ADになるための大学・学部を紹介!向いている人や就職するまでの流れについて

近年では、テレビ番組の中でも「AD」という言葉をよく耳にするのではないでしょうか。番組によっては、ADが演者とともにテレビに出演する姿も見かけるようになりました。 ADという職種はテレビ番組を制作する仕事としての役職のことを指しますが、テレビ制作の仕事に興味がある人は「どうすればADになれるのか」「ADにはどんな人が向いているのか」といったことが気になるのではないでしょうか。 今回は、ADになるための大学・学部や、ADに向いている人について解説します。また、ADに就職するまでの流れについても紹介するので、ADに興味がある人はぜひ参考にしてみてください。


この記事は約7分で読み終わります。

AD(アシスタントディレクター)とは

AD(アシスタントディレクター)は、テレビ番組の制作現場の指揮運営などを行うディレクターを補助する役割を担っています。

企画会議から番組収録、編集作業の立ち合い、納品まで、ADが携わる仕事は多岐に渡ります。番組収録中の演出補佐はもちろん、企画会議が行われる会議室の予約や資料作成、ロケ現場での交通整理や出演者・スタッフの弁当手配、ロケスケジュール調整、完成したVTRテープの納品など、制作現場を円滑に進めるためにあらゆる業務を引き受けます。いわゆる縁の下の力持ちです。

ADは制作現場を広く経験して学べるポジションであり、ディレクターになるための登竜門でもあります。数年のAD経験を経て、番組内のプロデューサーやディレクターから実力が認められればディレクターに昇格できます。

ADとして就職できる可能性の高い大学

ADとして働くには、テレビ局や番組制作会社などに就職します。それぞれに就職できる可能性が高い大学について見てみましょう。

【キー局の場合】六大学レベル以上の映像学・マスコミ学を学べる学部

キー局の正社員ADとして働きたいなら、四年制大学以上の学歴は必要です。採用基準は局によって異なっていますが、東京のキー局は競争率が特に高く、東京六大学レベル以上の学生が集まってきます。

【番組制作会社の場合】六大学以外でも就職可能

番組制作会社の就職競争率はキー局よりは低く、必ずしも六大学レベルの学力を求められるわけではありません。ただし、新卒の応募人数を毎年若干名としているところが多く、数社並行して入社試験を受けなければ内定を得るのは厳しいでしょう。そのため、まずはメディア業界に特化した人材派遣会社のADとなり、キャリアをスタートさせるケースが多くみられます。

実はテレビ局の番組制作の部署で働いているADのほとんどが、メディア業界に特化した派遣会社から局へ出向している人です。派遣会社とADの雇用関係はさまざまで、正社員や契約社員があります。また、所属会社が違うからといって業務内容が変わることはほとんど無いので、昇進も基本的には実力主義となるのも安心です。

ひとつの番組に携わるテレビ局員は2~3名で、残りの大多数は制作会社や派遣会社所属、フリーランスといった人々です。構成される職種は番組によって変わり、制作会社5割、派遣4割、フリーランス1割といった番組もあれば、派遣会社7割、フリーランス3割といった番組もあります。

「早くテレビ制作の現場で働きたい」と思うなら、派遣会社所属のADとして制作現場に入るという方法が確実です。さらに、派遣会社は取引している番組が多い会社であればあるほど自身の可能性も広がるので、局や制作会社にとらわれずキャリアを積めるのがメリットです。

ADに向いている人

ADは適性が問われる部分も大きい職種です。大学や専門学校でマスコミや映像について学べば、誰でもADになれるわけではありません。

ここではADに向いている人の資質について見ていきましょう。

軸がぶれない人

ADにとっての最初の目標は、演出の責任者であるディレクターです。ADは日々の業務に追われる中でも、ディレクターになるために技術を磨く姿勢が求められる仕事です。必ずディレクターになるという意志の強さが求められます。

ADは業務範囲が非常に幅広く、特に1年目はロケ弁の手配や企画会議の連絡といった、いわゆる雑務が業務の多くを占めます。番組によっては1年目から映像の切り抜きなど編集業務の一部を担うこともありますが、まずは番組の仕込み方を勉強しなければ番組の制作はできないので、この雑務が登竜門となります。

