ADを辞めたい理由は?辞めるべきかどうか判断する方法を紹介

多岐にわたる業務を担うADとして働く中で、激務を理由に辞めたいと感じたことがある人は多数いるかと思います。ADはあらゆる雑務をこなす中で、プロデューサーやディレクターとの板挟みになることも少なくない仕事です。しかし、ディレクターへの下積み時代と言われているADの仕事を諦めるべきなのでしょうか。 今回は、ADの仕事を辞めたいと感じる主な理由や、辞めるかどうかの判断基準、転職先に向いている職種を紹介します。


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ADを辞めたいと感じる理由とは

テレビ番組の制作に関わることから、ADは華やかな仕事だと想像する人もいるかもしれません。しかし、実際にADの仕事をしてみると華やかなイメージとのギャップに驚く人もいます。

ここではADを辞めたいと思うようになる主な理由を3つ紹介します。

激務が続くうえ先に昇進する人と差を感じる

テレビ業界でも働き方が見直されるようになり、無理な働き方は改善されつつあります。しかし、収録前やOA前などはどうしても仕事が立て込み、徹夜での作業が必要になることもあるでしょう。スタジオ収録前に泊まり込みで準備することも少なくありません。

編集所での立ち合い業務は交代制にする番組もあるものの、一部の番組に限られるため連勤になることがあります。仕事のペースに慣れず、激務が重なり仕事を辞めたいと感じる人もいるでしょう。

昇進は所属会社や年次はあまり関係なく実力主義で判断され、さらに、ディレクターをはじめポジションは数が限られるため、ADの仕事を頑張っていてもすぐに昇格できるとは限りません。先にディレクターになる人との差を感じ、先が見えない状況が続くとADを辞めたいと思う原因になります。

よく怒られるので精神的につらい

テレビ業界においても理不尽なハラスメントは大幅に減ってきています。とはいえ、怒られたときに理不尽さを感じる場合があります。理由として、ディレクターによって仕事のやり方は異なることが挙げられます。例えば、演出に強いこだわりがあるディレクターの場合、今までの方法で怒られてしまうケースもあるでしょう。

また、限られた制作時間の中で番組を完成させないといけないため、時間にシビアな現場では厳しく怒られることもあるでしょう。怒られることに慣れていなかったり、上手く切り替えられなかったりすると仕事を辞めたいと感じることも当然です。

すぐにはクリエイティブな仕事ができない

ADが担当する業務は多岐にわたります。企画会議の準備や資料印刷、ロケ先のリサーチや企画の発案、街頭インタビューやお弁当の手配など雑務が多く、入社前に描いていたテレビ業界の華やかなイメージとギャップを感じるケースもあるでしょう。また、ディレクターの肩書や技術がないADは、メインの演出に関われません。徐々に上司から認められれば、演出に関わる業務の一部から始めさせてもらえますが、ここに至るまでは地道な努力が必要です。

イメージしていたようなクリエイティブな仕事ができないと、ADの仕事に意義を感じられずに辞めたいと思う人もいます。

ADを辞めるかどうかの判断基準

ADを辞めたいと思う理由には様々ありますが、実際にADを辞める判断基準はどこにあるのでしょうか。

判断基準として重要なのが「映像制作をする人になる」という強い覚悟と勉強する姿勢があるかどうかです。ADの仕事は、ものづくり特有の不規則な生活になるということを理解しておきましょう。それでもテレビや映像が好きで、映像制作の仕事をしたい気持ちがあるなら続けていけるでしょう。

一方、やる気はあっても精神的にもたない人だと、ADの仕事を続けるのが苦しいと感じることもあります。この先、ADの仕事を続ける中で志や覚悟が十分ではないと感じるなら、AD以外の仕事への転職を考えるのも選択肢のひとつです。

ADの転職先の候補になる職種

ADの仕事への適正は人によります。今回取り上げたADを辞めるかどうかの判断基準でADが向いていないと感じたなら、AD以外の仕事を転職先に考えるのも方法のひとつです。ここではADの転職先として考えられる職種を4つ取り上げます。

