皆さんも一度は『フリーランス』という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか?フリーランスとは企業や団体に所属せず、個人で仕事を請け負って収入を得る働き方のことを言います。
テレビ業界はこのフリーランスという働き方をしている人がとても多いです。収入が不安定なイメージもある働き方なゆえに、実際にやっていけるのか、、、と思う方も多いことでしょう。
今回はテレビ業界の中でも特にフリーランスの人が多い、フリーランスのディレクターについて解説していきたいと思います。
フリーランスのディレクターとは
そもそもフリーランスのディレクターとはどのように働いているのでしょうか?
一般的にテレビディレクターとして働くにはテレビ局の局員、制作会社などに所属している人、フリーランスの3パターンがあります。
テレビ局の局員や制作会社などに所属しているディレクターは会社を通して番組に配属されることがほとんどですが、フリーランスの場合は個人で番組と契約することになります。(局によっては、その番組に携わっている制作会社を通しての契約になる場合もあります。)
個人で契約するとはどういうことなのか、ここからはフリーランスになる上でのメリットとデメリットと合わせて詳しく解説していきたいと思います。
フリーランスのメリット
お給料が上がる
やはり、フリーランスになった時に一番気になるのはお給料面だと思います。
基本的にテレビ局や制作会社などの会社員の場合、お給料は月給制です。
月給制は1ヶ月の働いた分の給料なのに対し、テレビ番組のフリーランスのディレクターはVTR1本につき、いくらという形で契約することが多いので、担当する分だけお給料が高くなるということになります。
しかし、VTR1本を作るのには1ヶ月以上かかってしまう場合など、制作日程が長引く内容のものだと月で割って考えると単価が安くなってしまうこともあります。
とはいえ月給に比べ、VTR1本の契約の値段はかなり高いので、複数担当すれば会社員の時よりかなりのお給料UPに繋がります。
担当できる番組の幅が広がる
テレビ局や制作会社に勤めている場合、担当できる番組は勤務しているテレビ局や制作会社が担当している番組に限られていることがほとんどです。しかし、フリーランスだとオファーが来れば局やジャンルを飛び越えて色々な番組を担当することも可能となります。
自分でスケジュールを調整できる
最近ではコロナ禍を経て、会社員のディレクターでもリモートワークで作業することも増えましたが、フリーのディレクターももちろん自宅での作業で問題ありません。時には、プレビュー(仕上がったVTRをチェックしてもらう会)や会議のためにテレビ局や制作会社に行くこともありますが、会議についてはリモートで行われることもあるので、その場合は自宅からの出席でも大丈夫です。
そのため、VTRをしっかりと期限内に仕上げることさえできれば、ロケや収録日、会議などがない日は時間の使い方は自由です。
午前中は自分の予定に時間を使って午後から作業をしたり、夜型の人は作業は夜中に行うなんてこともあるかと思います。
レギュラー番組などを担当していると難しいこともあるかもしれませんが、場合によっては「この期間は仕事を入れずに休む」という期間を設けて仕事を取らないということも可能かと思います。
このように出社などによる時間の縛りが少ないため、予定を自分でうまく調整すれば複数の仕事を受けることが可能です。
とはいえ、やはりテレビ業界の仕事なので、編集所に入る期間は日付を跨いで作業したり、早朝からのロケがあったりとイレギュラーな時間帯で働く場面も度々あります。
フリーランスのデメリット
自分でやる手続き、支払いが増える
会社員からフリーランスになる上で最も大変と言っても過言ではないのが、諸々の手続きや支払いの多さです。
会社員であれば、勤務している会社が年金、住民税、健康保険料などの手続きから支払いまで処理してくれており、これらのお金が引かれた額が手取りの給料として振り込まれます。
しかし、フリーランスになるとこれらの手続きや支払いを全て自分で行わなければなりません。
確定申告といって、1年間の所得に対する納税額を計算し、申告、納税するという一連の手続きも自分で行います。
会社員の場合は年末調整を会社側が行ってくれるので自分でやる必要はありません。このような細かい手続きを怠ってしまうと脱税に繋がる可能性もあるので注意が必要です。
また、収入を得る時にもテレビ番組や局、制作会社に対し、請求書を出さなければ給料は支払われません。この請求書の作成と提出も自分で行う必要があります。
必ず仕事があるとは限らない
会社員のディレクターの場合、仕事は会社が取ってきてくれるので、基本的には自分で仕事を獲得するために動く必要はありません。
担当している番組が終了してしまっても次に担当する番組をどうするか会社側が動いてくれます。
また、番組の内容や方針などが自分の作りたいものと合わなかった場合も所属している会社に相談すれば異動させてもらえることもあります。
しかし、フリーランスになると全て自分の責任となるので、レギュラーで担当していた番組が終わってしまった場合や異動したい場合は自分で次の番組を探さなければなりません。
自分から動かなくてもオファーが来るほどの売れっ子ディレクターともなれば話しは別ですが、基本的には人脈と信頼がとても重要でツテなどを使って仕事が見つけられないと最悪の場合、仕事がなくなってしまう可能性もあります。
また、このような不安定な職業であることから、ローンやクレジットカードの審査が通りにくいこともあります。
フリーランスになるタイミングはいつがいい?
フリーランスのディレクターに求められるのは編集やロケや収録などでの演出技術はもちろん、仕事に対する信頼も非常に大切です。
仕事をしている上で何かトラブルが起きた場合、会社員であれば会社が間に入って解決してくれますが、フリーランスの場合、個人との契約なので本人と直接のやりとりになり、契約する側にもリスクがあります。
当たり前のことのように思えますが、「仕事を投げ出さず責任を持ってやり遂げる」、「求めているものを仕上げてくれる」など「この人に任せても大丈夫」と思ってもらえるような仕事ができなければ、仮に1度は契約してもらえても次の仕事には繋がりません。
また、フリーランスで仕事の依頼を受ける場合には人脈もとても重要になってきます。
プロデューサーやディレクターにツテがあればあるほど、新しい仕事のオファーが来る可能性も高くなります。
フリーランスのディレクターを目指す場合、ある程度、経験を積んで求められたVTR作りができ、自分を売り込んで仕事を獲得できるような人脈を作ってからがおすすめだと思います。経験の浅い若手の段階でフリーランスになる場合は、ディレクターとしての仕事を指導してくれたり、面倒を見てくれるような先輩ディレクターやプロデューサーの元で仕事をもらい、勉強しながら技術を身につけていくというのも一つの手だと思います。
まとめ
今回はフリーランスで働くディレクターについて解説していきましたが、いかがだったでしょうか?フリーランスになれば収入も上がりますし、色々な局で色々な番組に携わることができるのでディレクターとしての夢も広がると思います。
しかし、その一方でフリーランスならではのリスクも伴います。フリーランスのディレクターとして挑戦する場合は、まずはコツコツとできる範囲から仕事をしていくのが良さそうですね。ゆくゆくはフリーランスで働きたいと思っている方は、今回の記事が参考になれば嬉しいです!