実は制作泣かせ!?なテレビの街頭インタビューロケ

街録とは? テレビ番組を見ていると「街の人たちの声を聞いてみました!」といって、街ゆく人たちのインタビュー映像がたくさん流れることがありますよね。この街頭インタビューは、テレビ業界では「街録(がいろく)」と呼ばれています...


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街録とは?

テレビ番組を見ていると「街の人たちの声を聞いてみました!」といって、街ゆく人たちのインタビュー映像がたくさん流れることがありますよね。この街頭インタビューは、テレビ業界では「街録(がいろく)」と呼ばれています。実はこの「街録」はなかなか大変で、テレビ制作現場のプロたちも毎回苦戦しています。「街録ってどうやって撮ってるの?」「許可取りはどうしているの?」など気になる人も多いのではないでしょうか。今回はこの「街録」についてご紹介します。

街録の準備

街頭インタビューは、ディレクターのみならず、ADさんが行くこともよくあります。
ADさんが担当する場合には、以下の準備をしています。

・ディレクターが指示したターゲット層や質問内容を確認しておく
街録は出発する前の準備がとても大切です。基本的には、ディレクターからの「街録行ってきて!」という指示を受け、撮りにいくことが多いです。このときディレクターに、インタビューのターゲット層やインタビューで聞き出したい内容を確認しておくと、街録が効率的に行えます。ディレクターの頭の中には「こういう街録が欲しい」という正解があるからです。
その正解を先に聞いておくと、インタビューをするときにどういう質問をしたらいいのか、どういう回答をしてもらえると撮れ高となるのか、ということが理解できます。

もちろん実際には街録でインタビューをする人は初めて出会う人です。思ったようなインタビュー回答が得られないこともよくあります。ですが、正解が分かっていると、「全くディレクターの意図に沿わない素材だったので撮り直し!」となることはありません。

・ターゲットがいそうな街録場所を決めておく
また、ターゲット層が分かっていれば、どこに街録に行けばいいのか、ということも決めやすいです。例えば都内だと、以下のようなターゲットと街録場所がお決まりとなっています。

▼ビジネスマン…有楽町駅前や夜の新橋駅前
▼夫婦、家族連れ…銀座の歩行者天国
▼若者…渋谷駅前、新宿駅周辺
▼高齢者…巣鴨の地蔵通り商店街

「こういう人のこういうインタビュー映像が欲しい!」というのをイメージしてから、街録に出かけます。

・街録に必要な持ち物
一般の方にインタビュー取材をする場合、インタビューに応じてくださった方に出演同意書を書いていただく必要があります。また、番組によっては、報道腕章の携行が必要な場合もあります。これらの街録に必要な持ち物も忘れないように、事前にチェックしておきましょう。

街録の流れ

実際のインタビューをするときの大まかな流れは以下のとおりです。

・インタビュー許可を頂く
インタビューに答えてくれそうな人に声をかけてインタビューをお願いをします。
無断でカメラを向けることは絶対にしてはいけません。「〇〇テレビの〇〇(番組名)ですが、少しだけお話よろしいですか?」と声をかけて、インタビューの趣旨を説明します。
OKがもらえたら立ち位置に戻ってインタビュー準備に入ります。カメラで撮影することは事前にきちんと伝えておきましょう。

・簡単なプロフィールを聞く
インタビューの始まりでは、年齢(年代)や職業、複数名のグループの場合は、関係性といった簡単なプロフィールを聞きます。これらは実際に映像として使うかはわかりませんが、どんな人なのか、ということが分かりやすいので、最初に聞いておくと良いです。また、複数名の場合は関係性を聞いておくことで、話を振りやすくなったりもします。

・リアクションは大きく
声に出してしまうと、インタビューに応えてくださった方の声とかぶってしまって使えなくなることがあるので、なるべく無言で、その上でリアクションは大きくするようにしましょう。
普段人と話す時と同じで、相手のリアクションが良いと人は話しやすくなります。

・ディレクターに撮れ高の報告
ディレクターはインタビューの内容を踏まえて構成や他のインタビューなどを考え、番組制作の切り口を変えることもあります。どのような内容が撮れたのか、報告をしっかりするようにしましょう。新人のうちは慣れずに大変だと思いますが、街録が好き!という方もいらっしゃいます。断られることも多いですが、元気よく臨むのがよいでしょう。

街録に答えてくれそうな人の見極め方とは?

街録をやっていると、インタビューを受けてくれる人が全く捕まらない時もあります。あまりに断り続けられると、こちらも心が折れることがあります。しかし、何回か街録を重ねていると徐々に答えてくれそうな人がわかってきます。では、どんな人が街録に答えてくれ、どんな人が答えてくれないのでしょうか。

街録に答えてくれる人

・楽しそうに会話しながら歩いているミドル世代
・キャリーバックを持っている人たち
遊びに来ている可能性が高いので時間の余裕もあり、気持ちが開放的なことが多い
・関西弁で話している人
関西の方はノリがいいのでインタビューを受けてくれる可能性が大きい
・歩くのがゆっくりな人
時間に余裕がある可能性が大きい
・ベンチに座っている人
時間を潰している可能性が大きい
・ジャグリングなどをやっているパフォーマーの人
ノリが良く、協力してくれる可能性あり

街録に答えてくれない人

・早歩きの人
・イヤホンをしている人
・買い物袋を持っている人
これから帰って食事の支度をするなど急いでいる可能性が大きい
・下を向いて歩いている人

街録のコツ

街録では、インタビューされるのが嫌で悪態をつく人もいます。でも、中には丁寧にちゃんと話を聞いてくれて、インタビューに答えてくれる人もいます。インタビューのコツはビビらずに思い切り行くことです。不安な気持ちでのぞむと相手にも伝わり、相手も不安になってしまいます。「すみません、数分で終わりますのでご協力頂けませんか?」とお願いしてみましょう。ただ、会社員のランチの時間を削ってしまうのは申し訳ないので、17時以降にインタビューに行ったり時間や場所の工夫をしましょう。大事なのは「あなたの話が聞きたいんです!!」という気持ちでインタビューすること。そうすれば結構答えてくれたりするものです。

まとめ

いかがでしたか。街録は断られることが続いても、何度もインタビューのお願いをしなくてはいけないことがあるので、正直メンタル的にもきつい場合があります。しかし、街録に答えてくれる人を見極め、熱意を持ってインタビューすれば相手も答えてくれ、きっと楽しいものになるはずです。街録のインタビュー内容が番組に反映されると、やりがいも感じられるでしょう。