ADの憧れ「海外ロケ」
テレビ業界で働きたい方々の中には、「普段の日常生活では経験できないようなことを経験したい!」、「普段行かないような場所で仕事をしてみたい!」など、ちょっと特殊な業界だからこその非日常体験に憧れる方も多いのではないでしょうか?もちろん、日々の業務の中には、地味なデスク仕事も多々ありますが、「地方ロケ」や「海外ロケ」がある番組も多数あります!
その中でも「海外ロケ」への憧れの声はよく耳にするので、今回は海外ロケのあれこれについて取り上げつつ、後半は実際に海外ロケ番組に携わっているADへインタビューしました。
海外ロケのあれこれ
ロケまでの準備が大変
海外ロケとなると、国内でのロケよりも更に色々な準備が必要になります。
日本で行える準備のほとんどをADが担当することになるわけですが、まず大変なのがリサーチ作業です。行ったことのない国のあれこれをインターネットやガイドブック等を使って調べなければならないので、結構大変です。
そして、リサーチと並んで大変なのが、ビザの取得や予防接種、航空券の予約や宿泊先の手配などです。ビザの取得は本当に提出書類も多いですし、コロナ禍以降、必要書類が増えたりもして本当に大変です。
また、特殊な撮影機材での撮影なら、現地の撮影会社を手配することが多いと思いますが、機材を海外に持っていく場合、「カルネ」という申請が必要です。「カルネ」とは、国際条約に基づく免税のための通関用書類のことで、撮影機材を日本から海外へ持ち出す、海外へ持ち出した機材を日本に持って帰るために必要な申請書類です。これがまた準備や手続きが複雑で、とても大変な作業です。
このような特殊な申請も必要になるので、ロケまでの準備が本当に大変なのです。
海外ロケの要:コーディネーター
海外ロケが決まったら、まずは現地にいる「コーディネーター」と呼ばれる人とやり取りをしていきます。
「コーディネーター」というのは、海外で行われるテレビ番組や雑誌取材、CM撮影の仕込みや手続きなどの代行、当日の現地でのロケのサポートをしたりする職業です。
具体的には以下のような業務を行っています。
・撮影場所、取材対象の選択
・撮影スタッフの宿泊先や食事のアレンジ
・現地スタッフ、機材の手配
⇒カメラマンや音声などの技術スタッフは日本から一緒に行く場合もありますし、現地の技術会社で手配する場合もあります。
・撮影期間や制作費などの交渉
コーディネーターは現地にいますので、現地のことにも詳しいですし、現地の人たちとコミュニケーションをとることができるので、海外ロケでは、コーディネーターに頼る部分が大きいです。
リサーチャー(制作過程で必要となる多種多様なリサーチを専門に行う職種)であり、制作進行であり、ときにはプロデューサーであり、旅行時のツアーコンダクターの役割も担っています。
コーディネーターなくして、海外ロケは成り立ちません。
ADはロケに行けないこともある
番組によっては、予算の都合上、ADなしで海外ロケを行う番組も少なくありません。
上述の通り、海外ロケの場合は、ロケのほとんどの業務をコーディネーターが担います。
その為、現地へ行く制作スタッフは責任者であるプロデューサーとロケの指導者であるディレクターのみの場合があります。ただ、ADでも同行できる可能性はあります。例えば、撮影要員として、語学ができるので、ディレクターの見習いで補佐としてなど…。ということで、ここからは、実際に海外ロケ番組で海外ロケに行っていたADへのインタビューを紹介します。
海外ロケ番組で働くスタッフにインタビュー
仕事内容
主にロケに行ってます。行く国が決まると、現地のコーディネーターさんとやり取りをしながら、撮影場所を仕込んだり、スケジュールを組んだり、実際にロケに行くまでにやることもたくさんあります。1回のロケでは、下見込みで1週間程度滞在するのですが、基本的に同行するADは少数なんです。番組に入って初めてのロケは台湾で、演者さん12人に対して、ADはたったの3人。その次にカナダに行った時は、演者さん4人に対してADは自分1人でした(笑)
今の仕事のやりがい
行く国は決まっていることが多いのですが、その中で何をやるかはADがリサーチをしてディレクターに提案するので、自分が仕込んだネタが放送されるのが一番のやりがいです。
たとえば、以前ディレクターからバンジージャンプをするのに良い場所はないかと言われた時に、自分が提案したところがOKをもらい、実際にオンエアされました!
あとは、「ここに行ってみたい!」「これをやってみたい!」という意見をどんどん提案できる環境なので、それは将来ディレクターを目指すうえで演出を考える一歩になっているのかなと思います。
嬉しかったこと
もちろん視聴者に向けて番組を作っているのですが、演者さん達にVTRを見てもらうスタジオ収録時が、生のリアクションを感じられる瞬間なので、皆さんが笑ったり、良い反応をしてくれるととても嬉しいです。
仕事で心がけていること、信念
ディレクターやプロデューサー、他のADといった制作スタッフもそうですし、演者さんやコーディネーターさんなど、人と接することの多い仕事なので、「この人はこういう人なんだな」と相手のことをしっかり理解するようにして、人によって対応の仕方を変えながら、柔軟に仕事をするようにしています。
この会社で良かったこと
地方出身なので、会社情報を見た時に地方出身者が多かったのは安心できました。
あとは先輩インタビューなどで、本当にテレビを好きな人がたくさんいるということが分かったり、番組の選択肢が多いというところで、経験を積むならI.T.S.がいいと思いました。
あとは、時々現場に顔を出して相談に乗ってくれるケアスタッフの存在です。I.T.S.所属だった頃はもちろんですが、今でも気軽に連絡を取れる関係性なので、とても心強いです。
将来の夢・目標
今の目標は30歳までにディレクターになることです。1つの区切りとして、必ず30歳までにはと思って、日々頑張っています。
テレビ制作を目指す人に一言
徹夜で作業をしたり、先輩からキツく怒られたり…体力的にも精神的にも大変な仕事であることは間違いないので、覚悟は必要です(笑)明確な目標ややりたいことをしっかり持っていれば、過酷な仕事でも「自分の夢に繋がるんだ」と思えるので、乗り越えていけます!
まとめ
今回は、「海外ロケ」について、ロケまでのあれこれや、「海外ロケ」番組で活躍するADへのインタビューをご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?ただただ、楽しいだけではありませんが、やはり普段行けない場所で仕事ができる「海外ロケ」は特別な経験ができるので、制作スタッフの憧れです。また、準備やロケが大変な分、放送後の達成感はいつも以上に大きくなります!