漫画家になるための新人賞とは?
漫画は代表的な日本文化とも言われており、今では個性あふれる漫画家が多く活躍しています。近年インターネットの発展に伴い、作品を発表する場は広がりをみせ、パソコンやスマホで読めるデジタル漫画(Web漫画)など漫画家の活躍・表現の幅は広がっています。
人気作になればドラマ・映画への実写化やゲーム化など、その広がりは大きくなります。世界からも注目を浴びている日本の漫画家は日本文化の担い手と言えます。
漫画家になるためには「新人賞に応募する」「出版社に持ち込む」「ネット上に投稿する」といった方法があります。詳しくはこちら↓↓の記事を御覧下さい。
「漫画に関わる仕事とは?どんな人が向いてる?」
今回は、漫画家になるための方法の一つである新人賞について詳しくご紹介します。
新人賞の応募までの流れ
漫画家としてデビューする方法の一つとして、新人賞に応募する方法があります。例えば、講談社では「なかよし新人まんが賞」や「週刊少年マガジン新人漫画大賞」、集英社では「JUMP新世界漫画賞」や「りぼん新人ショートまんがグランプリ」等が開催されています。
新人賞は出版社が才能ある新人を発掘することが目的なので、描いた作品を必ず見てもらえるのが大きなメリット。郵送やWebでの応募も可能なので、直接出版社へ足を運ぶ必要がなく、地方に住んでいても参加することができます。
大賞やグランプリを受賞した作品は、担当編集者がついてすぐにデビューできることもあるため、マンガ家をめざすなら挑戦する価値は高いでしょう。ただし、一つの作品で複数の新人賞に同時に応募できないケースが多いため、自身が応募するマンガ雑誌の特徴や作風、読者層をしっかり分析し、理解する必要があります。また、応募者全員に編集者から詳しいアドバイスがもらえる訳ではないため、落選理由や反省点等を自己分析しなければなりません。
新人賞の種類
縦読みマンガやマンガアプリの流行による需要の高まりに加え、pixiv(作品の投稿・閲覧が楽しめるイラストコミュニケーションサービス)やX(旧Twitter)など、SNSを利用すれば簡単に個人で作品を発信もできるなど、プロの漫画家を目指す人にはチャンスの多い時代となりました。 月例で開催されている新人賞も増え、年々門戸が広くなっている印象もあります。
今回は、少年漫画をはじめ男性向け漫画雑誌が主催している新人賞を中心にご紹介します。
・手塚賞、赤塚賞
連載作家を多数輩出している、年2回集英社主催の歴史ある漫画賞。ストーリー漫画は手塚賞へ、ギャグ漫画は赤塚賞へ応募しましょう。賞金は入選で200万円(準入選100万円)です。準入選以上で週刊少年ジャンプ・ジャンプSQ.本誌や増刊に掲載も。
・少年ジャンプ 月間ルーキー賞
「ジャンプルーキー!」で毎月実施されるマンガ賞です。毎月1日から月末までに投稿された作品のうち、ランキング上位10作品が候補作となり、その中から編集部の審査で選ばれます。選ばれた作品は賞のランクにより、ジャンプ各誌に掲載、もしくは掲載権が与えられます。連載ものの場合は第1話をアップした月のみ対象なので注意です。締切は毎月末で、賞金はゴールドルーキー賞で50万円です。
・JUMP新世界漫画賞
ジャンプの人気連載作家が代わる代わる審査員を担当するのが特徴の賞で毎月開催されます。準入選以上の評価で本誌か増刊デビューを確約、月のトップ賞である超新星賞でも増刊掲載を確約されます。賞金は入選で100万円です。
・ジャンプSQ.新人漫画賞 SPARK
「ジャンプSQ」で毎月実施されるマンガ賞です。投稿する度にポイントが溜まり、賞品などゲットできる仕組みも面白いですよ。16ページ以下の短い作品はショート部門として別で審査してもらえる点にも注目。賞金は入選で150万円、SQ.に掲載されます。
・週刊ヤングジャンプ編集部 新人漫画大賞
連載デビューを目標に描いている人にぜひチャレンジしてほしい賞。毎月開催されています。大賞受賞者は3話分の連載権を獲得できます。また、月間のベストに選ばれた作品はアニメ化の夢を先取りしてボイスコミック化も確約されます。賞金は大賞で100万円です。
・新世代サンデー賞
「少年サンデー 」で毎月開催されるの賞。奨励賞以上の全受賞者には必ず担当がつき、直接アドバイスがもらえますよ。賞金は大賞で100万円、本誌または増刊&うぇぶりで掲載されます。
・月刊少年チャンピオン 月チャンまんがGP
『毎度!浦安鉄筋家族』浜岡賢次先生などが審査員を務める、年3回開催の漫画賞です。部門も4つあり自分の得意分野で挑戦することができます!賞金は最高賞で100万円です。連載確約・応募作は雑誌と雑誌電子版に掲載されます。期待賞以上をとれば3人の先生方の批評とともに応募作品を誌面で公開されます!
