テレビロケとは?
ロケとは、テレビ局のスタジオではなく、屋外・野外で行う撮影のことを指します。
一口にロケといっても、
街録インタビューやインサート撮影などの小規模なものから、
宿泊を伴う地方での旅ロケのような大きなものまで様々です。
普段はなかなか訪れることのない様々なところへ行くことが出来たり、
テレビ番組の取材という理由で、普段は入ることができない場所に
入らせてもらえることもあるのがロケの魅力です。
テレビロケを行うには?
ロケを行う際には、事前の準備がとても大切です。
その多くはADさんが中心となって進めていきます。
今回は、ロケに際して必要な仕込みから撮影当日の作業、
収録後のデータ化までの流れを【前編】・【後編】に分けて徹底解説します!
【前編】では、ロケ先の仕込みからロケハンまでの流れを紹介していきます!
ロケ先の撮影許可を取る
ロケ先が決まったら、まずは各所に『撮影許可』をもらう必要があります。
<番組企画書>や<ロケ概要書>を作成し、それをもとに各所へ連絡をして、
撮影許可をもらいます。
電話やメールで連絡する場合もあれば、挨拶を兼ねて直接各所へ行くこともあります。
また、ロケ先がお店の場合には、商店街等に加盟していないか確認をして、
加盟している場合には、その加盟先にも撮影許可をもらいます。
さらに、電車移動、バス移動なども撮影する場合には、
各鉄道会社やバス会社からの撮影許可も必要です。
その他、ドローン等特殊撮影を行う場合には、各地方自治体、土地の管理者、
管轄の警察署、観光協会にも許可取りが必要になります。
撮影当日や事後にトラブルを起こさないためにも、細かいところまで確認し、
各所に撮影許可をもらっておくことはロケを行う上でとても大切です!
各所への発注作業
ロケにあたって必要な関係各所へ発注作業を行います。
主に必要になるのは以下の通りです。
【技術発注】
撮影機材の発注
撮影スタッフ(カメラマン、音声、照明等)の手配
撮影が小規模な場合は、カメラ機材のみを発注して、
ディレクターやADでカメラを回したりすることもあります。
【美術発注】
衣装の発注
小道具類(フリップ等)の発注
簡単に作成できるものであれば、費用削減の為に
ADのみで作成したりする場合もあります。
【車両発注】
ロケ車両とドライバーの発注
撮影地ごとに、地元の車両会社に頼むと、
地元の地理に詳しい場合が多く、ロケハンやロケのスムーズな進行に繋がります!
このロケ弁発注、意外と大切で、
ADさんのセンスが問われるお仕事の一つです。
というのも、1日中、野外で稼働し続けるような大変な現場では、
撮影に追われているスケジュールの中で唯一の楽しみはロケ弁!
なんてこともよくあります。
ロケ弁が美味しいと、現場の空気も和やかになるなど良いことだらけです。
決められた予算の中で発注するのはもちろんのこと、
現場にはベテランから若手まで、男女問わず多くのスタッフさんが関わります。
それぞれの好みにも気を配り、
バラエティ豊富なラインナップを意識することが大切です。
そして一番重要なのは、不足なく発注すること!
出演者周りの関係者など、現場に関わる人数をきちんと把握しておかないと
数が足りなくてADの分はコンビニになってしまった…
なんてことになりかねません。
筆者も現場経験者ですが、
単純作業に思われるこのロケ弁発注で苦労しているADさんを数多くみてきました。
現場のモチベーションUPにも繋がる重要な仕事だと意識しておくことが大切です!
ロケハン
ロケ当日の曜日や時間等、なるべく同じ状況で現地の下見を行います。
可能であれば、カメラを回したり、写真を撮ったりして記録します。
最終的には、当日の参考になるようなロケハン資料を作成し、
番組会議などでロケに参加するスタッフ全員に共有します。
チェックポイントは以下の通りです。
【実際の動線確認】
道幅や人通りの程度を確認しておく。
歩いている人の年齢層などもチェックしておき、
当日の混雑状況を予想したり、インタビューが必要な場合の参考にしたりもします。
【当日のシミュレーション】
当日体験するもの、食べるものは実際に体験しておく。
体験にかかる時間や必要になるもの、食べ物の提供時間や内容等を
チェックしておく。
このシミュレーション作業は、当日、安全な撮影を行ううえでとても重要です。
ロケ当日、出演者の方に何か体験をしてもらった際に、
事故が起きてしまうなんていうことがあってはいけません。
激辛料理を食べる、バンジージャンプに挑戦する、珍しい動物に触れるなど
実際にADさんがシミュレーションを行い、
安全にロケをすることができるかきちんと確認した上でロケを行っているのです。
【控え室確認】
近くに出演者用の控え室やメイクルームになりそうな場所があるか確認。
また、姿見やドライヤー、卓上鏡、ハンガーラック、ハンガーなど
当日必要になりそうな備品があるか、借りられるかもチェックしておく。
控え室になりそうな場所がない場合には、
ロケ車両を控室等の代わりにすることもあります。
【電源の確認】
撮影時に使う照明や、撮影した映像をチェックするためのモニター、
出演者のヘアセット用のドライヤー、撮影作業用のPCなど
何かと電源を要する場合が多いので、電源が取れる場所があるか、
コンセントはどこにあるか、延長コードは必要かなどを確認しておく。
その際、一気に電力を使用することになるので、電源の取り口がいくつあるのか、
最大電力数はどれくらいかなどの確認のため、電源盤をみておくことも大切です。
【駐車場の確認】
近隣の駐車場の空き状況や料金などをチェックしておく。
特に、都内でロケの場合には、駐車場がすぐ埋まる傾向があるので、
複数チェックしておきましょう。
また、長時間停めておくことになりそうな場合には、
1日の上限料金を設けているところを選ぶようにすると、
「気づいたらすごい金額になってしまった!」などのピンチを
回避することができます。
ロケハンで細かいところまで撮影した写真があれば、
それを資料に入れ込むことで、行っていないスタッフにも場所の詳細が伝わり、
当日のスムーズな撮影進行に繋がります!
まとめ
今回は、テレビロケにあたり、ADさんの仕事内容の【前編】として
ロケ先の仕込みからロケハンについて紹介しましたがいかがでしたでしょうか。
一日で終わるロケでも、
その仕込みや準備は意外と大変だということがお分かり頂けたかと思います。
スムーズなロケ進行には、事前の念入りな準備とロケハンが欠かせません!
【後編】では、ロケ当日に向けた準備からロケ当日の動き、
ロケ後の編集に向けた必要作業を紹介する予定ですので、
そちらも是非参考にしてみて下さい!