ドラマやバラエティーで見かける料理の数々。ドラマのストーリーに必要だったり、スタジオで試食したり、料理はテレビ番組にとって欠かせない要素の一つです!ではその美味しそうな料理は誰が作っているのでしょうか。そしてその撮影にはどのような工夫がされているのか。今回は、食べ物の撮影におけるキーパーソンや撮影テクニックまで裏側を徹底紹介します!
テレビに出てくる料理を作っている人は誰?
テレビに出てくるほとんどの料理を作っているのがフードコーディネーターという職業の方です。フードコーディネーターとは、一般的には「食」に関するあらゆる業務を担当するお仕事です。食の知識・技術を用いてさまざまな情報を提供したり、新しい食文化のトレンドを作ったりと多くの仕事を担当しています。例えばレストランをプロデュースしたり、商品を開発することが想定されます。一見テレビ業界とは遠そうな職業ですが、テレビに登場する料理を作る、そして美味しそうに見せることを専門にやっている人もいて、活躍の場がたくさんある職業といえます。
フードコーディネーターは料理人・調理師とは異なり、「フードビジネス」を手広く手がけ、多くの人のニーズに応えることが求められます。また、仕事として接するのは、直接の消費者ではなく、食品メーカーの業務担当者、レストランの経営者、テレビや雑誌などの制作担当者になります。「料理が好き」「調理が得意」といったポイントも重要ですが、フードコーディネーターとして活躍するには専門的な知識・技術、さらに企画力も必要になるでしょう。
フードコーディネーターになるには?
では、どうすればフードコーディネーターになることができるのでしょうか。まずは「日本フードコーディネーター協会」が主催する資格試験に合格し、「フードコーディネーター資格」の取得を目指しましょう。これは国家資格ではないのですが、現場で働くスキルの基準として指標とされています。最終的にフードコーディネーターとして活躍するには1級の資格が必要になりますが、まずは3級から挑戦してみましょう。
働き方としては、食品メーカーや外食産業に就職して、商品開発や店舗運営等を経験し、フードコーディネーターとしての仕事をしていく場合が多いです。また、フリーランスで仕事を請け負っている人も多くいます。
学べるのは大学?専門学校?
では、フードコーディネーターとしての知識を学ぶには、どこに進学するのが適切なのでしょうか。結論からいうと、大学でも専門学校でもどちらでもフードコーディネーターを目指すことはできます。
専門学校は大学より短い期間で卒業し、資格を取得することができます。調理師科だけではなく製菓コース出身のフードコーディネーターもいるので、自分が学びたい分野や働きたい現場を想像してコースを選びましょう。
4年制大学の場合、専門学校より時間はかかりますが、基礎教養やマーケティング、経営、デザイン、カメラの実技など、資格取得のために必須ではないものの、フードコーディネーターとして働くうえで必要となるスキルを幅広く身につけることができます。学部としては家政学・栄養学・健康学、フードビジネスコースがある学校もあるようです。
大学・短大・専門学校と、たくさん学校があるので、時間をかけてリサーチしましょう。
撮影現場でのフードコーディネーターとは
テレビ業界では、フードコーディネーターのことを「フーディー」と呼んでいます。では、テレビの撮影現場でのフードコーディネーターはどのような仕事なのでしょうか。具体的にみてみましょう。
撮影現場では「20分後の段取り合わせて、麺類を調理」といったリクエストが頻繁に出てきます。ですから、絶えず流れを確認し、進行具合を気にしながら、手を動かさなければいけません。また、調理の音が進行を妨げないように、スタジオの外の「きえもの室」と呼ばれる場所を使ったり、スタジオの隅っこで音を立てないように準備することが多いです。ちなみに、食べ物や飲み物など、最初は形のあるものが食べると消えてしまうため、テレビ業界では食べ物や飲み物を「きえもの」と呼びます。そのため、テレビ局にある調理室は「きえもの室」といいます。
調理した後に、「映える」盛り付け・撮影方法を考えることもお仕事のひとつ。味噌汁の具を底上げして浮かせて撮影してみたり、室内の温度を下げて熱々の料理の湯気が強調されるようにしたりと、プロならではのテクニックがあります。
よくテレビ業界の人が使う言葉で「シズル感」という言葉があります。新鮮さ、瑞々しさ、焼きたての臨場感を表す言葉で、「このシズル感いいね!」などという言葉が現場で飛び交います。では、具体的にどういう意味なのでしょうか。例えば、瑞々しいトマトの撮影には水滴をしたたらせて撮影し、焼肉なら少し焦げ目をつけたり肉汁がジュワジュワして煙が立っているような写真を撮影をします。このように抽象的な言葉なのですが、五感に訴えかけ「美味しそう!」と思わせるような撮影のことを「シズル感」といいます。ピンとこない方は、街中の食べ物の広告に注目してみましょう。どんな広告にも撮影者の工夫が詰め込まれています。試しに自分で作った料理で「シズル感」のある写真を撮ってみても面白いかもしれません。
また、食べ物がメインとなるグルメ系ドラマも増加傾向にある中で、ドラマの細かいストーリーよりも料理が先に決まるパターンも多いといいます。フードコーディネーターは、どういう方向性のドラマなのか把握し、企画段階からスタッフとやりとりをしながらドラマを支える、もはや制作の中心人物になることもあるのです!
まとめ
フードコーディネーターの仕事について、テレビの撮影現場での仕事を中心にみてきましたがいかがだったでしょうか。料理を作るだけではなく、企画から撮影まで非常に重要な役割を担っており、驚かれた方が多いかもしれませんね。番組によってはフードコーディネーターの仕事がクオリティーを決めるといっても過言ではなく、責任が大きい仕事ではありますが、やりがいや達成感も大きい仕事です。グルメドラマが好きな方や料理番組をみることが好きな方はぜひテレビ番組に関わる選択肢の一つとして注目してみましょう。