・3誌合同新人まんが賞 NEXT CHAMPION
3誌とは「週刊少年チャンピオン」「月刊少年チャンピオン」「別冊少年チャンピオン」で年2回開催のマンガ賞です。大賞の選出が約束されている珍しい新人賞で、副賞も豪華なのが特徴です。賞金は大賞で150万円で、佳作以上は3誌いずれかに必ず掲載されます。
・週刊少年マガジン 新人漫画大賞
週刊少年マガジンで年2回開催される新人漫画大賞です。『進撃の巨人』諫山創先生が特別奨励賞を受賞しました。WEBでは歴代の漫画賞受賞作品が読めるので参考にしてみましょう。賞金は特選で200万円(入選100万、佳作50万円)です。いずれも掲載権が確約されます。
円
・マガジンライズ
週刊少年マガジンの月例新人漫画賞です。新人限定の賞で、全ての受賞者のペンネームが掲載されます。締切は毎月末で、賞金はダイヤ賞で100万円。掲載権も確約されます。また業界初の作画&ネーム原作部門を新設され、賞金はゴールド賞で30万円です。
・講談社モーニング月例賞
「モーニング」が大好きだけど、いきなり「ちばてつや賞」はハードルが高い……。そんなあなたにぴったりの月例賞。モーニングの新人賞受賞作はコミックDAYSで公開中なのでぜひ読んでみて下さい。締切は毎月末(2月、8月を除く)で、賞金は100万円です。
・Gファンタジー新人マンガ賞
『地縛少年 花子くん』、『黒執事』などの人気作でおなじみのスクエアエニックス「Gファンタジー」の新人賞です。X やpixivに投稿した作品や、同人誌で発表した作品も応募可能になりました。締切は毎月末で、大賞賞金50万円です。掲載権・連載権が確約されます。
・ガンガンジョーカー 新人マンガ賞
スクウェアエニックス「ガンガンジョーカー」の新人賞です。マンガ部門、作画部門、ネーム部門に加え、長編漫画の冒頭8ページだけで勝負できる面白い部門もあります。賞金は大賞50万円(入選30万円佳作10万円)です。大賞・入選作品は巻中カラーつきの新作読切作品の掲載権を授与されます。
この他にも、少女漫画の新人賞である「白泉社少女まんが新人大賞」や「なかよし新人まんが賞」、少年・少女・青年・児童向けの新人賞である「小学館新人コミック大賞」があります。
漫画家に求められるスキル
マンガ家に必要な主なスキルは、次の3つが挙げられます。
・画力
マンガは絵やセリフで物語を表現して読者に伝える作品であるため、画力は重要なスキルの一つです。基礎的なデッサン力は当然求められますが、ただ絵が上手ければ良いというわけではありません。オリジナリティのあるイラストが描けることや、キャラクターの表情を上手く表現できることなども重要な要素です。
・観察力と想像力
次に求められる能力は、観察力と想像力です。オリジナリティのあるストーリーを作り上げるためには、人物や周囲を観察して、マンガのネタを探せる力や、物語の先やキャラクターの気持ちを想像できる力も、マンガ家として成功するためにはとても重要なスキルです。
・精神力
精神力も、マンガ家に求められるスキルの一つです。マンガ家は長時間労働になることがあり、締め切りが近い時などは深夜まで作業が続くことも考えられます。また、思うように描けない、ストーリーが思いつかない、編集者からダメ出しを受けるなど、ストレスが溜まるシーンも想定され、長時間労働やストレスに耐えられるだけの気力や精神力が必要な仕事といえます。
まとめ
今回は、漫画家になるための新人賞の種類を中心に紹介しました。新人賞を受賞してデビューする際に注意すべきポイントは、募集している雑誌の特徴・作風をしっかりとらえることです。「画力」もあり「物語の構成力」があっても、作品に目を通した編集者が「うちの雑誌に載せるタイプの漫画じゃない」と感じれば選考に落ちしてしまう可能性が高くなります。新人賞に応募する際には自分の作風と応募する雑誌の作風を合わせる必要があります。
今はWEB応募に対応しているだけでなく、遅れても次の審査に回してもらえる賞がほとんどです。仕事や家事で忙しい人もぜひ、諦めずにこつこつ描いて挑戦してみましょう。