広告代理店と広告制作会社は、一見すると何が違うのか分からずよく混同されがちですが、広告制作を進めていく上で担う役割が異なります。CM業界を目指していて、広告代理店と広告制作会社のどちらに行けばいいのか、迷う人もいるかもしれません。今回は広告代理店と広告制作会社の違いについてご紹介します。
広告代理店と広告制作会社の違いとは?
広告代理店と広告制作会社の大きな違いは業務の範囲にあります。広告代理店は広告の企画(企業によっては制作まで)、広告媒体の獲得や選定、市場の分析や調査など、広告にかかわる多くの業務を総合的に行っていますが、一方の広告制作会社は主に広告の企画や制作のクリエイティブのみを行うのが一般的です。
広告代理店とは?主な仕事内容
広告代理店とは、広告を出したい企業と広告を掲載する企業の間に入り、仲介を行う企業のことです。主にテレビのCM枠や雑誌、電車の車内広告などの枠を取り、企業に売るという仕事がメインですが制作部門を持ち専任のデザイナーなどが所属している広告代理店もあれば、広告制作会社や下請けの代理店などとチームを組んで広告の制作を行う場合もあります。
色々なジャンルを取り扱っている大手の総合広告代理店から、一つのジャンルに特化している専門広告代理店などその代理店により特色は様々です。一般的に、CMや大企業の広告などの大きな案件を受け持つ代理店の場合には、制作業務は制作会社に依頼しています。
広告制作会社とは?主な仕事内容
広告制作会社は、広告の企画・制作の実作業を担い広告物を提供する会社のことです。
発注主からの依頼に対して、どのような広告にするのか企画し、コピーやデザインを考え、最終的に広告物を完成させます。
広告制作会社の仕事は代理店から制作の依頼をされる場合と、広告を出したい企業から直接依頼される場合の2通りがあり、広告代理店から依頼される場合は代理店の下請け的な側面を持ち、制作実務のみを担当します。
企業からの直接依頼の場合には広告の企画から制作までを一手に引き受けることになります。
広告業界の仕事の流れ
広告業界の仕事の流れを見ていきましょう。
クライアントのビジネス課題に対して広告代理店が最適な企画や戦略を提案、その実現のために広告代理店から制作を依頼されるのが広告制作会社です。
それぞれ違う役割を持つ広告代理店と広告制作会社ですが、広告主であるクライアントの課題解決をビジネスにしていることは共通していて、どんなに素晴らしい企画・作品もクライアントの課題を解決できなければ意味はありません。ここからは、クライアント・広告代理店・制作会社のそれぞれの立場について解説していきます。
クライアント企業について
クライアント企業は「新しい商品を宣伝したい」「売り上げが上がらない」「ブランドをもっと広めたい」などビジネスにおける課題を抱えています。そこで、広告代理店に相談して課題解決に取り組みます。複数の広告会社に相談をしてコンペで一番良い案を採用する場合もあれば、一社を指名する場合もあります。クライアント企業は、マーケティング・宣伝の予算を使って依頼をします。予算を出すクライアント企業の意思は制作においても大きく影響します。
広告代理店について
電通・博報堂・ADKなどの広告代理店はクライアントの課題をどのように解決するか戦略・企画を考え提案します。営業部門・マーケティング部門・クリエイティブ部門・メディア部門・プロモーション部門などがあり、クライアント企業の課題解決のために、様々なプロフェッショナルが働いています。消費者は何を求めているのか、どのような企画が話題になるのか、認知されるにはどうするべきか…など様々な視点から戦略を練っていきます。
大枠が固まったら、広告制作会社へ制作を依頼します。広告代理店がこのように企業の課題解決に関わるのはテレビ・新聞・雑誌・ラジオ・ネットなどメディアの媒体・広告枠を売り媒体費が利益となるためです。より多くのメディア・媒体を販売するため戦略・企画・クリエイティブで付加価値をつけています。広告代理店の仕事は広告の「0を1にする」仕事とよく言われます。
代表的な広告代理店は、次のとおりです。
・電通
・博報堂
・ADK
・東急エージェンシー
・ジェイアール東日本企画
広告制作会社について
広告制作会社は広告代理店の企画・アイデアをカタチにすることでクライアント企業の課題解決を行います。その実現のためにプロデューサー・PM・ディレクターなど多くのスタッフが関わります。プロデューサーが仕事を受け、PMが現場の進行役として中心を担います。
まず広告代理店から企画・アイデアについて説明を受け、その実現のために予算・スケジュール・クオリティー・リスクなどを管理し、制作を進めます。制作期間は平均して2~3ヶ月ほどです。
制作会社の利益は制作予算で、会社にどれだけ利益を残せるのかという部分もプロデューサー・PMの重要な仕事です。華やかな仕事だと思われがちですが制作予算は年々減少しており、業務も地道な作業が多くあります。
広告制作会社は課題解決のためにアイデアをカタチにすることから「1を100にする」仕事とよく言われます。代表的な広告制作会社は次のとおりです。
・博報堂プロダクツ
・AOI Pro.(KANAMEL)
・TYO(KANAMEL)
・東北新社
・太陽企画
・電通クリエーティブX
・GEEK PICTURES
まとめ
今回は、広告代理店と広告制作会社の違いについてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?
広告代理店志望の人でも「CM制作に携わりたい!」「広告制作の現場で撮影に携わりたい!」と考えている人は、制作会社の方がイメージに近いかもしれませんし、広告制作会社志望の人でも「CMの企画を考えたい!」「自分のアイデアを企画にしたい!」という人は広告代理店の方がイメージに近いでしょう。就職後のミスマッチをなくすためにも、しっかりと理解しておくことで、選考の通過率向上に繋がっていくはずです。