ドラマや映画の作曲家「作品の印象を音楽で表現する仕事」劇伴作家とは?

皆さんは劇伴作家という職業をご存じでしょうか。 「作家」という言葉がついているので、一言では伝わりにくいのですが、映画やテレビドラマ、アニメの音楽を作曲している人を指します。つまり、映像作品専門の作曲家なのです!作曲家と...


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皆さんは劇伴作家という職業をご存じでしょうか。
「作家」という言葉がついているので、一言では伝わりにくいのですが、映画やテレビドラマ、アニメの音楽を作曲している人を指します。つまり、映像作品専門の作曲家なのです!作曲家という肩書きで活動している人もいますし、音楽プロデューサーと言われることもあります。ここでは、劇伴作家という呼び名で統一してみていきましょう。

劇伴作家の仕事(ドラマ音楽の制作工程)

①監督・プロデューサーと打ち合わせ

撮影が始まると忙しくなってしまうため、クランクインの前にはじまることが多いようです。しかし撮影が始まってからバタバタで準備になるパターンもあり、作品によるところが多いのが実情です。ドラマのサントラのプレイリストをみたことがある方は想像がつくかもしれませんが、ほとんどのドラマが20曲以上、アニメだと40~50曲以上の音楽を使っていたりと、バリエーションも様々です。でも、全ての曲を聴くとどこか統一感のあるような印象があります。ドラマのテーマ曲をはじめとして全体のイメージを統一しつつ、様々なシーンで使える曲を作るのです。

②曲の作成

打ち合わせが終わればいよいよ作曲です。最初はプロモーションに利用されるテーマ曲を作ることが多いそうです。重要な仕事なのですが、納期が短く、2〜3日でやらなければいけないこともあります。また、テーマ曲のOKがもらえたらそのほかの曲の制作も始まります。40~50曲を1ヶ月で仕上げ、修正にも対応するため、1日1曲以上のペースで作り上げることになります。
大変な作業ではありますが、テーマ曲を考えたり、台本を読みながら好きなキャラクターのテーマ曲を作ったりと、想像を広げながら行う作業でもあるので、楽しい時間でもあるようです。

③録音・整音

一通り曲が完成したら録音の準備を始めます。演奏者さんに譜面を作って渡すなどの準備をします。また、時には音楽ソフト上だけで曲を完成させることもあるといいます。

例えば深夜ドラマなどでは予算が潤沢でないことが多いので、あまり多くの演奏者が参加するような曲は少なかったりします。そう考えると、確かに大河ドラマなど大きな規模のドラマはオーケストラが演奏するような壮大な曲が多い印象がありますね!

録音がおわると、データの整音が進められ、時にはエンジニアさんと相談して調整しながら曲を完成させていきます。

④納品

音楽が完成すれば納品してひと段落。選曲は音効という効果音をつけたりする役割の人が担います。作曲家が作った音楽の意図を汲み取り、作品をアレンジする役割です。このお仕事についても興味がある方はこちらの記事もご参照ください。
★check!!➡テレビ番組の完成度をグンと引き上げる職人!音効さんの仕事とは?

売れっ子はコンサートを開くことも!劇伴作家の活躍の場

納品すればそれで終了なのかと言われると、そういうわけでもありません。仕事内容をみると、やはり作品を引き立てる脇役なイメージが強い劇伴作家ですが、有名な方もたくさんいて、中にはコンサートを開くような人もいるのです!売れっ子の作家は特定のファンが多いアニメを担当している人が多いようです。たしかに、好きなアニメの世界観を楽しめるようなコンサートがあればファンは必見ですね!

筆者も劇伴作家のコンサートに行ったことがあるのですが、その時は1曲目がはじまった途端に「ぐすんぐすん」と隣から音が…なんと隣の方、感動して涙を流しておりました!有名なドラマのサントラだったのでファンは多いと思ってはいたのですが、心から感動する人を目の前で見て、音楽の力を感じました!

劇伴作家になるには

ここまで劇伴作家の仕事をみてきて、実際にやってみたいと思った方もいるのではないでしょうか。それでは具体的にどのような進路で劇伴作家になる人が多いのかみてみましょう。

音大に入った方がいいか

今はPCでの作曲もできる時代で独学で成長している人もかなり多くいます。そのため、音大に入った方が良いかは意見がわかれるところではあります。しかし、まだ中高生で音楽の道に進みたいという強い意志があるのであれば、音大に入るに越したことはないでしょう。音大に入った方が作曲の技術をプロから学ぶことができますし、周りも音楽好きの仲間ですから、社会に出たあともつながりが生きてくることでしょう。音大には在学中から楽曲制作を仕事として作曲を請け負う人もいます。

その一方で、プロで活躍する人の中には、音楽とは全く関係ない学部で勉強してきた人もいますし、現場に出てたたきあげで学ぶ人もいますので、既に音大以外の大学に通っている人も諦める必要はありません。

大切なのは音楽が好きな気持ち!

サントラについては、普段映画やドラマを見ているときに意識することが少ないかもしれません。物語のテーマや雰囲気を理解して作曲する仕事なので、読解力やキャラクターの気持ちに入りこむ力も必要です。しかし、物語と音楽が好きな人にとってこれ以上のお仕事はないのではないか、というほど魅力的な仕事です。しかもドラマ・映画・アニメ、時にはドキュメンタリーやCMなど、ジャンルを問わず作品に関わることができるので、テレビと音楽が大好きな人にはうってつけです。

今から始められる音楽活動

先程、音大進学の選択肢についてみてみましたが、大学に行く前にもできることはあります。例えば「DTM」(Desk Top Musicの略)というものがあり、楽器が演奏できなくてもPCやスマホで作曲ができます。最近は無料のソフトの中にも良いものが多くなってきていますので、気になる方は「DTM」について調べてみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は、劇伴作家という仕事について、音楽の進路についてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。芸術の分野ですから誰もがなれる仕事ではないですが、近年はソフトも進化して音楽に挑戦するハードルも下がってきています。挑戦してみたいと思った人はぜひ行動してみましょう!