テレビ局と制作会社の違いとは?就職するならどっちが良い?

テレビ局と制作会社のどちらに就職するべきか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。テレビ局と制作会社では様々な違いがあります。今回はテレビ局と制作会社の違いについて解説します。


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テレビ局と制作会社は役割が大きく異なる

テレビ局と制作会社は役割が大きく異なります。就職活動する際にはそれぞれの役割について理解したうえで、どちらの仕事に就きたいか、どちらが自分に適しているかを判断しなければいけません。

それぞれの仕事内容の違いについて紹介します。

テレビ局は「番組を放送すること」が仕事

テレビ局の主な仕事は「番組を放送すること」です。番組制作に関しては制作会社に依頼をするケースが増えてきています。

例えば、日本テレビではバラエティ番組の多くを日本テレビ子会社である、株式会社日テレアックスオン(AX-ON)に制作依頼しています。AX-ONは、業界大手の制作会社で、バラエティ番組だけではなく、ドラマや映画、ドキュメンタリー番組、インターネット動画も制作しています。

テレビ朝日やTBS、フジテレビでも、現在は半分以上のバラエティ番組が番組制作会社で作られています。また、各局の子会社となる制作会社が設立されており、中でもTBS子会社の株式会社TBSスパークルは規模も大きく、業界最大手の制作会社です。

逆に情報や報道系番組に関しては、多くのテレビ局が自社で制作をしています。ニュースは新鮮な情報をできるだけ早く伝えなくてはならないため、制作会社に依頼している時間がありません。しかし、情報番組内のエンタメ系企画のほか、使用される映像の多くは制作会社が請け負っています。

このように、テレビ番組の局内制作と制作会社制作の割合はテレビ局によって異なるものの、制作会社に番組制作依頼するケースが多いです。テレビ局の役割は「番組を制作すること」より「番組を放送すること」がメインといえるでしょう。

テレビ局は番組を放送し、広告枠をスポンサーに販売して利益を得ています。制作会社とは利益を得る方法も大きく異なると理解しておきましょう。

制作会社は「番組を制作すること」が仕事

制作会社は「番組を制作すること」が仕事です。テレビ局の意見を取り入れつつ番組を制作し、その対価としてテレビ局から利益を得ています。

制作会社には大きく分けて、放送局系(子会社)と独立系があります。放送局系は親会社からの依頼が絶えないため、安定しています。独立系はそれぞれ得意な分野に特化し番組を制作している特徴があります。

制作会社にもプロデューサー職があり、会社によって違いはありますが、予算管理から企画立案、制作スタッフの任命などに関わります。そして、制作した番組に誤りがないか確認する仕事が最も重要です。しかし、誤った情報を放送してしまったときは、テレビ局のチーフプロデューサーの責任になります。

番組の企画は、テレビ局内で募集されますが、制作会社へ企画を募集する場合もあります。制作会社は、企画書を作成し提出しますが、他社との競合になります。独立系の会社なら、自社の強みを活かした企画をテレビ局に持ち込むケースもあります。

テレビ局と同様に、番組制作会社では、ADやカメラマンをはじめとする技術職やリポーター、編集スタッフなどが勤務しています。制作会社では、その職種ごとに求人を募集している場合が多いです。

テレビ局と制作会社のその他の違い

テレビ局と番組制作会社の役割の違いを説明しました。ほかにもまだ違いがありますので、次からは就職難易度や待遇なども含めて詳しく解説します。

競争しているフィールド

テレビ局は多くのスポンサーを集めるために、他局と競争をして視聴率を獲得しなければいけません。もちろん競争は激しいですが、テレビ局を新たに新設するのが困難な現状、数が増えることはないため、ライバルが増えない特徴があります。

動画配信サイトのような別メディアが台頭してくるケースはあるため、テレビ局以外のライバルができる可能性はあるでしょう。しかし、競争相手の数で考えるとそれほど多くないといえます。

一方で、制作会社は高視聴率が取れる番組を低予算で作るために、番組制作会社同士で競争をしなければいけません。制作会社によって得手不得手があるため、すべての番組制作会社がライバルになるわけではありません。

しかし、テレビ局とは違い制作会社は数が多いため、競争は激しいといえるでしょう。テレビ局の放送枠は限られており、その中で自分の番組を使ってもらわなくてはいけない点も競争の激しさに拍車をかけています。

小さい制作会社だと1本のレギュラー番組が終了しただけで会社が経営困難に陥るケースも珍しくありません。競争に勝って番組を放送し続けてもらうことは、制作会社にとって生命線であるといえるでしょう。

就職難易度

キー局と呼ばれるテレビ局には有名大学からのエントリーも多く、数百倍もの倍率をくぐり抜けたうえで就職する必要があります。番組制作の部署や営業部など一括で採用した後、社内研修を経て新入局員の配属先を決める流れとなります。

