【エンタメ業界豆知識】オリンピックの正式競技になった『eスポーツ』の種目には何がある?

2024年7月、国際オリンピック委員会(IOC)が、eスポーツの国際大会「オリンピック・eスポーツ・ゲームズ」を開催すると決定して話題になりました。 eスポーツが正式にスポーツ競技として認められ、2027年には、サウジア...


この記事は約9分で読み終わります。

2024年7月、国際オリンピック委員会(IOC)が、eスポーツの国際大会「オリンピック・eスポーツ・ゲームズ」を開催すると決定して話題になりました。
eスポーツが正式にスポーツ競技として認められ、2027年には、サウジアラビアで初めてのeスポーツオリンピックが開催されることになります。
今回は、eスポーツの国際大会がなぜ新設されたのか解説しながら、詳しい競技種目まで深掘りしていきます。

国際オリンピック委員会が認めたことで、eスポーツのプレイヤーがアスリートとして認知されるようになった

国際オリンピック委員会がeスポーツの国際大会を開催するということは、eスポーツが正式なスポーツ競技として認められたことを意味するといいます。

eスポーツプレイヤーをアスリートとして認めるかどうか議論が巻き起こっていましたが、国際オリンピック委員会の決定でeスポーツが世界中の人に知られることになり、プレイヤーの社会的地位も大きく向上するとされています。

なぜ国際オリンピック委員会によって、eスポーツの国際大会がなぜ新設されたのか?

「オリンピック・eスポーツ・ゲームズ」の新設により、eスポーツは競技として大きな一歩を踏み出したと言えるでしょう。

一方で、そもそもなぜ国際オリンピック委員会がeスポーツの国際大会を創設するに至ったのでしょうか。その背景には、若者のスポーツ離れを食い止めたいというねらいがあったようです。

国際オリンピック委員会は、2021年に公表したオリンピック改革案のなかで、≪若い世代がスポーツやオリンピックに興味を持ってもらえるよう、バーチャルスポーツを大会競技として検討する≫と発表していました。

eスポーツが盛んなサウジアラビア

第1回「オリンピック・eスポーツ・ゲームズ」は、国際オリンピック委員会と、サウジアラビアの国内オリンピック委員会が提携して開催されます。このパートナーシップは12年間続くようで、2027年以降も定期的な国際大会の開催が予定されています。

サウジアラビアが国を挙げて進めるエンターテイメントのギガプロジェクト『ギディヤ』

サウジアラビアは、国を挙げてゲームを主要産業化しようとする動きが盛んな国です。サウジアラビアのギガプロジェクト『キディヤ』は、エンターテインメントやスポーツ、カルチャーをテーマにした街『キディヤ・シティ』の建設を発表しています。「キディヤ・シティ」の中に、「ゲーミング&eスポーツ地区」を建設し、サウジアラビアが世界中のゲーマーを魅了し、ゲームとeスポーツのグローバルな中心地となることを目指すそうです。

世界初の『ゲーミング & eスポーツ地区』が用意されている

この施設は、50万平方メートルを超える世界初の『ゲーミング & eスポーツ地区』で、世界トップクラスのeスポーツを受け入れ、トレーニングや競技をしながら生活できる場所を提供するなど、eスポーツのアスリートにとっては最高の環境が用意されます。

国際オリンピック委員会との提携を後押しに、サウジアラビアによるゲームとeスポーツへの投資は今後も活発化していくと予想されています。

史上初の「eスポーツ・ワールドカップ」が首都リヤドで開催された

サウジアラビアの首都リヤドで、2024年7月3日から約8週間にわたり行われていたのが史上初の「eスポーツ・ワールドカップ」

賞金総額はなんと6,000万ドル(約90億円)を超え、約500のチームと1,500人の選手が参加したこの大会は、eスポーツ史上最大のイベントとなりました。

来場者を200万人以上集め、開催期間中はリヤドへの訪問者数は前年同期比で29%以上増加したといいます。同大会の視聴者数は5億人、総視聴時間は2億5,000万時間を超え、2024年の世界記録を樹立した大会となりました。

日本からは、格闘ゲーム「ストリートファイター6」と「鉄拳8」が同大会の競技として選出されました。

そもそもeスポーツってなに?

eスポーツとは、「エレクトロニック・スポーツ(Electronic Sports)」の略称です。
コンピューターゲーム、ビデオゲームなどを使った対戦競技で、徐々にプロスポーツとしての地位を確立してきました。

実はeスポーツ歴史は深い!1980年代から存在した

eスポーツの歴史は古く、コンピューターゲームが誕生した1980年代まで遡ります。

当時から各地でゲーム大会は行われてきましたが、1990年代にインターネットの普及とともに拡大し、2000年代から賞金付きの『eスポーツ大会』が開催されるようになったといいます。

その後、2010年代以降、eスポーツの市場は急速に拡大します。大規模なトーナメント大会のひとつに「League of Legends World Championship」があり、2020年には1分間のオンライン視聴者2,180万人を記録しています。

eスポーツの種目ってどんなものがあるの?

eスポーツにはさまざまな種目と競技があります。
主にFPS、格闘ゲーム、MOBA、パズル、DCG、スポーツ、音楽ゲーム、RTSなどです。
ここからは種目の特徴や、人気のゲームを詳しく見ていきましょう。

