NHKの連続テレビ小説、通称「朝ドラ」。その名のとおり、朝に放送されている15分間のドラマです。朝の準備、通学前、通勤前などに、一度は見たことがある人も多いのではないでしょうか。
現在は、橋本環奈さん主演の「おむすび」が放送されていますが、今回はそんな朝ドラについて、詳しくご紹介していきます。
朝ドラとは?
連続テレビ小説は、1961(昭和36)年、月曜から金曜まで1年間続く帯番組として始まりました。当初は20分間の番組でした。それまでにラジオで数多くの連続放送劇が人気を集めていたことから、長編小説をテレビドラマ化するという新しいジャンル「連続テレビ小説」が生まれたのです。朝の時間帯に放送されたのは、新聞の朝刊の連載小説を意識したからだそうです。
翌年1962(昭和37)年には、月曜から土曜まで、朝8時15分からの放送開始というスタイルに変更。放送時間もこの年から15分間になりました。
1975(昭和50)年からは、1年間を前期と後期に分けた半年間の放送が基本に。さらに、2010(平成22)年には、放送開始時間が朝8時に変わり、現在の形が確立したのです。2019年放送の「なつぞら」で100作目の節目を迎えた連続テレビ小説。「朝にドラマを見る」という視聴習慣を生みだし、半世紀以上の間、多くの人に親しまれ続けています。
東京制作と大阪制作について
朝ドラには東京制作と大阪制作の作品があります。NHK東京はAK、NHK大阪はBKと呼ばれ、朝ドラ草創期にはAKとBKが交互に制作する体制もありませんでしたが、長年放送される中で、それぞれの特徴をつかみ、比較する視聴者が徐々に生まれてきました。以前はマスコミで取り上げられる機会はAK制作朝ドラのほうが多く、露出の少なさからBK朝ドラは「地味」と評されることも多かったようです。その一方、ネット掲示板では一部の朝ドラマニアのような人々の間で「視聴率や注目度はAK>BK、クオリティや評価はAK<BK」説がしばしば語られてきました。
近年の人気作品は?
これまで放送された数々の朝ドラの中には、どんな作品が人気だったのでしょう。
話題になった作品をみてみましょう。
話題になった人気の朝ドラ作品
・「あまちゃん」(2013年)
女優・能年玲奈(現在はのん)がドラマ初主演を務め、宮藤官九郎が脚本を手掛けた作品。劇中のセリフ「じぇじぇじぇ」は流行語となり、放送後は“あまロス”に陥る人が続出しました。放送から10年以上経った現在でも、印象に残っている人が多い作品です。
・「らんまん」(2023年)
俳優・神木隆之介が、植物学者・牧野富太郎博士を演じた作品。朝ドラでは珍しく男性の主人公で、妻役を演じた浜辺美波との夫婦愛に、涙する人が続出しました。
・「ブギウギ」(2023~2024年)
名曲『東京ブギウギ』で知られる歌手・笠置シヅ子をモデルに、戦後、“ブギの女王”と呼ばれるまでの軌跡を描いた作品。ヒロインを演じた女優・趣里が圧巻の歌唱力を披露し、大きな話題を呼びました。
・「虎に翼」(2024年)
日本女性で初めて弁護士、判事、裁判所長となった三淵嘉子がモデル。社会派に振り切りながら、ちょくちょく入る伊藤らのコミカルな演技も魅力でした。つい最近まで放送していたので、記憶に新しいですね。
現在放送中の朝ドラ「おむすび」
2024年9月30日から放送されている第111作「おむすび」は、平成時代のギャルが栄養士となり、現代人が抱える問題を食の知識と“コミュ力”で解決しながら、縁や人をむすんでいくオリジナル作品。福岡・神戸・大阪を舞台に、平成から令和の荒波をたくましく突き進む主人公・米田結(よねだ・ゆい)を、NHKドラマ初出演となる橋本環奈が演じています。“おむすび”は、幼い頃に付けられた結のあだ名だが、本人はあまり気に入っていないといいます。脚本を手掛けるのは、ドラマ「正直不動産」、「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」などを手がけた根本ノンジさんです。
今後予定されている作品
・「あんぱん」(2025年春~)
