テレビ業界にはさまざまな専門学校卒のスタッフが活躍している!
専門学校の中には、「テレビ制作の技術職」に特化した学校がいくつかあります。ADさんからディレクター・プロデューサーを目指す学科はもちろん、照明さん・音響さん・美術さん・メイクさん・衣装さんなどを目指す学校・学科もあります。テレビ局の資本や協賛が入っている学校もいくつかあり、就職時のバックアップも強みです。それぞれどんなことが学べるのか、くわしく解説します!
番組制作
ディレクター、放送作家、マネージャーなど、番組制作現場に携わるためのスキルを学びます。
ディレクターだけでなく、放送作家やマネージャーにも番組制作のノウハウが必須のため番組制作演習やドラマ制作演習などの実習を中心に、番組制作の一連の流れを学びます。
また、番組つくりに欠かせない、企画・リサーチ、シナリオ、映像編集、撮影などの演習でさまざまなスキルも身につけられます。
番組制作の演習では、実際にプロデューサー・ディレクター・タイムキーパー・放送作家役などを担当し、企画・演出力を身につけたり、現役のマネージャーさんによる講義でタレント・俳優のマネジメント術を学んだりもできます。
また、撮影・照明・美術・音声などさまざまなスタッフと行うグループワークや、企画から撮影・編集・完成までの一連の作業をひとりでオペレーションできる力を身につけられる授業がある学校もあります。
技術面に関しても、実際のテレビ制作現場で使われている編集ソフト「Premire Pro」の授業がある学校が多いため、現場ですぐに活躍できるスキルが身につけられます。
カメラマン・放送技術
このような学科ではテレビカメラマンのほか、動画の編集を専門に行う映像エディターや各種機材の設定や調整を行うビデオエンジニア、近年ではWEB配信などを専門に行う映像配信技術者などの進路があります。
ほとんどの学校では放送局と同等の最新機材を使った実習を数多く実施されているため、実践的なカメラワークや編集技術、映像センスが身につけられます。
実は、バラエティ番組・音楽番組・ドラマなど、ジャンルによって映像のつなぎ方や加工の仕方は大きく異なるため、このような専門学校では映像編集のつなぎ、テロップ作成、エフェクト・CG加工において各ジャンルに対応した編集技術を学ぶことができます。
テレビ番組、音楽ライブ、eスポーツなど、Web配信の需要がさまざまな業界に広がっているのに対応して、実際の配信オペレートやオンラインイベントの運用、システム構築などが学べる講義も増えてきています。
照明
照明の専門学科では、テレビ番組はもちろんコンサート、演劇、イベント、ミュージカルをはじめ、アミューズメントパーク、ブライダルに至るまで全ジャンルの照明技術が学べます。
ひとくちに「照明」といってもその業種は細分化されており、テレビ制作の現場で活躍しているライティングオペレーターや電飾さん、演劇やコンサートなどの舞台演出で主に活躍しているライティングディレクター、ライティングデザイナー、舞台照明家、ピンスポットオペレーター、ムービングライトオペレーターなどさまざまです。
多くの専門学校では、実際に現場で使うものと同じような調光卓が設置された照明専用スタジオやテレビスタジオ、ムービングライトやLED照明などの機材が完備されており、実践的なスキルが学べます。また、仕込図を作成する「Vectorworks」や照明による演出のシミュレーションを行う「L8」など、今や照明のプランニングをするうえで必須のソフトも基礎から学び、業界で即戦力となる力が養えます。
コンサート照明演習でコンサートの照明プランの立て方、調光卓やピンスポットのオペレートなどを学んだり、番組制作演習で音楽・バラエティ・情報などのテレビ番組を自分たちで制作し美術セットや出演者の位置を考慮した照明の当て方など、必要な照明技法を実践の中で習得できます。
音響
テレビ制作において「音」にまつわるプロフェッショナルは欠かせません。
専門学校ではミキサー・マイクなどの音響機器の取り扱いや、テレビ番組制作における音響スタッフの仕事についてが学べます。さらに、音響業界標準のソフト「Pro Tools」の操作方法も実践的に学べる学校が多いです。