リアルな世界で戦闘体験ができるシューティングゲーム『FPS

『FPS(ファースト・パーソン・シューター)』は、ゲーム内キャラクターの視点で進めるシューティングゲームです。あたかも自分がゲームの世界に入り込んだかのようなリアルな感覚でプレイできるのが特徴です。

家庭用ゲームPS4は、PlayStation Plusに加入(有料)することで、世界中のプレイヤーと対戦することができます。

近年はストーリー性のあるFPSゲームも多くリリースされていて、映画や小説のような臨場感を楽しめるのも魅力の一つ。FPSで人気のゲームは、戦争をテーマにした、チームでもソロモードでも楽しめる「Call of Duty」があります。

1対1の対戦で豪快に戦う『格闘ゲーム』

『格闘ゲーム』は、eスポーツの中でも特に熱い盛り上がりを見せます。1対1の対戦でキャラクターを操り、戦略的な駆け引きや、アクションで華麗な技を繰り出す豪快さが魅力です。

日本では1990年代から、ストリートファイターなど格闘ゲームのトーナメントが盛んに開催されました。

中でも「鉄拳」は、バンダイナムコの開発したゲームで30年という歴史を持つレジェンド的な存在です。eスポーツでは「TEKKEN World Tour」というタイトルが行われていて、世界中のプレイヤーが参加し、手に汗握る戦いを繰り広げます。

仲間と助け合いながら敵チームと陣地を取り合う『MOBA』

『MOBA(マルチオンラインバトルアリーナ)』ゲームは、主に5人1組のチームに分かれて、戦略的を立てて陣地を取り合い、敵チームの拠点破壊を目指します。単に敵を倒すだけのゲームではなく、それぞれがキャラクターと役割を持って、チーム全体で戦略を練りながら戦っていくのが特徴です。

そのため、互いに助け合う必要があるため、チームワークが勝利へ導くポイントです。

eスポーツではDota 2の世界タイトル「The International(ジ・インターナショナル)」が賞金総額30億円を超えることもある人気の種目です。

幅広い年齢層に人気の手軽なゲーム『パズルゲーム』

パズルゲームは、大人から子どもまで幅広い年齢層に人気のゲームジャンルです。

瞬時の判断能力や思考力が求められるものも多くあります。最近はスマートフォン向けのパズルゲームも人気を集めており手軽に遊ぶことができます。

eスポーツに採用されている代表的なゲームは「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」「ぷよぷよeスポーツ」などです。

パソコンやスマホを使って遊ぶカードゲーム『DCG

『DCG(デジタルカードゲーム)』は、パソコンやスマホを使って遊ぶカードゲームで、無料でできるゲームが多く、お手軽に始められるのがいいところです。

DCGは、ただカードを引くだけのプレイではなく、敵を倒すための戦略やアイテム活用など、創造性が求められる奥深さも魅力です。好みのデザインのカードで、対戦したりコレクションしたりする楽しみもあります。

eスポーツではBlizzard Entertainmentの「ハースストーン」、日本のCygamesが開発した「シャドウバース」があり、国内外でタイトルマッチが開催されています。

サッカーや野球をゲームの世界で再現した『スポーツ』

eスポーツの『スポーツ』という種目は、現実のスポーツをゲームで再現したジャンルのことです。例えば、サッカーの「efootball」、野球の「WBSC eBASEBALL™パワフルプロ野球」、バスケットボールの「NBA 2K」などが代表的なゲームです。

その中でもレースゲームは、長年多くの人々を魅了してきました。

eスポーツでは、F1公式ライセンスを受けた「F1」、膨大な車種とカスタマイズが可能な「グランツーリスモ」などの大会があり、プロゲーマーによるレーサーさながらのドライビングテクニックは圧巻のひと言です。

また、皆さんもよくご存じの「マリオカート8 デラックス」も老若男女問わず人気のゲームであり、競技大会も盛に行われています。任天堂公式では、各国のチャンピオンを集めた「マリオカート8 デラックス ワールドチャンピオンシップ」も開催しています。

『太鼓の達人』などの『音楽ゲーム』

音楽ゲームは、リズムに合わせてタップしたりボタンを押したりする、集中力や反射神経などが問われるゲームです。ゲームセンターにある「太鼓の達人」は、馴染みがある人が多いのではないでしょうか。

音楽ゲームのeスポーツ大会には、2021年からコナミ「beatmania IIDX」主催の「BEMANI PRO LEAGUE」などがあります。音楽と戦いで盛りあがります。

1人で複数のキャラクターを動かして、1対1で対戦する『RTS』

『RTS(リアルタイムストラテジー)』ゲームは、プレイヤーがユニット(部隊・コマ)を生産・指揮しながら敵陣地を攻略していく戦略ゲームの一種です。

ユニットの配置やタイミング、資源管理など、様々な要素を考えながら素早い判断と的確な操作が求められます。

MOBAと似ていますが、MOBAは主に5人対5人のチームでプレイするのに対して、RTSは基本的に1対1で複数のキャラクターを動かすのが特徴です。

RTSの代表的なタイトルは、3分間の制限時間内に対戦相手のタワーを倒す「クラッシュロワイヤル」や、4つの種族から1つを選んでグループを作って、敵地を攻撃して勝利を目指す「Warcraft III: Reforged」などです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。eスポーツという言葉は知っていても、実際何をやっているのかわからなかったという人も多いと思いますが、意外と聞きなれたゲームも出てきましたよね。eスポーツ業界はこれからもどんどん盛り上がっていきそうなので、ぜひ注目してみてください!