ギャラクシー賞とは?
日本のテレビ・ラジオ制作関係者にとっては最高の名誉ある賞に「ギャラクシー賞」というものがあります。一度は耳にしたことがある人もいると思いますが、一体どんな賞なのでしょうか?また、テレビ部門の受賞番組には、どんなものがあるのでしょう?今回は、ギャラクシー賞やテレビ部門の受賞番組についてご紹介します。
ギャラクシー賞について
ギャラクシー賞は放送批評懇談会が創設した、優れたテレビやラジオの番組、CM、報道活動に与えられる賞で、表彰は年単位です。特にDJパーソナリティー賞は、ラジオ司会をする人にとっての誉れとなっています。1963年に放送文化の振興、発展を目的に設立されました。2005年よりNPOとして運営されています。
「ギャラクシー」とは、天の川、銀河という訳のほか、佳人・才子の華やかな群れという意味を持っています。 放送界にきらめく才能を表すのにふさわしいものとして、放送批評懇談会設立の核となった渋沢秀雄、 内村直也、梅田晴夫そして初代のトロフィーをデザインしたガラス作家・岩田糸子らによって賞の名に起用されました。ギャラクシー賞は第 50 回(2013 年)を記念してトロフィーを一新。松永真デザインの「バードマン」が新しい賞のシンボルとなりました。
ギャラクシー賞の審査員は?
ギャラクシー賞の審査には、主催団体である放送批評懇談会の会員から選ばれた選奨事業委員会が携わっています。部門別に、テレビ部門委員会、ラジオ部門委員会、CM部門委員会、報道活動部門委員会が審査を担当します。審査は、年 2 回(上期・下期)、 エントリー作品を受け付けて行います。上期・下期で選出された作品を対象に年間の最終選考がおこなわれ、 各賞を決定します。 表彰式は、毎年 5 月下旬~6 月初旬に行われ、受賞者にはトロフィーと表彰状が授与されます。
各部門の受賞枠
ギャラクシー賞は、テレビ、ラジオ、CMなど各部門によって受賞枠が違います。
【テレビ部門】大賞1、優秀賞3、選奨 10、特別賞1、個人賞1
【ラジオ部門】大賞1、優秀賞3、選奨4、個人賞またはDJパーソナリティ賞1
【CM部門】大賞1、優秀賞3、選奨9
【報道活動部門】大賞1、優秀賞2、選奨3
【その他】志賀信夫賞1、フロンティア賞1、マイベストTV賞グランプリ1 (そのほか、周年には記念賞を設ける場合があります)
各部門の特徴
ギャラクシー賞の特徴は、応募作品だけに頼らず、委員会自身が自主的に番組を推奨する制度をもつことです。
・テレビ部門
上期・下期にギャラクシー賞選考会を開催し、応募作品の審査と受賞作品の選考を行います。また毎月の定例選考会では、委員の推薦により「月間賞」を選び、「GALAC」誌上に番組内容と選評を掲載します。毎月の「月間賞」はギャラクシー賞の入賞候補作品となります。
・ラジオ部門
月間賞制度はありませんが、毎月定例会を開いて番組やパーソナリティについての意見交換や合評を行うとともに、上期・下期の選考会には委員により番組、個人等が推薦されることがあります。
・CM部門
現在のところ応募作品だけが審査の対象ですが、毎月定例会を持ち、CM状況についての意見交換や作品合評をおこない、その一部を「GALAC」誌上に公開しています。
・報道活動部門
委員が日常的に視聴活動や情報収集をおこない、選考時の参考にしています。
テレビ部門の受賞番組は?
2023年度のギャラクシー賞テレビ部門には、上期171本、下期197本という多くの応募があり、毎月4本選出される月間賞48本を加えた416作品が先行対象となりました。厳正な審査の結果、入賞14本、特別賞と個人賞各1本、奨励賞71本が選出され、テレビ部門入賞作品は、14本から大賞1本、優秀賞3本、選奨10本が選出されました。
2023年度のテレビ部門大賞は連続ドラマW「フェンス」
2024年5月31日、第61回(2023年度)ギャラクシー賞(NPO法人放送批評懇談会主催)の最終結果が発表され、野木亜紀子さんが脚本を務めたドラマ『フェンス』がテレビ部門の大賞を受賞しました。受賞作品の一覧は下記のとおりです。
●大賞
連続ドラマW「フェンス」
(WOWOW NHKエンタープライズ)
●優秀賞
NHKスペシャル「“冤罪”の深層~警視庁公安部で何が~」
(日本放送協会)
ナンデモ特命係発見らくちゃく!~28歳の小卒女性SP!完全版~
(福岡放送)
ながさき原爆記録全集 山端庸介原爆全写真 被爆翌日117枚全解析
(長崎ケーブルメディア)
●選奨
テレビ静岡55周年記念「イーちゃんの白い杖 特別編」
(テレビ静岡)
でくのぼう~戦争とPTSD~
(山形放送)
僕と時々もう1人の僕~トゥレット症と生きる
(CBCテレビ)
ザ・ドキュメント「引き裂かれる家族 検証・揺さぶられっ子症候群」
(関西テレビ放送)
ETV特集「“玉砕”の島を生きて(2)~サイパン島 語られなかった真実~」
(日本放送協会 NHKエンタープライズ グループ現代)
幾月夜纏ひて 羽後町・西馬音内の盆踊
(秋田放送)
NNNドキュメント’24「釜ヶ崎の肖像 明日への3000枚」
(読売テレビ放送)
SBCスペシャル「78年目の和解~サンダカン死の行進・遺族の軌跡~」
(信越放送)
NHKスペシャル 未解決事件 File.10「下山事件」第1部 第2部
(日本放送協会)
映像’24「労組と弾圧~関西生コン事件を考える~」
(毎日放送)
●特別賞&マイベストTV賞グランプリ
金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」
(TBSテレビ TBSスパークル)
●個人賞
神木隆之介
連続テレビ小説「らんまん」(NHK)の演技
TBSドラマ「不適切にもほどがある!」は二冠受賞
阿部サダヲの主演で、2024年1~3月に放送されたテレビドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)が、「第61回ギャラクシー賞」にて「テレビ部門 特別賞」と「マイベストTV賞グランプリ」をダブルで受賞しました。
『不適切にもほどがある!』は、1986年に生きる昭和の体育教師・小川市郎(阿部)が、ひょんなことから2024年にタイムスリップしてしまうストーリーです。芸能ライター曰く、コンプライアンスなどなかったに等しい昭和の価値観のまま、市郎が令和で出会った人々に絡んでいく様子を描いたコメディで、現代だとアウトな暴言や行動を、上手にギャグとして昇華していました。
また、市郎視点で物語を観ることで、コンプライアンスやハラスメントに過敏になっている令和のおかしさを浮き彫りにしていく側面もあり、宮藤官九郎氏の脚本家としての実力を、あらためて世に知らしめた作品でした。
特に、ドラマ内で再現された、今では考えられない昭和の時代のメチャクチャさに、昭和を知らないF1(女性20~34歳)層からは『本当にこんな時代があったのか』と、新鮮な驚きをもって受け止められたようです。
まとめ
いかがでしたか?今回はギャラクシー賞についてご紹介しました。ドラマなどの作品を楽しんだあと、毎年発表されるギャラクシー賞を見ると時代の背景や流行が分かり、さらに作品を楽しめるかもしれません。ぜひ注目してみて下さいね。