戦後80年を迎える2025年の春に放送予定の連続テレビ小説112作目「あんぱん」は、アンパンマンを生み出した漫画家・やなせたかし と小松暢 (こまつ・のぶ)の夫婦をモデルとしたオリジナル作品。脚本は「ハケンの品格」、「Doctor-X 外科医・大門未知子」などの中園ミホさんが手掛け、何者でもなかった二人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現したアンパンマンにたどりつくまでの物語をフィクションとして描いています。ヒロインは、小松暢をモデルとした朝田のぶ。3,365人が応募したオーディションから、今田美桜がヒロインに選ばれました。やなせたかしをモデルとした柳井嵩(やない・たかし)役を北村匠海が務めます。
・「なけばけ」(2025年秋~)
第113作「ばけばけ」は、松江の没落士族の娘で、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の妻・小泉セツがモデルのオリジナルストーリー。外国人の夫と共に怪談を愛し、急速に西洋化が進む明治の日本の中で埋もれてきた名も無き人々の心に光をあて、代弁者として語り紡いだ夫婦の物語をフィクションとして描きます。脚本はNHK「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」(第30回橋田賞受賞)などのふじきみつ彦さん。小泉セツをモデルとしたヒロイン・松野トキを演じるのは、2,892人が応募したオーディションから選ばれた高石あかり。ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルとした夫・ヘブンを、国内外1,767人が応募したオーディションから選ばれたトミー・バストウが演じます。
俳優による朝ドラの裏話
朝ドラの撮影は大変で過酷だとよく耳にしますが、実際はどうなのでしょう。ここでは、これまで朝ドラに出演した俳優のエピソードをいくつかご紹介します。
・鈴木亮平(2014年「花子とアン」)
「大河ドラマが決して楽っていうわけじゃないんですけど」と前置きし「朝ドラのペースと比べると、大河のほうが楽だなって思う。朝ドラの1日で撮る量って恐ろしいんですよ。朝ドラヒロインは本当にすごいです」
・永野芽郁(2018年「半分、青い。」)
「月曜日に火曜から金曜のリハーサルを全部するんですけど、リハーサルでセリフを入れていかなきゃいけなかったので、日曜日は寝ずにセリフ覚えて。1週間分入れて、10時間とかかかりました。最後、セリフ覚えるのがすごく早くなりました。1時間で1週間分入るようになってました」
・川口春奈「2022年「ちむどんどん」
同作では沖縄の言葉を話している川口。出身地は長崎・五島列島だが、「同じ九州ですけど、全く違います」とそのギャップについて言及。「聞き馴染みもなく、言葉としても初めて聞く言葉が多々出てきたりするので本当に難しい」
・趣里(2023年「ブギウギ」)
「歌唱が必須の役柄で、10カ月間歌のレッスンに励み「歌は好きだけど人前で歌うのに苦手意識があったので『やばい!』と身が引き締まる思いでした。練習を重ねる中で自然と心踊る瞬間が増えてきて、文字通り、音を楽しむことが“音楽”なんだと分かってきたような気がしています」
・佐野勇斗(2024年「おむすび」)
「翔也は140キロを投げるピッチャーなので、できるだけ速い球を投げるために、たくさん練習をしました。先生に教えてもらうだけでなく、他の仕事の合間にキャッチボールをしたりして、最終的に120キロ近くまで投げられるようになっています。」
朝ドラの撮影は1日に撮る量が多く、かなり大変なようですね。時間もない中でセリフを覚えたり、役柄に合わせて歌やダンスなどのスキルを磨いたり、方言を練習したり、、、俳優さんには本当に頭が下がります。
まとめ
今回は朝ドラについてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。朝ドラは、かなり長い歴史があり、出演する俳優さんは、かなり努力をされていることが分かりました。そのひたむきな思いが、画面越しに視聴者にも伝わり、大きな感動を呼ぶのでしょう。現在の朝ドラ、そして来年以降の朝ドラもぜひチェックしてみて下さいね。