テレビ番組はどうやってできるの?作り方をステップ別に紹介

普段何気なく見ているテレビ番組がどのようにできているのか、番組制作の方法を知りたいと思ったことはありませんか。テレビ番組ができるまでには、いくつかのステップが必要であり、それぞれのステップで必要な作業が異なります。 この記事ではテレビ番組の作り方をステップ別に紹介します。


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テレビ番組の作り方の流れ

テレビ番組には、情報・報道・バラエティ・ドラマなど、多くのジャンルがあります。また、番組の放送時間も5分程度で終わるものから2時間を超えるものまで、多岐にわたります。

テレビ番組の作り方は、番組やジャンルごとで異なるため、流れを断定的に説明することは困難です。そこで、今回はテレビ番組の一般的な作り方の流れについて紹介します。

テレビ番組が完成するまで

ここからはテレビ番組が完成するまでの流れを5つのステップに分けて解説していきます。

【テレビ番組の作り方1】打ち合わせ

最初に番組制作の打ち合わせを行います。バラエティ番組や情報番組では、定期的に企画会議を行い、番組内の構成やスケジュールなどを決めていくのが一般的です。

企画会議では、ディレクターや総合演出が立案した企画に対して、プロデューサーが番組の傾向やコンプライアンスなどの視点から見て意見を出します。問題がなければ、スケジュールや制作費などの調整をプロデューサーが行います。

企画会議で決定した事項をもとに制作会議を行います。この会議にはAP・ディレクター・ADのほか、作家が参加することが多いです。番組構成をはじめ、コーナー案やコーナー内での取材、トークやネタのテーマ、ロケ先で撮影するもの、出演者のキャスティング状況など、番組の進行も考慮しながら、より具体的に番組の内容を決めていきます。

【ステップ1】情報を収集する

番組の方向性が決まったら、番組制作に向けた情報収集が必要です。情報収集をどのように行えば良いのか、ステップごとに解説します。

リサーチ

放送内容の大まかな方向性やネタが決まったら、情報をリサーチします。ADのリサーチ結果を元に企画が成立するか判断されるため、ADのリサーチ力が番組の質を左右すると言っても過言ではありません。

近年は、情報性が高い番組が多く、難しいリサーチが増えています。この場合は、正しい情報を得るために、リサーチ専門会社に委託します。リサーチ会社へ依頼できる内容もさまざまです。

たとえば、株式会社フォーミュレーションではテレビ番組・CM(広告)・WEB などあらゆるジャンルに対応した情報を調べます。また、一般の方への取材や監修者・専門家のリサーチから出演依頼も一気通貫して行っています。

スケジューリング

現地のリサーチが終わったら、番組の制作内容や台本の内容に合わせてADが撮影スケジュールを組みます。必要に応じて、撮影の許可取りも行います。番組を1本制作するのに、1か月から3か月ほどかかるケースも珍しくありません。

ロケハン

ロケハンとは、ロケーションハンティングの略でロケをするための下見のことです。ADが現地へ出向き、簡単なカメラで現地を撮影した映像をディレクターと共有します。また、ロケハンはロケ日と同じ曜日、時間帯に行き当日と同じ条件で状況を見たり、環境音や駐車場の有無などを確認したりする場でもあります。

ADがロケハンを行うのは、他の業務で現地に行けないディレクターの代わりを担うほか、ADの勉強の場にもするためです。ADから将来的にディレクターへと成長し、自らロケを進められるようになるには、現場での経験が重要です。

海外ロケの場合は、ディレクターとADが一緒に現地へ前乗りし、ロケハンを行います。

【ステップ2】収録・撮影

準備が整ったら、いよいよ収録に入ります。収録・撮影ではどのような流れで進めていくのでしょうか。

ロケ

スムーズにロケが進行できるようリハーサルを実施しますが、ロケの内容によってはリハーサルをしない場合もあります。リハーサルを行う場合は、ADが演者の代わりに行うのが基本です。たとえば、ドッキリ番組で演者を落とし穴に落とす場合、リハーサルでADが自ら落とし穴に数回落ちて、その安全性と導線をチェックします。