番組制作会社の応募資格は専門学校卒業以上など、テレビ局に比べると広く募集している会社もあります。しかし、大手になるほど、就職難易度は高くなる傾向があります。

独立系の制作会社では、学歴を問わない会社もありますが、年齢制限を設けている場合があります。そして、制作の部署や経理部などの部署ごと、もしくは職種ごとに分けて募集しているのが特徴です。

また、テレビ局や大手制作会社は夏にはすべての採用が決まりますが、そのほかの制作会社は一般的な就職活動期間中に行われる時期の違いもあります。

テレビ局を親会社にもつ大手制作会社の中途採用は経験者が求められるため、まずはほかの制作会社や人材派遣会社に在籍して経験を積み、転職を目指すのもひとつの手段です。

制作会社への就職を検討しているのであれば、制作会社ごとの社風の違いを理解しておきましょう。「明るい人が多い」「真面目な人が多い」「ノウハウや歴史がある」など、制作会社ごとにさまざまな特徴があり、合う合わないが分かれやすいです。

ここでミスマッチが起きてしまうと、仕事を長く続けることができなくなってしまうかもしれません。インターンシップでの事前調査や面接時の担当者と価値観のすり合わせたうえで、就職するかを検討しましょう。

年収

テレビ局で働いているADの年収は500万円程度です。一方で、テレビ制作会社で働いているADの年収は200〜300万円程度です。

テレビ局と比べて、テレビ制作会社は待遇が悪いケースも多く、離職率も高めであるため頻繁に求人が出されています。もちろん、すべての制作会社に該当するわけではありませんが、こういった傾向があることは知っておきましょう。

仕事のスタイル

テレビ局ではテレビ制作に関与できるのはごく一部の方であり、営業部や人事部に配属されるケースもあります。局が制作している番組の中で、局員は1〜3名ほどと非常に少なく、ほかは派遣社員やフリーランスなどから人材を集めています。

一方で制作会社は同じ番組にコミットして関わり続けることが可能です。制作会社では、会社内にディレクターやADなどを揃えているため、人が足りなくなった場合のみ人材派遣会社に依頼をします。

テレビ局は人事異動が多く、制作会社は少ないという違いもあります。仕事のスタイルは長く働くうえで重要なポイントになるため、自分に適しているか確認しておきましょう。

テレビ局と制作会社どちらに就職するべき?

テレビ局と制作会社には上記のような違いがあります。どちらが自分に適しているのかわからない方もいるのではないでしょうか。

ここでは、テレビ局と制作会社のどちらに就職するべきか判断する基準について紹介します。

待遇面を重視するならテレビ局がおすすめ

テレビ局は部署によっては激務なケースもありますが、定時帰りが可能な部署もあります。入社時の年収については近年減少傾向にあるものの、制作会社と比べると福利厚生も含めて、待遇は安定しているといえるでしょう。

もちろん、長く働き続ければ順当に昇給していくのも期待できます。待遇面を重視するうえ、大手志向であれば、テレビ局がおすすめです。

映像制作がしたいなら制作会社がおすすめ

自分が理想としている映像制作を手掛けたいのであれば制作会社がおすすめです。番組制作に携わりたいのなら、制作以外の部署異動がほとんどない制作会社を選ぶと良いでしょう。

プロデューサーだけでなく、ディレクターやADも番組を兼任する場合があることで激務になることがあります。とはいえ、入社後にオンザジョブでさまざまな仕事に挑戦できるため、やりがいを強く感じやすいです。会社によっては、サブスクリプション系の映像配信サービスの番組制作や企業映像、ドラマ制作なども行っており、さまざまな形で映像制作に携わることができます。

映像制作に特化したキャリアを築きたいのであれば、制作会社への就職がおすすめです。映像制作に情熱を持っている方や、映像制作が好きな方であれば、ハードな仕事内容でも楽しく働き続けられるでしょう。

さらに、制作規模が大きく、多くのお金が動いていて、業界としての成熟度も高いテレビ業界で豊富な経験を積んだ方がYouTubeやWeb番組、サブスクリプション系の映像制作に携わっている現状があります。そのため、スキルや経験次第で活躍し続けられる映像業界で長く頑張りたいと考えているなら制作会社への就職がおすすめです。

まとめ

テレビ局と制作会社にはさまざまな違いがあり、どちらにも働くうえでのメリット、デメリットがあります。キャリア形成にも違いが生まれるため、就職活動の際は将来も見据えて考えることが必要です。

しかし、どちらに就職する場合でも番組制作における熱意があれば、十分に楽しんで仕事ができます。就職活動の際はその思いを伝えれば、望んでいる結果に近づくことでしょう。