卒業後の進路としては、出演者の声や音楽の音質・音量を調整・録音するいわゆる「MA」と呼ばれる作業を行う「ミキサーさん」、各種マイクを使い分け、撮影中の音声を録る「音声さん」、テレビ番組のBGMや効果音を用意し、つける「音効さん」などがあります。
美術
主にスタジオセットや収録で使う大道具・小道具を担当しているのが「美術」というお仕事です。
専門学校ではバラエティ番組やドラマのスタジオセット制作を行う「大道具」、美術セットの家具や装飾品、食べ物などを用意する「小道具」、セットの飾りや出演者の装身具などをコーディネイトする「装飾」、番組の世界観に合った造形物をつくる「造形」など、美術に関するさまざまなスキルが学べます。
実際にパネルやひな壇などの美術セットを建て込みながら、道具の名前や使い方を覚えたり、工具の種類や使用方法、材料(木材・発泡スチロール・布類など)の特性を学びながら、大道具制作を実践したりと、現場ですぐに活躍できる力が身につきます。
また、現場でよく使われている「Vectorworks」というソフトを使用して、テレビ番組のセットをデザインする授業がある学校もあります。
ヘアメイク・かつら
タレントさんや俳優さんたちのヘアメイクやドラマ・映画撮影の時などに使われるかつらのプロを目指す専門学校もあります。
このような学校では、TV・映画・舞台で求められる役づくり、ストーリー演出にふさわしいメイクやスタイリングなど、業界に必要なテクニックを実践的に学ぶことができます。
テレビ業界で現役で活躍しているOB・OGや講師の指導のもと、カラーコーディネートや特殊メイクに至るまでをトータルに習得することができ、卒業時には美容師国家資格が取得できるカリキュラムになっていることがほとんどです。
在校中から映画やドラマ、 CM、MVなどの現場で研修できる学校も多く、即戦力のスキルが身につけられます。
卒業後はヘアメイク事務所に所属したり、ある程度力や人脈がつくとフリーになって活躍することが多いです。
衣装・スタイリスト
バラエティ番組などで使用する衣装を準備する「衣装さん」や、タレントさん・事務所から依頼を受けて衣装を準備する「スタイリストさん」は服飾の専門学校を卒業している方が多いです。
専門学校では基本的に服飾に関する知識を幅広く学びます。
スタイリストのアシスタントとして、アイロンがけや、すそ上げなど基礎的なテクニックを身につけたり、本格的なライティング機材と最新のデジタルカメラを使って、撮影技術とスタジオワークをマスターするなどの授業もあります。
服飾の専門学校も、テレビ業界で現役で活躍している講師に教わったり、実際にテレビ制作の現場で研修できる機会がとても多いです。
卒業後はテレビや舞台の衣装を専門とした衣装会社に就職したり、フリーで特定のタレントさんや事務所さんと契約して働くパターンなどがあります。
番外編
養成所
専門学校とは少し違いますが、「放送作家」「構成作家」「ナレーター・声優」を目指すための学校もあり、それらは一般的に「養成所」「スクール」などと呼ばれています。
大学在学中にダブルワークで通うケースや、大学卒業後や社会人になってから学び直しや転職のために通う方が多いです。
こちらも、専門学校と同じく現役で活躍している講師が授業を持つことが多く、短期間で実践的なスキルを身につけることができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
テレビ業界は大学などで専門的なことを学んでいなくても働くことができますが、テレビ業界で働くことに特化した専門学校もたくさんあり、実際にそういった専門学校を卒業して現場で働いているスタッフもたくさんいます!
専門学校で学ぶことの強みは、テレビ業界で現役で活躍している人たちから直接教えてもらえることや、現場で実際に研修できる機会が多いこと。また、なんといっても就職率の高さです。
業界につながりのある学校がほとんどなので、毎年卒業生たちのほとんどが希望の進路に就いています。専門学校によって強い職種・強い会社が違うので、これから進路を考える方で専門学校にも興味がある方はぜひ様々な学校を調べて比較検討してみてください!