似ているようで全然違うADと助監督
普段皆さんの観ている番組の中にはバラエティ・情報番組・ドラマなど様々なジャンルがあります。バラエティや情報番組ではたくさんのADが活躍していることを知っている人は多いかもしれません。ADの仕事内容については過去にも記事にまとめているので、是非下記も参考にしてみて下さい!
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しかし、実はドラマの現場にはADという役割の人はいません。その代わりに、「助監督」と呼ばれる役割があります。勘違いをしている人が多いところですが、ADと助監督は、単に呼び方が違うだけではなく、明確に違いがあります。
今回は、ADとの違いという視点から、助監督のお仕事についてみてみましょう。
プロデューサーはドラマにもバラエティーにもある仕事
早速それぞれの違いをみていきたいところですが、まずはそれぞれのジャンルの共通点から確認してみましょう。バラエティにもドラマにも必ずプロデューサーがいます。企画を立案したり、お金の管理や事務所とのやりとりなど、ビジネス面から番組を支える役割です。下記の記事も参考にしてみて下さい!
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ドラマの撮影は長期にわたって行われるので、ドラマのプロデューサーは撮影現場にいくことは少なく、デスクワークをしていることが多いそうです。一方、バラエティのロケや収録は隔週で1回と少なめなので、ロケの現場やスタジオにプロデューサーがいて、関係者に挨拶をしていたり、収録内容をチェックしています。このように細かい部分の違いはあるのですが、基本的に、プロデューサーはドラマにもバラエティにもいる共通の存在です。
監督・ディレクターは番組を演出で支える
そして、番組の演出面を担当する役割が監督、ディレクターです。そして、それぞれの元に助監督、AD(アシスタントディレクター)がいます。
ADは、文字通りディレクターのアシスタントという役割です。例えば、リサーチやロケの仕込み、スタジオ収録準備、編集の補助など、ディレクターが円滑に仕事を進めるための下準備を行うイメージです。チーフADになると、複数いるADヘ役割分担をしたり、全体をまとめる役割を行います。そしてやがてPR映像の編集を任せられたりと、ディレクターへの道を歩んでいきます。ディレクターになるまでの期間は、配属先や実力にもよりますが、平均3〜5年と言われています。
助監督とは
一方、助監督にはポジションが存在し、それぞれのポジションごとに明確に役割が設けられています。まずは大まかに、それぞれの助監督の仕事をみてみましょう。
【チーフ助監督】…プロデューサー・監督との打ち合わせ、スケジュール作成、他部署とのやり取り、メインキャスト以外の演技指導など
【セカンド助監督】…衣装・メイク担当、エキストラ演技指導
【サード助監督】…小道具担当、装飾、カチンコ担当
【フォース助監督】…他の助監督の補佐
「あれ、こんなことまで助監督がやるの?」と思った方も多いのでは無いでしょうか。確かに、ドラマのエンドロールをみれば、スタイリストやメイクアップアーティスト、フードコーディネーターなど、それぞれのジャンルの専門家がついていることがわかります。しかし、それらの人たちはあくまでその分野のプロであり、ドラマの台本をスタッフほど入念に読み込むことはできません。
そこで、プロたちにドラマの内容や世界観・キャラクター設定を細かく伝える必要が生まれます。そのコミュニケーションをとることを各助監督が行っています。誰がどこの部署との連携をとるのか、という観点から役割が分かれているのです。
それぞれの助監督の役割
助監督全体の役割は、ズバリ、現場を回すことにあります。監督が全体の演出に集中している間に、各自与えられる役割を全うしています。ここからはより具体的に役割をみてみましょう。
チーフ助監督は、ロケ場所や衣装、場合によっては天候も考慮しながらスケジュールを調整します。ドラマの場合、俳優のスケジュールは限られていますから、効率よく撮影する必要があり、1話のシーンを撮ったあとに3話のシーンを撮る、といったことが頻繁に起こります。こうすることで、役者が着替える時間を節約したり、ロケ場所の都合(◯〜◯時までこの公園が使える、夕日が沈む前に外での撮影を終える必要がある、など)に合わせているのです。連続ドラマでは撮影しながら先々のスケジュールを立てていく必要がある為、
スケジューラーという独立した役職が立つ場合も多いです。これがいかに効率よくできるかはスケジューラーやチーフ助監督にかかっています。また、監督・プロデューサー・出演者との打ち合わせもチーフの役割です。全体の動きを見渡す力が必要であり、全体のまとめ役をしながら監督の補佐をします。
セカンド助監督は衣装やメイク・エキストラを中心に担当します。台本の年代によって、流行のメイクやファッションを把握し、キャラクターの設定によって、おしゃれにしたり、あえて垢抜けない雰囲気にしたりといった設定を細かく伝えます。また、エキストラが必要な場合はオーディションも行います。
サード助監督は、小道具や美術・装飾を中心に担当します。監督や他の助監督と連携し、どのようなものが必要か考え、それぞれの部署と相談して準備を進めます。また、カチンコを打つのもサードの仕事です。
カチンコとは、テレビやバラエティー番組の寸劇でみたことがある人が多いかもしれませんが、小さな黒板のようなものに木をつけたような形をしているものです。カチンコには台本に書かれているシーン番号やカット番号・何テイク目かが書かれています。撮影する順序は物語の順序とは異なりますから、この番号は後の編集でかなり重要な情報となります。また、「カチン」と鳴らすことによって、たくさんあるカメラのタイムを合わせることができます。
余談ですが、カチンコは会社によって色が違うそうです。現場に入ったらぜひ確認してみてください!
フォース助監督は、最初にドラマの現場に入った際につくお仕事です。まだ勉強中なので、他の助監督のサポートをしながら、全体像を学びます。現場によってはフォースのお手伝いをする見習い助監督がいる場合もあります。
「助監督」ときくと、ついつい「監督の補佐役」と想像してしまいがちですが、それぞれに明確な役割のある「職人」というイメージの方が近いかもしれません。
まとめ
ADとの違いという観点から、助監督のお仕事についてみてみましたがいかがでしょうか。それぞれに具体的な役割が与えられていることに驚いた方も多いと思います。しかし、まずは誰もがフォース助監督また見習い助監督からスタートし、学ぶことから始まりますので、フォースの時から「全ての役割を勉強するぞ」という意識を持って現場に入りましょう。