【テレビ番組制作の基本】スタジオ収録の流れとADの仕事内容

スタジオ収録とは? スタジオ収録とは、ロケとは異なり、局などのスタジオでセットやCGを使って収録するものです。 このスタジオ収録と外で撮影するロケとでは、準備や当日の流れが違うので、今回は「スタジオ収録」での流れに関して...


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スタジオ収録とは?

スタジオ収録とは、ロケとは異なり、局などのスタジオでセットやCGを使って収録するものです。
このスタジオ収録と外で撮影するロケとでは、準備や当日の流れが違うので、今回は「スタジオ収録」での流れに関してお話していきたいと思います!

準備期間

準備期間は、主にリサーチや許可取り、素材集めが多く、基本的にデスクワークです。
番組で使用するネタの案や、企画会議で決まったネタに必要な情報をリサーチします。また、企画会議前には、ネタの候補、出演者のプロフィールなどのリサーチもします。
その後、リサーチした内容を元に資料作成を行います。
その際、使用するネタや情報の許可取りも必ず行い、使用する素材も集めていくという流れが基本です。

この作業はロケ番組でも行うのですが、ロケ番組で必要な「場所の仕込み」や「ロケハン」、
「買い出し」などの作業がスタジオ収録にはあまりありません。

収録前日

収録の前日は基本的にロケ番組と同じような作業がありますが、スタジオ収録ではカメラの準備は必要ありません。これは、テレビ局内などスタジオ撮影の際には、スタジオ内のカメラや機材を操作・管理する技術会社やスタッフがいるため、制作側が機材等の準備をする必要がないからです。では、具体的に何の準備が必要なのかお話していきます。

資料の準備

準備する資料は番組によって異なりますが、基本的には同じです。
台本、スケジュール、出演者の情報、ネタに関する資料等を必要な部数分印刷します。
資料にミスがある、資料が足りないなどのことがないように、入念にチェックしておくことが必要です。

カンペの準備

カンペの作成はスタジオ収録でもロケでも必須です。
カンペは、本番中にアナウンサーやMCなどの出演者へ残り時間を伝えたり、番組の進行を指示したり、台詞や歌詞などを、カメラに映らないところから声を出さずに伝達する指示書のようなものであり、番組収録の上でとても大切な小道具です。
収録前にはADさんが深夜までカンペ作りに追われ、本番直前までバタバタと手直しが続くこともあります。
時には、出演者が、その内容を指摘して笑いのネタにするシーンを見かけることがあると思いますが、カンペはまさに撮影現場の縁の下の力持ちなんです。
カンペの作成においては、読む側の立場も考えながら作成することが重要です。
行間が狭ければ狭いほど読みにくくなるため、間隔をあけたり、下線や文字に色をつけて読みやすいように工夫をしています。また、長い文章でも出演者が読みやすいように、改行をしたりと様々な配慮をしています。

制作グッズの準備

制作グッズの準備とは、収録に必要なものをBOXに入れていく作業です。
準備する道具は番組で必要な備品、プロッキー養生テープガムテープドラテその他文具など、収録で使うもの全てです。
これらの制作必需品は番組ごとにBOXで管理されていることが多いので、
当日、あれがない!とならないように漏れがないか確認しながら準備をしていきます。
ロケの場合には、防寒・防暑グッズ、傘など天候による対策と準備必要ですが、収録準備では室内撮影のため必要ありません。

収録当日

収録当日は、美術さんがスタジオにセットを準備してくださり、そこで収録を行います。
ロケで言う「ロケハン」のように、「カメリハ」という事前の確認・リハーサルがあったりと、ロケ番組とは違う動きがありますので紹介していきます。

資料や道具の設置

集合して先ず行うのは、資料や道具をスタジオに運んで並べることです。
前日に準備した資料をみんなが取りやすいよう、見やすいように並べます。
道具も、必要なものを必要な場所に移動させておきます。また、演者さんの「たまり」(前室)といって、収録中に演者さんが合間の休憩場所として使用する場所もつくります。「たまり」として決まった場所に机と椅子を並べておきます。

