広告代理店の職種や仕事内容
広告代理店の仕事には、主に5つの職種があります。
1.営業部門
広告代理店は、広告枠をもつメディアと、広告を出稿したい企業をつなぐ役割を果たしています。そのため、広告代理店の営業部門の仕事内容は、案件獲得やプロジェクト管理時における、クライアントとのやり取りが中心です。
案件獲得では、競合プレ(競合コンペ)と呼ばれる場でプレゼンテーションを行い、広告を出稿したい企業に広告のアイデアを提案します。提案するために企画を考えるのも営業部門の役割です。
プロジェクト管理では、獲得後の案件に関して、企画を実際に制作するまでのマネジメントを行います。
2.マーケティング部門
マーケティング部門では市場調査や分析を行い、その結果を具体的な戦略に落とし込むのが主な仕事内容です。広告が生み出す効果に関しての仮説を立てたり、定量的なデータを根拠に説明したりする能力が求められます。
また、広告代理店の中でも大手と中小企業ではマーケティング部門の役割が異なる場合もあります。大手広告代理店では、企画立案自体をマーケティング部門で行うことも多いです。
3.クリエイティブ部門
クリエイティブ部門では、広告の企画やクリエイティブ制作を行います。広告に掲載するコピーやデザインなどを作るのが主な仕事内容です。コピーライターやデザイナーなどの職種が、クリエイティブ部門で活躍しています。
CMプランナーやクリエイティブディレクターも、クリエイティブ部門では重要な職種です。CMプランナーは、CM作成時のアイデア企画を担当しています。クリエイティブディレクターは、クリエイティブ部門全体を管理したりまとめたりする役割の職種です。
4.プロモーション部門
広告代理店では、発表会や記者会見などのイベントに参加する機会が多いです。プロモーション部門では、これらのイベントで実施するプロモーションの企画立案を担当します。広告以外のイベントやサンプリングなどでの宣伝活動も含まれます。
プロモーション部門では、ほかの部門と比較して、社外の方とのやり取りが多くなりやすいのが特徴です。
5.メディア部門
メディア部門では広告のメディア枠の使い方について、クライアントに提案します。メディア枠を仕入れるのも、メディア部門の役割です。
大企業に向けて、新番組や現行の番組のプレゼン資料を作成したり、そのための営業をしたりすることもあります。
また、各キー局で番組改編を行う際には、改編内容を発表するために、番組改編記者発表会を開催します。このようなイベントに参加するのもメディア部門の仕事です。テレビ局のアナウンサーが登壇したり専用の映像を用意したりなど、力の入ったものも多くみられます。
広告代理店の主な種類
広告代理店は、主に次の3つの種類に分けられます。
総合広告代理店
総合広告代理店は、あらゆる広告媒体を取り扱っている広告代理店です。インターネット広告からテレビCMや紙媒体の広告まで、幅広く手がけています。企画からサポートまで一貫して担当するのも特徴です。複数の広告媒体を利用したプロモーションも行います。
広告媒体や業務内容が多岐にわたるため、求められる知識やスキルも多くなりがちです。仕事量も多く、総合広告代理店の仕事は激務といわれています。
その一方で、平均年収が高くやりがいのある仕事ができることから、人気の就職先です。
専門広告代理店
専門広告代理店は、特定の広告媒体に特化している広告代理店です。例えば、インターネット広告だけを扱っている代理店や、紙媒体の広告だけ扱っている代理店などがあります。
専門広告代理店で活躍するためには、自社で扱う広告媒体に関する専門的な知識やスキルが必要です。例えば、インターネット広告に特化した専門広告代理店であれば、デジタルマーケティングやデータ分析の知識・ノウハウが求められます。
最近では、インターネット広告の専門広告代理店の成長が目覚ましく、人気の就職・転職先として定着してきました。
ハウスエージェンシー
ハウスエージェンシーは親会社や関連企業の広告活動を専門としている広告代理店です。案件の獲得先はほぼ決まっているため、案件獲得業務は少なめで安定しています。
ほかの広告代理店と比べて、業務がスムーズで働きやすいのが特徴です。
また、ハウスエージェンシーをもっている企業にとっては、コスト削減や秘密保持をしやすいメリットがあります。
広告代理店で関わることの多い媒体・メディア
広告代理店では、主に次のような媒体会社やメディアとの関わりがあります。
・テレビ局
・ラジオ局
・新聞社
・雑誌会社
・インターネット企業
テレビ局とラジオ局には、CM枠確保のために広告代理店が関わりをもちます。テレビCMは、短時間でも宣伝効果が見込め、費用も高いのが特徴です。ラジオCMは、テレビCMほどの効果は期待できないものの、低コストで交渉もしやすい傾向にあります。
新聞社は、紙媒体の代表的な広告メディアです。新聞の広告枠には一面広告を中心にいくつかの種類があり、代理店はクライアントの予算や宣伝する商材を考慮しつつ枠を選定します。
雑誌会社は、特定のターゲット層に特化してアプローチしたい場合に効果的な広告メディアです。例えば、アパレル雑誌ならアパレルに関心の深い人に対してアプローチできます。
インターネット企業は、インターネット広告を出稿する際に関わります。広告代理店によっては、Yahoo!やGoogleなどの有名企業と接点をもつ機会も多いです。
広告代理店の平均年収
大手求人サイトdodaによると、広告代理店の平均年収は438万円です。ただし、広告代理店に勤務している方の中でも職種によって差があります。
また、広告代理店の種類や規模による違いも大きいです。電通などの大手広告代理店では、平均年収額が1,000万円を超えている場合もあります。
広告代理店に向いている人の特徴
広告代理店では、クライアントの要望を汲み取ったり、企画案をわかりやすく伝えたりする機会が多いです。そのため、コミュニケーション能力の高い方が重宝されます。
情報収集スキルの高い方も、広告代理店に向いています。効果的な広告戦略やクリエイティブを展開するためには、案件ごとの知識やトレンドを積極的に学ぶ姿勢が重要です。
さらに、先述したように複数の媒体会社やメディアとの調整が求められ、咄嗟のトラブルに対応しなければならない機会も多いため、これらを乗り越えていけるようなバイタリティも欠かせません。
広告代理店で働くための方法
広告代理店への転職を希望している場合、前職や得意なスキルを活かした職種を選ぶのがおすすめです。業種は違っても、これまで培ったスキルが役に立つ場面が多くあります。
職種ごとに有利な資格を取得するのもおすすめです。例えば、クリエイティブ部門ならWebクリエイター能力検定やWebデザイン技能検定などが役に立ちます。マーケティング部門なら、ネットマーケティング検定やGoogle AdWords認定資格を取得しておけば、アピール材料になります。
また、広告代理店は未経験でも転職しやすいのが特徴です。基本的な知識を身につけて、やる気をアピールすれば、未経験でも採用される可能性は充分にあります。
まとめ
広告代理店は、広告を出稿したい企業とメディアとの間に入って、企画や制作を行ったり広告枠を確保したりする企業です。広告代理店全体の平均年収額はそれほど高くありませんが、大手の広告代理店だと1,000万円以上も見込めます。
様々な業種の方と関わる機会があり、広告の成果が上がったときの達成感も味わえるため、やりがいのある仕事です。
未経験でも転職しやすい業種のため、興味のある方は転職先のひとつとして検討してみましょう。