AD時代はディレクターになるための勉強期間と定め、どんな業務にも将来につながると考えて取り組むことが大切です。

すぐに切り替えができる人

仕事の失敗をすぐに切り替えることも必要です。

テレビの制作現場には、多くのスタッフや演者が関わっています。新人のうちはわからないことも多く、仕事でミスをすることは当然です。先輩や上司から怒られるのも仕方がありません。ときには、ディレクターやプロデューサーを通じて、演者からクレームを伝えられることもあるかもしれません。しかし、どの職業にも共通しますが、やってしまったミスや指摘されたことをいつまでも抱えていると身が持ちません。

時間に非常にシビアな現場では、場合によって強めに怒られてしまうケースもありますが、それでも切り替えていける人がADに向いているといえます。

コミュニケーションスキルが高い人

番組にはプロデューサーやディレクターなどの制作だけでなく、美術、技術、演者などさまざまな人が携わっています。ADは制作の一員として、美術や技術、演者などの人々にディレクターの演出の意図を伝えたり、スケジュール説明や調整をしたりするケースがあるため、高いコミュニケーションスキルが求められます。

周囲の人と積極的に関わっていくために、自発的に動くことが求められます。ADの動きによって制作現場が円滑に回るかどうかが決まるだけに、コミュニケーションスキルはADの重要な資質です。

大学進学してからADになるまでの就職の流れ

ここでは大学に入ってからADの仕事に就くまでの流れを解説します。

【大学時代】就職活動でAD採用をしている会社を探す

一般企業と同じように就職活動を行い、ADを採用している会社を探します。ADへの志望度が高い学生は、ATP(一般社団法人全日本テレビ番組制作社連盟)主催の制作会社合同説明会「テレビクリエイターズフェス」に参加します。

また、制作会社を探す方法として、テレビ番組の制作協力欄を確認するのもおすすめです。ただし、番組によっては「取材先」を制作協力に欄に掲載する場合もあるため、しっかり確認しましょう。

メディアに特化した派遣会社の場合、基本的にエンドロールに社名が掲載されません。そのため、就活サイト内で求人を探すことになります。掲載費が高額な就活サイトに掲載している派遣会社は、経営が安定している大手であるケースが多いです。

派遣会社には社員数十名の中小規模のところもありますが、勤務時間の改善や配属番組先の多様さという点では大手の方が安心です。

【大学4年〜1年目】就職内定

テレビ局または番組制作会社、メディア系派遣会社に就職します。正社員として採用されない場合は、制作会社やテレビ局の子会社にアルバイトとして入社する方法もあります。

【社会人1年目〜】ADとして働く

ADとして番組の制作現場で経験を積みます。雑務やリサーチ、収録本番の編集サポートなど年数に応じて業務の幅を広げ、仕事ぶりが番組内で評価 されるとディレクターに昇格します。ディレクターになるまでの期間は情報番組なら3年程度、バラエティ番組なら5年以上かかります。

まとめ

ADとして働く方法として、テレビ局・制作会社・メディア系の派遣会社の3つがあります。キー局は非常に競争率が高く、難関大学卒業程度が条件となることが多いです。制作会社はテレビ局に比べると、学歴のウエイトは高くありませんが、ADの正社員採用は毎年少なく、こちらも狭き門です。

メディア系派遣会社で正社員ADとして入社し、テレビの制作現場に派遣されるという形でADのキャリアをスタートさせる方法が、可能性が高いといえるでしょう。

ADになるために特別な資格はいりません。しかし、経験を積んでディレクター やプロデューサーに必ず昇格するという強い意志がなければ継続は難しい仕事です。目標を忘れず、制作現場で率先してさまざまな役割の人とコミュニケーションを取り、大変なことがあっても「下積み期間は必ず終わる」と 切り替えて前進することが大切です。

テレビ局・制作会社・派遣会社のいずれも、所属が違っても業務内容はほぼ変わらず、テレビ番組 の制作はやりがいのある仕事です。テレビ業界に興味がある、番組制作に携わりたいという熱意のある人はぜひ挑戦してください。