バミリ

出演者の立ち位置や大道具・小道具の位置などにつける印のことをバミリといいます。
ディレクターやカメラマンに「バミって!」などと言われたら、ガムテープなどで出演者に分かりやすいように印をつけます。
このバミリには、出演者が自分の立つ場所や向きがわかったり、CM中やVTR中、セットチェンジの際など短時間で物を入れなければならない場合に、速やかに決めた位置に持って行くことができるようにする目的があります。番組を進行していくうえで重要なことのひとつです。

カメリハ

ロケでは事前に「ロケハン」を行いますが、スタジオ収録では収録の前に「カメリハ(カメラリハーサル)」を行います。
カメリハでは、出演者の名前が書かれた札をつけて、出演者と同じ動きやリアクションをとり、カメラマンが立ち位置やピントを確認できるようにするために行います。
カメリハ中にも「バミリ」の作業が発生するので、指示されたらすぐにバミリテープを貼れるよう、準備しておく必要があります。
収録本番でスムーズにいくよう、しっかりカメリハで確認し、修正箇所があれば修正します。
準備万端で収録に臨みます!

収録

収録中は、主にカンペを出したり物出しをしたりします。
観客ありの番組では、収録前に番組の内容を説明したり、リアクションの確認をする「前説」を行います。
カンペに関しては、出すのは基本的にはディレクターですが、ADが出す場合もあります。
該当のカンペを、演者さんが見やすい位置に出します。
また、物出しや物の撤収作業があったり、カーテンを開ける作業があったりと番組によって
様々な作業があるので、自分のやらなければいけない役割をしっかり把握してテキパキと動くことが重要です。

そして、収録時に出演者の出番を知らせたり、スタジオの移動がある場合は誘導をしなければならないこともあります。

収録中は基本的にインカムを通して指示されるので、インカムに耳を傾けながら自分のやるべきことをこなし、想定外のことにも対応できるように余裕をもって行動します。
各スタッフと連携をとりながら臨機応変に対応することが、スムーズな収録につながります。

このように、収録中は様々な作業がありますが、組を盛り上げるために自ら大きな声で笑うことも大切な仕事です。やるべきことをこなしつつ、収録を思い切り楽しんでいます!

収録後

収録が終わって一旦ホッとしますが、すぐにまたやらなければならない作業があるので気は抜けません。華やかな収録の後にもなくてはならない大切な作業が残っているのです。

バラシ

スタジオ収録が終了し出演者が現場から居なくなった後は、決められた時間までにスタジオをバラす(片づける)作業があります。
スタジオのセットや大道具などは美術さんがバラしますが、台本やカンペ、制作グッズ、備品、ゴミなどはADがバラします。
紛失物や忘れ物がないように全て撤収し、ゴミもしっかり片づけて綺麗にしてスタッフルームへ戻ります。

デジタイズ

デジタイズとは、ロケや収録で撮影した収録メディアを編集するためにPCに取り込みデータ変換することです。
収録素材の管理を担当するADは、ディレクターがすぐに編集作業へ入れるように、映像データをハードディスクへ取り込み、ディレクターへ迅速に渡す業務を行う必要があります。
収録が終わって放送するまでの時間は限られており、編集作業ができる期間も短いことが多いので、ディレクターを待たせてストレスにならないよう、ADは急いでデジタイズに動きます。

まとめ

今回は、スタジオ収録の流れについてお話ししましたがいかがだったでしょうか?
ロケと共通している作業もありますが、ロケとは全く違う作業もあったりとスタジオ収録ならではの仕事が色々あることがお分かり頂けたかと思います。
収録当日はもちろんですが、準備や収録後の作業もあって、ひとつの番組が出来上がっているのです。大変なこともありますが、収録を生で見られる特別感や楽しさは大きいです。是非、みなさんも番組制作の現場に飛び込んでみてください!