テレビADの仕事内容と1日のスケジュール
まずは、テレビADの主な仕事内容と、1日のタイムスケジュール例を紹介します。
テレビADの仕事はサポート業務
テレビADの主な仕事は、制作ディレクターのサポート業務です。具体的には、以下の業務を行います。 ※バラエティ番組の場合
企画会議 | ・企画会議の準備や設定 ・会議資料や議事録の作成 |
リサーチ | ・番組制作に必要な情報のリサーチ ・関係者、有識者への取材 |
ロケハン | ・ロケ地を下見し、ディレクターに報告 ・撮影交渉・(ロケ地決定後) 機材の数決めや照明などの確認 |
仕込み
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・収録前の準備や道路・建物の使用許可の取得 ・観客や収録に必要なものの手配 |
ロケ | ・荷物持ち
・現場にいる関係者へ押し巻き報告 ・取材先への連絡 ・ディレクターのフォロー |
スタジオ収録 | ・カメラリハーサル ・出演者の楽屋準備や連絡 ・前説・観客への指示出しや現場対応・撮影中のモノ出しやガヤ |
編集
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・画面加工やテロップ入れなどの編集立ち合い
・テロップ原稿の管理 ・ナレーション原稿の管理 ・完成した映像データを各所へ共有 |
オンエアチェック | ・テレビ局各部署へのデータ納品
・放送のチェック ・提供やエンドロールが入ったOAの録画データを取材協力者へ送付 |
このように、番組制作を支えるさまざまな業務を担うのがテレビADです。詳しい仕事内容は、以下の記事でも解説しています。
テレビADの1日のスケジュール
テレビADの1日のスケジュールを紹介します。以下は、バラエティ番組を制作しているテレビADの例です。
収録がある日とない日では、スケジュールが少し異なります。
収録がある日
収録がある日は収録スケジュールに合わせて動くため、早めに出社する必要があります。食事などの休憩は、合間の時間を利用するのが一般的です。
9:00 スタジオ準備・弁当受け取り
10:00 台本配布・カメラリハーサル
12:00 楽屋準備
13:00 演者用決定稿台本配布・前説
14:00 本番
18:00 終了、片付け
20:00 収録データをハードディスクにコピーする
22:00 ディレクターに収録データ入りのハードディスクを渡して退勤
収録がない日(出社する場合)
収録がない日は、会議やリサーチ業務などのデスクワークをメインに行います。
13:00 担当番組の企画会議 、議事録の共有
15:00 昼食
16:00 取材先やレンタル機材屋などに連絡
17:00 会議で決定したリサーチ業務
19:00 ディレクターとの打ち合わせ
20:00 残った業務の整理
21:00 ディレクターや先輩ADと業務確認後、退勤
収録がない日(リモートワークの場合)
リサーチ業務をメインで行う日は、リモートワークを行う場合もあります。リモートでのスケジュール例を紹介します。
12:00 議事録の共有
12:30 会議で決定したリサーチ業務
15:00 チーフADへリサーチの中間報告
16:00 休憩
20:00 リサーチ資料提出、分科会(オンライン)参加
21:00 退勤
テレビADが「きつい」と言われる理由
テレビADの仕事は、働き方の面で「きつい」と言われることがあります。職場によっては以下のことで悩んでしまう人もいるようです。
労働時間が長くなることもある
ロケや収録前、編集作業の立ち合い期間中は多忙になりやすく、労働時間が長くなることがあります。スケジュールに合わせて業務を終えなければならないので、残業したり休日出勤 したりすることもあるようです。
ただし、どのくらい多忙になるかは、番組内容やスタッフの人数によっても異なります。
さらに、テレビADは基本的にチーフADやディレクターから指示をもらって動く立場なので、自分に裁量があまりありません。
特にスケジュールの変更が多いバラエティ番組のAD は「休日がよめなくて働くのが大変」と思う方も多いです。しかし、裁量がうまれるディレクターになれば、スケジュールをある程度コントロールできるため、次第にこの悩みは緩和されるかもしれません。
一方で、情報番組は多くのスタッフでシフトを組んでいるため、先々の予定が分かるだけではなく、勤務時間もしっかり管理されている傾向にあります。
なお、働き方改革関連法により、大企業・中小企業のすべてにおいて時間外労働の上限規制が適用されました。そのため、全国的に過度な時間外労働を控える企業が増えています。
遠方の地域に行くこともある
地方ロケや取材などで、遠方の地域に行くことがあります。経験や実力が伴ってくれば、海外ロケなどのハードなロケを担当することも出てくるでしょう。
慣れない環境で仕事をすることもあるため、普段の仕事よりも負担が大きいと感じる人もいるかもしれません。
とはいえ、ロケは基本的に日中の時間帯がメインとなるため、夜は時間に余裕があります。スタッフ全員で夕食を食べるなど、貴重な体験ができることもあるのです。大変と感じる人がいる一方で、楽しい業務のひとつでもあります。
近年のテレビADは働きやすい労働環境になってきている
テレビADはかつて、業務のハードさから「きつい仕事」と言われることが多くありました。
しかし、近年では働き方改革やコンプライアンス遵守の流れから、労働環境が改善されつつあります。
前述した時間外労働の制限によって、業界全体で働きやすい環境が整ってきています。実際に、一部業務での残業を禁止している会社や業務の分業を取り入れる会社も出てきました。テレビが好きという方であれば、テレビADを目指してみてはいかがでしょうか。
テレビADは「きつい」からこそ「やりがい」がある
テレビADは有名人と距離が近く、キラキラしたイメージに魅力を感じている人もいるでしょう。そのほかにもさまざまな魅力があります。テレビADが仕事にやりがいを感じるポイントを紹介します。
担当した番組を視聴したとき
テレビADの担当業務は情報収集やロケハンなど、制作に関する細かなサポートが大半ですが、番組に欠かせない存在です。担当番組によっては、エンドロールに自分の名前が掲載されることもあります。無事に放送を迎えられ、番組を視聴したときには大きな達成感を味わえます。
近年では、SNSなどで視聴者の感想を目にすることもできます。OA中・OA後にトレンドに上がるなど、関わった番組が話題になったときの嬉しさはひとしおでしょう。
また、取材先の方から「OA翌日に売り切れました」「朝から行列ができました」など感謝の言葉をいただければ、自分の仕事が役に立っていることを実感できます。
番組が縁でつながった人から近況報告や年賀状などが届くこともあり、人脈がどんどん広がっていく嬉しさも感じられます。
特別な経験を積める
テレビADは現場に出ることで学べることが多くあります。現場でディレクションのスキルを積めることは、大きなメリットでしょう。AD時代を乗り越えた先にはディレクターやプロデューサーなどの道があり、映像制作の主担当として活躍できるようになります。
そのほか、普段では出会うことのできない演者と仕事で関われることも魅力です。一般には公開されていなかったり、入れなかったりするところにも取材で行けるなど、テレビADでなければできないことを多く経験できます。
テレビADは演出や編集の技術が未熟なので、演者とメインで打ち合わせをしたり、キャスティングをしたりはできません。しかし、キャリアをしっかり積んで映像制作のノウハウを身に付ければ、AD時代よりさらにやりがいのある楽しい業務が待っています。
まとめ
テレビADの仕事は忙しくきつい面もありますが、それ以上にやりがいや楽しさもあります。過重労働防止の側面からかつてのような激務は改善傾向にあるので、ワークライフバランスも実現しやすくなっています。番組制作に興味があるなら、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。