一般企業の広告宣伝・広報

ADから一般企業の広告宣伝または広報に転職するのも方法のひとつです。

広告宣伝は、広告戦略や予算計画を立て、広告窓口となる仕事です。イベントの企画やメディアへの広告出稿なども担当します。

通常、企業が広告出稿する場合、広告代理店などにクリエイティブな仕事を依頼することが多いです。そのため広告宣伝はどちらかというと企画や調整を担当する仕事といえます。

広報は企業のブランドイメージを上げるためのメディア対応やプレスリリースの作成、自社メディアの制作などを担当する仕事です。企業内外の利害関係者に社内情報を伝える役割を担います。

一般企業の広告宣伝部門や広報に共通するのは、どのように人に関心を持ってもらうかを考える仕事であることです。ADの経験を活かせる面といえます。

なお、広告宣伝や広報は地道な仕事も多く、イメージほど華やかではない面もあるほか、企業外部含めた多くの人と関わりを持つ仕事です。地道な作業も前向きに取り組める人やコミュニケーションを積極的に取れる人に向いた仕事といえるでしょう。

ただし、番組の広報を担当する部署はテレビ局内にあるため、同じ局内でADから広報に転職するのは厳しい点に注意しましょう。

また、番組制作時の縁を頼って広告代理店に転職する方法も現実的ではありません。番組と広告代理店はつながりがあります。しかし、AD個人が広告代理店と接点をもつ機会はほとんどなく、関係者との人脈を作ることは困難です。

そのため広報を目指して転職するのであれば、一般企業の広報がおすすめです。

Web動画制作会社

Web動画制作は、Web番組の制作やWeb広告動画の制作、動画サイトに投稿する動画の企画や制作などを行う仕事です。テレビだけでなく、Webで動画や広告が配信される機会も増えていますので、Web動画制作会社に転職するのも方法として考えられるでしょう。

Web動画制作にも編集を担う仕事やCGなどを使うクリエイター、ディレクターやプロデューサーといった仕事もあります。そのため、映像制作に携われる点においてADの仕事と共通する部分も多いです。

テレビ業界からWeb業界に転職する人も多いため、媒体にこだわらず映像制作に携わりたい人は、Web動画制作会社への転職を検討するのも良いです。

番組制作会社の総合職

ADの番組制作経験を活かして、総合職へ転職するキャリアもあります。

総合職はデスクワークが主となる総務や経理、人事などが挙げられます。体力的な消耗が少なく、さらにAD時代に培ったビジネスマナーや取材交渉などの電話対応スキルが活かせるのも魅力です。ADを2〜3年程度経験していれば、セカンドキャリアの候補に加えるのも良いです。

営業職

営業職は、顧客の欲しい情報や解決策を提供して、最終的には自社のサービスや製品の契約・購入につなげる仕事です。法人向けの法人営業、個人向けの個人営業、新規顧客獲得のための新規営業、定期的に訪問するルート営業、などがあります。

営業職は自ら積極的に動いていかなければならない仕事であるため、ADの仕事を通して自ら率先して動く意識が身についている人に向いた職種といえるでしょう。

また、営業職はADと異なり、サポートメインではなく最前線で会社の利益を獲得していく仕事です。サポート的な役割ではなく、主として仕事を進めていきたい人にも向いているでしょう。

なお、営業職はインセンティブがあるケースも多いため、営業成績次第では収入アップを期待できます。自分の頑張りに対する評価を目に見える形で得たい人にも向いている仕事です。

まとめ

ADを辞めたいと思ったら、まずは辞めたい理由を分析してみましょう。

今回紹介したように、ADから別の仕事に転職するのも選択肢のひとつです。しかし、ADの仕事そのものではなく携わっている番組が合っていない場合もあります。その場合は番組のジャンルや働き方を変える、人が違う現場に異動するなどの手段もあります。

所属する番組を異動することができる派遣会社や制作会社に転職するという方法もあるのでADとして働ける別の道を模索するのも良いかもしれません。