また、ADはリハーサルに入るだけでなく、詳細なスケジュールの調整や必要な小道具の調達、機材の確認など、さまざまな雑用や準備を入念に行なったうえでロケの準備をします。ディレクターの指示のもと、効率良く作業をこなすことが重要です。

撮影

スタジオ収録の場合は、ロケではなく撮影を行います。ディレクターをはじめ、カメラマン・音声・照明・美術など、多くのスタッフが協力して撮影を進めます。ADは、ロケ同様、現場の雑用を担います。

番組を盛り上げるため、カンペ出しや大笑いをすることもADの重要な役割です。

【ステップ3】編集作業

ロケや撮影がすべて終了したら、番組の尺に合わせてVTRの編集に入ります。番組のジャンルを問わず、編集ソフトはAdobe Premiere Proが主流となっていますが、情報番組によってはエディウスを使用します。

編集作業では、まずディレクターがオフラインと呼ばれるデータ上での編集を行います。この時ADは、必要に応じて情報の追加の裏取りを行います。その後、プロデューサーや演出担当も交えて映像をプレビューし、編集所での本編集に移ります。

編集所にはエディター(編集者)が待機しており、ディレクターが出す細かい編集指示に従ってエディターが編集を進めていく流れです。編集指示には、テロップの色やタイミング・画像加工などが含まれます。ディレクターの腕によって、番組の仕上がりが変わってくるため、ディレクターは細心の注意を払って指示を出します。

ADはテロップ原稿の誤字脱字チェックや映像データ及び画像の管理、編集部屋の食事の手配、急な変更対応など、多岐にわたる業務をこなすのです。編集の流れを実際に目の当たりにしながら、演出について学んでいきます。

【ステップ4】MA(マルチオーディオ)

映像編集が完了した段階では、入っている音は出演者の声のみです。ここに、BGM・効果音・ナレーションなどを挿入するMAの作業に入ります。

編集した映像データを音効担当に共有し、音効担当がBGMを挿入します。ナレーションはナレーターが担当しますが、ディレクターがナレーターに対してどのように話したら良いかを指導します。このときADは、指導に付き添いイントネーションの確認及びナレーション原稿の管理を担当します。

すべての音声をMA室にいる専門担当者に調整してもらい、音声の入力が完了したらプロデューサーや総合演出などへ映像データを共有し、作業は完了です。

テレビ番組を作る主な役職

ここまで紹介したように、テレビ番組は多くの人の手によって作られています。テレビ番組の制作では、役職ごとに担当業務が決まっており、各人がそれぞれの業務をこなしています。

テレビ番組に携わる役職と業務内容を、簡単に紹介します。

・プロデューサー

テレビ番組の制作現場における責任者を指します。収録日のスケジューリング・予算管理・タレント事務所とのやり取り・映像やナレーションのチェックなど、業務範囲は多岐に渡ります。

・アシスタントプロデューサー

プロデューサーを補佐する人物です。プロデューサーの業務が円滑に進むよう、出演者のキャスティングやロケ地の交渉などを担当します。場合によっては裏方業務も兼任することで、業務が多忙になる役職です。

・ディレクター

ディレクターは、テレビ番組の細かい演出の責任者にあたります。ディレクターの指示により、技術職や美術職の仕事が決まるため、テレビ番組の完成度はディレクターによって大きく左右されます。

・アシスタントディレクター(AD)

テレビ局や番組制作会社に入社すると、まずADの仕事から始めます。番組制作の補佐を担当する人物であり、いわば下積みの期間にあたる役職です。

ADとしての経験を積むと、チーフADを目指せるようになります。ADからいきなりディレクターに昇進することはないため、ディレクターを目指したいのであればまずはチーフADを目指すことが必要です。

まとめ

この記事で紹介してきたように、テレビ番組は多くの人の手によって作られています。テレビ番組を見るときは、番組の内容だけでなく制作スタッフにも目を向けてみると、今までと違った楽しみ方ができるでしょう。