【ADの給料事情】年収は250~500万円
ADの平均年収は250~500万円程度 です。ただし、テレビ局・番組制作会社・派遣会社の3つの雇用形態があり、働き方によって年収に差が出ます。
それでは、ADの給料事情について、もう少し詳しく見てみましょう。
ADの初任給は18~26万円
ADの平均的な初任給は18〜26万円程度です。職場によって金額は多少差が出ます。例えば、日テレ、テレ朝、TBSなどのキー局と地方局を比べると、キー局の初任給のほうが高いといった具合です。
地域によっても初任給の額は異なります。
ADの給料は安い?
ADは給料が安いと思われがちですが、実際はそうではありません。ADの給料は他業種の一般的な初任給と同水準です。
令和4年3月に厚生労働省東京労働局が公表した「学卒者の新任賃金」によると、学歴別求人初任給は次のとおりです。
大卒:210,000円
短大:200,000円
専修:200,000円
高校:180,100円
出典:「学卒者の初任賃金」(東京労働局)
一方、ADは労働環境が悪く、「給与が労働時間に見合わない」というイメージをもっている方もいるのではないでしょうか。近年、働き方改革関連法により、大企業・中小企業のすべてに時間外労働の制限が適用されました。業界全体で働き方の是正が進み、労働時間の増加を防いでいます。
また、リモートを導入している企業も増えてきました。労働環境が改善されつつあるため、給与や働き方を過度に心配する必要はないでしょう。
ADの雇用形態と待遇
ADの雇用形態には、テレビ局・番組制作会社・派遣会社の3つがあり、それぞれで待遇が異なります。ここでは、ADの雇用形態と待遇を見ていきます。
【AD】テレビ局
テレビ局に直接雇用されているため、給料などの待遇は他の雇用形態に比べて充実しているケースが多いです。ADからディレクターへのキャリアアップも比較的早く目指せるので、スピード感をもってキャリア形成したいという方に向いた雇用形態といえます。
一方、希望しない部署への異動があったり、やりたいジャンルと違う番組を担当になったりすることもあります。番組や映像制作はもちろんのこと、テレビ業界のさまざまな仕事をしてみたい人は、テレビ局のADを目指すほうが良いでしょう。
【AD】番組制作会社
番組制作会社は、テレビ局から受注した番組の制作をこなします。そのため、番組制作会社のADは、様々な番組を経験できます。番組制作会社によっては、その会社が担当している番組をすべて経験させてから、担当の番組も決めるといったこともあります。ADを育てるという意識は、番組制作会社がいちばん強いかもしれません。
また、制作会社によって動物番組やクイズ番組、音楽番組制作 など強みに特徴があります。番組制作会社のサイトには担当している番組が掲載されているので、自分の中で作りたいジャンルの番組がある、好きなタレントがいる場合などは、番組制作会社への就職を考えてみましょう。
【AD】派遣会社
派遣会社に所属し、派遣先で番組制作に携わるのが派遣ADです。派遣ADの雇用には、会社によって正社員雇用と契約社員の2つがあります。
待遇面では、テレビ局員に比べて派遣社員のほうが劣ることもあります。しかし、昇進については、大きな違いはありません。極端にいうと、派遣社員のほうに実力があれば、テレビ局員よりも先に派遣社員がADからディレクターに昇進することもあります。
番組制作や映像制作は現場での働きが評価に直結する実力主義であるため、制作現場で働きたい場合は、派遣社員として働くことも方法のひとつです。
ADが給料を上げる方法
次に、ADが給料を上げる方法について見ていきます。
テレビADとしてステップアップする
ADが給料を上げるためには、テレビADとしてステップアップする必要があります。そのためには、現場での経験を積みスキルを向上させることが必要です。
向上しなければならないADのスキルは、以下のとおりです。
仕込み
仕込みとは、ロケ対象のお店と交渉し、企画書を送ったり、取材やロケハン(ロケーションハンティング)をしたりする業務です。ロケ地のトイレの有無や、控室の確保から、ロケ、収録スケジュールの作成や撮影スケジュールの管理、お弁当の用意 など、様々なことを行う必要があります。
この仕込みスキルを向上させることで、ロケを円滑に進行させることができます。仕込みは番組制作において非常に重要で、ADとしての仕事の基礎になります。
ロケをまわす
撮影やロケが始まったら、ロケをスムーズに進めるために臨機応変に行動する必要があります。たとえば、ロケ地で交通整理をしたり、状況によっては取材先へ押し巻きを連絡して調整したり、その役割はさまざまです。
また、リハーサルで演者の代わりに動いたり、演者やスタッフのスケジュールを管理・調整したりといったことも、ADの仕事です。
映像編集
収録が終わると、映像編集の仕事を行います。ディレクターが編集した仮データを下に、画や音の編集に立ち会います。ここでのADの主な業務は、テロップやナレーション原稿などを確認するといったサポートです。実際の編集は、オフラインではディレクターが、各編集はエディターやミキサーが行います。
これらの仕事は入社1年目から行います。例えば1年目でも段積み(複数あるカメラの映像を、同時再生したら全ての映像がリンクするように映像を合わせること)や粗編などの仕事を行います。また、チーフADになるとPRの編集も任せてもらえる番組が多いので、オフラインのスキルも必要です。加えて、キャリアによっては後輩の育成も行います。
ただし、キャリアを積めば、無条件でディレクターに昇進できるわけではありません。ADに必要な基本のスキルを磨き、実力をつけていくことが重要です。
ADからキャリアアップを目指す
ADが給料を上げる方法として考えられるのがキャリアアップです。ADからのキャリアアップには「ディレクター」と「プロデューサー」があります。
ディレクター
ディレクターは制作現場を取り仕切る担当者です。番組制作の現場監督ともいわれます。番組の企画会議をとおして、出演者の決定や、台本の作成を行います。ディレクターの仕事内容は、番組などによって異なることも多いです。
また、給料は雇用形態によって異なりますが、平均すると500万円~700万円程度になります。ディレクターに昇進する期間としては、バラエティ番組やスポーツ番組であればAD5年以上、情報報道であればAD3年以上が目安です。
プロデューサー
プロデューサーとは、番組制作における総合的な責任者として、現場を管理する番組制作の責任者です。企画の立案から予算設定・番組の進行管理 、出演者との交渉など番組制作において大きな権限を持っています。プロデューサーの給料は公にはされていませんが、1,000万円を超える年収になることも多いです。
ADからプロデューサーに昇進するステップは、ADを3~5年経験し、AP(アシスタントプロデューサー)に昇進後、プロデューサーを目指します。プロデューサーになれるかどうかは実力次第ですが、10年以上かかることもあります。
プロデューサーは、大きなお金を動かし、芸能事務所との関係を築くのが必要となるため、20代の若い人はあまりいないのが実情です。
まとめ
ADはアシスタントという名前から給料が低いと思われがちですが、全国の平均初任給と比べても、低いということはありません。労働環境も以前に比べると、改善されています。
また、ディレクターやプロデューサーに昇進すれば、活躍できる幅が広がり、給料もアップします。
ADはやりがいと可能性がある仕事です。テレビ業界での就職を考えているのであれば、ADの仕事を目指してみてはいかがでしょうか。