技術スタッフと制作スタッフがロケの流れやどういう風に撮って欲しいかなどよりロケがスムーズになるように打ち合わせをすることです。
この場面では演者の表情を中心に撮って欲しいなど、ディレクターがイメージしている画を技術に伝えるなどして意見を擦り合わせていきます。
技術スタッフとディレクターだけでサクッと行う場合もありますが、ADも同席することが多いです。

演者打ち合わせ
演者さんが入ったらメイクなど準備をしている合間や終わってから少し時間をもらって、ロケの流れなどを説明します。
演者打ちはプロデューサーかディレクターが行う場合が
ほとんどです。

ロケ本番
ロケ本番はディレクターのそばにいて、カンペやペンを渡したり、指示されたことを行う
などサポートします。
また、街ブラロケや外ロケの場合は一般の方の邪魔にならないように
誘導したり、盗撮などを禁止する看板を持って声をかけたりすることもあります。

ロケ先のバラシ
ロケ先の荷物を全て撤収します。
控室などを借りている場合はゴミなどもしっかり持ち帰り、現場復帰します。

デジタイズ

ロケが終わったらすぐに撮影した素材をディレクターが編集できるように変換します。この時、AD用にもハードディスクを作っておくとPRなどを作成する際、便利です。

ロケ荷物のバラシ

ロケから帰ってきたら使った荷物、カメラなどを全て片付けます。とてつもなく疲れた状態で行うのでロケで、使用する小道具などが多い番組ほど大変な作業になります。

番外編

編集期間(サブ出し前) 忙しい度★★★★★

ロケが終わると、次は編集に入ります。
ロケ終了後から編集までは時間があるので、この期間にしっかり休むことができるので安心してください。(まれに「撮って出し」と言って、ロケからOAまで時間がないこともあり、その際はロケから繋がりで作業が必要になるので大変です💦ですが、その分、OAまで終わったときの達成感も大きいです✨)

収録時にロケの映像(まだ放送用ではないもの)を見せることをサブ出しと呼びます。
サブ出しの編集は平均2日〜3日。ADはナレーション原稿の作成・必要な映像や写真を準備したりと、編集に入る前から少しづつ動き出します。
準備期間中は局に泊まるほど忙しくはありませんが、編集が開始するとその期間は基本的にずっと編集所に籠っているイメージです。
ちなみに、1日の編集所の稼働時間は10:00〜34:00(午前10時)
他の業界では絶対に耳にしない時間ですよね。テレビ業界に入ると、よくこの時間を言われるので覚えておきましょう!

編集所内では編集マン(エディターさん)が編集を行うため、ADが編集を行うわけではありませんが、必要な素材を準備したり、テロップの位置などを確認したり、ご飯を注文したりと仕事はたくさんあります。
ここではADがどれだけ臨機応変に動けるか、エディターさんからの質問やお願いにどれだけ迅速に対応できるかが肝になるので、素早く動けるように意識しておくことをオススメします。

収録日 忙しい度★★★☆☆

サブ出しの編集が終わればそのまま収録に向かいます。
(基本的にサブ出しの編集は収録日前日まで行っています💦)

カンペの準備や、演者さんの飲む水の準備、スタジオの準備などを朝行い、その後スタッフの打ち合わせ、カメリハが終われば収録開始です。

収録中は演者さんが話しやすい空気を作れるように、いつもよりリアクションを大きくするなどして現場を和ませましょう。
ボケた時や面白いことをした時に大きい声で笑ったりすると、演者さんもやりやすくなります。

また収録中は何が起こるかわからないので、ADバックは必ず持ち、ディレクターから何か指示された時は迅速に動けるようにしておきましょう。

編集期間(本編) 忙しい度★★★★★

収録が終わると本編編集(放送用の映像に編集する)に取り掛かります。
サブ出しのVTRと収録の映像を編集して、テレビで放送される状態の映像を作ります。
演出、コンプライアンスチェック(差別用語を使用していないか、スポンサー等問題ないか、告知のコメントやテロップ表記の間違いがないか)などの確認、使用している素材の許可取りをしたのち、編集箱での編集作業、ナレーション撮り、整音をしていきます。そして、最後に担当回に関わるスタッフ全員でMIX(編集した画と音をつなぎ合わせて調整する)をして、そこで発覚した直しを最終的に修正し、納品するディスクにコピーをしたら終了です。

まとめ

今回は、ADさんのロケまでの大まかな流れとざっくりと1日のスケジュールをご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?番組によって色々なパターンがあるので、あくまで一例にはなりますが、かなりの作業が必要ということは伝わったかと思います。
ADのお仕事はきつそう…休みがなさそう…というイメージがある方も多いかもしれません。
もちろんとても忙しい期間もありますが、担当のOA後、ロケ後、収録後など落ち着くタイミングもあるので安心して下さい!
忙しさに波のある仕事ではありますが、この忙しさを乗り越えた先にはとてつもなく大きな達成感があり、スタッフ同士の絆や団結も生まれやすい特別な職業でもあります。
AD興味あるけど休みがなさそうで不安…と思っている方は是非この記事を参考にしてみてくださいね!