キー局とローカル局の特徴とは?
キー局とローカル局の定義や特徴について、それぞれ見ていきましょう。
キー局
キー局とは中心的なポジションとなっているテレビ局のことです。在京キーと呼ばれることもあります。東京に本社を置き、全国放送される番組を制作放送しているのが特徴です。具体的には次のテレビ局がキー局に該当します。
・日本テレビ
・テレビ朝日
・フジテレビ
・TBS
・テレビ東京
キー局の電波は東京スカイツリーから放送されており、関東地方のほぼ全域に届く仕組みです。そのため、関東地方に在住の人はキー局の電波を受信して番組を視聴しています。関東地方以外の地域では、キー局の電波は届きません。
ローカル局
ローカル局とは、キー局以外のテレビ局全般を指します。ローカル局の多くは、キー局の系列放送局の位置付けになっているのが特徴です。キー局の電波が届かない地域では、ローカル局がキー局と同じ番組を放送しています。
ただし、ローカル局で放送される番組はキー局とまったく同じとは限りません。一部の番組が放送されなかったり、放送日時が遅かったりする場合もあります。キー局では放送されていない、その地域ならではの情報番組などがあるのもローカル局の特徴です。
【ポイント別】キー局とローカル局の違い
ここではキー局とローカル局の違いについてポイント別に紹介します。就職活動をする上で、判断材料として参考にしてみてください。
テレビ局社員の初任給
テレビ局社員の給料は、ほかの業種と比べてやや高めの傾向にあります。キー局の大卒初任給は、諸手当を除いて20〜24万円前後です。諸手当を加えると、新卒で入社してすぐから、月収は28万円前後になります。
ローカル局の場合には、諸手当を除くと18〜22万円前後です。大企業や都市部に本社を置く企業と比べると、特段高いわけではありません。しかし、地方に本社を置く企業の中では、高めの部類に入ります。
待遇
テレビ局は初任給が高いだけでなく、昇給も大きいのが特徴です。入社後、順調にキャリアを積んでいけば、他業種の大企業以上の年収が期待できます。
キー局では、年収が1,000万円を超えることも少なくありません。上位の役職に就ければ、年収1,500万円以上も狙える可能性があります。住宅手当などの諸手当も充実しているため、経済的にも安定しているといえます。
ローカル局の場合には、年収額はキー局の7割程度のところが多くあります。そのため、長く勤めて順調にキャリアを積んでいけば、年収700万円程度は狙えるものと捉えて良いでしょう。上位の役職に就けば、ローカル局でも年収1,000万円以上になることもあります。
また、ローカル局の中でもやや差があり、人口の多い地域のローカル局ほど、平均年収は高くなる傾向です。
人手
キー局は番組や予算の規模が大きいため、人手も多いのが特徴です。しかし、社内だけでは人手が足りていません。
そのため、下請けの制作会社に依頼して番組を制作するケースも多くあります。制作会社に所属するカメラマンやディレクターなどが番組制作に関わっています。
ローカル局の場合には、主に地元密着型の情報系番組などを制作しているケースが多いです。そのため、キー局と比べて番組の規模が小さく、予算もキー局には及びません。人手もキー局には劣るのが実情です。
採用方法
キー局の場合には職種ごとの採用が一般的です。アナウンサー・カメラマン・記者・営業職などに募集枠を分けています。
募集枠が分かれているものの、別部署への異動は可能です。たとえば、アナウンサーの募集枠で採用された方が別部署へ異動するケースがあります。
ローカル局では、キー局と同じように職種ごとの採用をしているところもありますが、総合職としての採用もあります。
総合職の場合には、ずっと同じ職種でキャリアを積めるとは限りません。入社後に人事異動で部署が変更になることもあります。
キー局やローカル局で就職するために必要な学歴
ここではテレビ局に就職するために必要な学力について紹介します。
キー局はMARCHより高偏差値の大学が多い傾向にある
キー局は大企業の中でも特に人気が高いのが特徴です。就職人気ランキングでも上位を争っています。そのため、必然的に要求される学歴のレベルも高くなります。
具体的には、東大・京大・早慶上智レベルの学歴がないと厳しいのが実情です。それより少し下のMARCHレベルの場合、なかなか内定が得られないケースも珍しくありません。
また、地方の大学生だとキー局から内定を得る人はほとんどいません。地方の場合には、地理的にキー局の本社と遠いこともあり不利な面が多いためです。
ローカル局は地方大学でもチャンスあり
ローカル局の就職難易度は、キー局ほど高くはありません。特に首都圏から遠い地方や人口の少ない地方などの場合には、難関大学の学生からの応募者は少なめです。そのため、地方の大学生でも大いにチャンスはあります。
とはいえ、同じ地域のほかの業種と比べると難易度が高くなることもあります。採用人数もキー局ほど多くはなく、数人しか採用しないローカル局も少なくありません。
地元での就職を希望する学生の中ではローカル局の人気が高い傾向があります。そのため、甘く見ずしっかり準備したうえで臨みましょう。
また、東京の番組制作会社で3〜5年ほど経験を積んでから、ローカル局の中途採用に応募するADなどもいます。東京でディレクターの仕事をしていた人なら、即戦力として重宝されることが多いです。
テレビ局への就職を有利にするためのコツ
テレビ局への就職を目指すなら、次のようなことを準備しておくと有利に進められます。
テレビ局の構造を理解する
キー局やローカル局のほかに、独立U局やNHKという選択肢もあります。
独立U局とは、キー局の系列にはなっておらず、独自の番組を制作して特定の地域でのみ放送しているテレビ局のことです。首都圏にも地方にも独立U局があります。
同じテレビ局でも、それぞれ違いがある点をよく理解しておきましょう。
実際の業務について徹底的に調べる
テレビ局でも、アナウンサー・営業・ディレクターなど業務は多岐にわたります。職種によって実際に従事する仕事の内容も大きく異なるため、それぞれの仕事の役割についてよく理解しておきましょう。
単にテレビ局で働きたいだけでなく、自分が何になりたいのか、どんな仕事をしたいのかイメージすることが大切です。
業界を理解する
インターネットの普及により、テレビ局の売上は減少傾向が続いています。今後は、テレビという枠組みだけにとらわれない取り組みが求められます。
そして、近年では民放キー局がYouTubeやサブスクなどへ進出し、配信による収益化を実現しています。「有吉の壁武道館ライブ」や「アメトーーク」の専門配信サイト「アメトーークclub」などが代表的な例です。
このような変化にともない、ADの業務も多様化しています。番組制作に関わる仕事だけでなく、ライブの準備などを行うことも珍しくありません。自分がどんなことで貢献できるのか、よく分析しておく必要があります。
まとめ
キー局は、東京に本社を置く中心的なテレビ局5社を指します。就職難易度が非常に高く、初任給や平均年収も高いのが特徴です。
ローカル局はキー局の系列になっている地方のテレビ局を指します。就職難易度や年収額はキー局ほどではありません。地方の企業の中では就職難易度が高めですが、地方や中堅大学に通う学生でも十分狙えます。
キー局とローカル局の違いに加えて、業務内容や業界の動向などについても理解したうえで、就職活動に臨みましょう。