視聴率とは?
日常生活の中でたびたび耳にする「視聴率」。話題のテレビ番組がどのくらい視聴率を獲得したというニュースを目にする機会もあると思います。視聴率とは一体どういったものなのでしょうか。そして、どのように計測しているのでしょうか。今回は、そんな視聴率とその計測方法についてご紹介します。
視聴率は主に「個人視聴率」「世帯視聴率」の2種類がある
視聴率とは、テレビ番組やテレビCMが放送されていた時間(リアルタイム)に「どのくらいの世帯・人々に見られたか」という視聴量の大きさを表す指標の1つです。したがって、放送内容の価値や質の評価をそのまま数値に反映したものではありません。
現在、多くのテレビ局ではビデオリサーチ(VR社)という調査会社の視聴率データを活用しています。このデータは放送エリアごとに調査されており、調査エリア内のテレビ所有世帯のうち何世帯でテレビをつけていたかを示す「世帯視聴率」と、誰がどのくらいテレビを視聴したかを示す「個人視聴率」の2種類にわかれます。
他にもさまざまな種類の視聴率がある
視聴率には「世帯視聴率」「個人視聴率」の他にもさまざまな種類があります。
・平均視聴率
視聴率は1秒ごとではなく60秒ごとに計測されています。つまり、平均視聴率とは60秒ごとの視聴率を平均化したものです。
・瞬間最高視聴率
一番組の中でもっとも高い毎分の視聴率を瞬間最高視聴率といいます。
・タイムシフト視聴率
録画されたテレビ番組及びテレビCMがどのぐらい再生されたかを表す指標のことを言います。テレビ番組やテレビCMが録画されてから、概ね168時間(7日間)以内にどれくらい再生されたかを測定します。タイムシフト視聴率はあくまで「リアルタイム以外の時間」に視聴された視聴率であるため、通常の視聴率には含まれません。
・総合視聴率
「リアルタイムでの視聴」と「タイムシフトでの視聴」のいずれかで視聴した場合の視聴率となります。つまり、リアルタイムかタイムシフトのどちらか一方で視聴していれば、総合視聴率としては1カウントとなります。リアルタイムとタイムシフトの両方で視聴していた場合は「リアルタイムでの視聴」にカウントされ、重複率が測定に加味されます。
最近よく聞くコア視聴率って何?
コア視聴率とはファミリー層における個人視聴率を表す言葉で概ね13歳から49歳までの個人視聴率を指します。コア視聴率の定義はテレビ各局によって定義は異なりますが、概ね以下の視聴率区分に該当します。
コア視聴率(コア層視聴率区分)
・T層(Teen-age)・・・13~19歳の男女
・F1層(Female)・・・20~34歳の女性
・F2層(Female)・・・35~49歳の女性
・M1層(Male0)・・・20~34歳の男性
・M2層(Male)・・・35~49歳の男性
上記のコア層は他の視聴者区分よりも行動範囲が広く商品やサービスの購買意欲も高いため、優良顧客が多い層としてマス広告を出稿するスポンサー(広告主)は特に重視しています。そういった背景から、テレビ各局はいかに上記コア層に受け入れられる番組やCMを制作できるかを常に意識しているのです。
視聴率の調査方法とは?
視聴率の測定の仕方には、調査会社・ビデオリサーチによる従来の調査方法があります。しかし、近年ではそれ以外にもさまざまな測定方法を導入し、より詳細な視聴率を出しています。
・従来の測定方法
1962年から、ビデオリサーチとよばれる調査会社が長らく調査をしてきました。もともと、関東や関西といった人口の多い地域は多めの世帯数、人口の少ない地域は少数の世帯が調査対象です。
しかし、家族揃って1つの番組を見ている割合は以前と比べて少なくなっており、これまでと同じ測定方法が必ず正確だとは限りません。そのため、現在ではさまざまな測定方法が導入されています。
・ピープルメータ(PM)システム
ピープルメータシステムを用いて個人視聴率を調査します。ピープルメータシステムでは、対象となる家庭に調査用のリモコンボタンが設置され、各人が番組を視聴する度に、自分用のボタンを押します。それにより、誰が、いつ、どの番組を視聴したかが記録され、個人視聴率が集計されます。ピープルメータは略してPMとも呼ばれます。
・オンラインメータシステム
オンラインメータシステムは別名、機械式世帯視聴率調査の調査システムとも呼ばれます。このオンラインメータシステムを用いて世帯視聴率を調査します。対象となる家庭のテレビに測定機器が設置され、該当時間帯にどの番組が見られたかが記録されます。この記録を通して世帯視聴率が集計されます。
・日記式アンケート
日記式アンケートを用いて個人視聴率を調査します。調査員が調査票を対象家庭に配布し、対象者がテレビの視聴記録を記入します。調査票には5分刻みの記入欄があり、対象者は1週間毎日の視聴番組を記入します。ここから個人視聴率を集計します。
まとめると、ピープルメータシステムとオンラインメータシステムは機械式の視聴率測定方法です。一方で日記式アンケートは手動での測定方法になります。また、ピープルメータシステムと日記式アンケートは個人視聴率の測定を目的とした測定方法ですが、オンラインメータシステムは世帯視聴率を計測するための測定方法です。
「視聴率1%」はどのくらいの人が見ている?
「視聴率1%」というと、実際にどのくらいの人が視聴しているのでしょうか。「世帯視聴率1%」という調査結果が出た場合、関東地区では約18万世帯が、「個人全体視聴率1%」は約40万人が視聴したと推定されます。「1%」と聞くと“少ない数”と考えてしまうかもしれませんが、実際に視聴率で換算されると想像以上に大きな値です。
よく視聴率が「高い」もしくは「低い」といいますが、仮に1%の視聴率でも実世帯数・実人数ベースで換算すると相当な数になるのです。
まとめ
今回は、視聴率には目的によりさまざまな種類や測定方法があるということをご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。視聴率はただどの番組がよく見られているのかを測るだけではなく、視聴者が求めていることや世の中の動向を理解することができます。さらに広告媒体としての番組の価値を確認することもできるなど、さまざまな活用が挙げられます。
また近年では、動画配信サービスにおいての放送がされるようになりました。テレビの視聴率と違い、番組を見た回数だけでなく広告にどれほど効果があるのかなど、さまざまなデータをみることができます。これらのデータを分析して、より視聴者のニーズにあった番組内容や広告内容を模索していくことが重要です。