テレビ業界の裏話~制作現場の最新情報~

テレビ業界は変化している 「テレビ業界ってなんか古そう」という印象を持っている人は多いのではないでしょうか。確かにネットやSNS、サブスクが普及してなんとなくテレビは古い印象を持たれるようになってしまいました。しかし、そ...


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テレビ業界は変化している

「テレビ業界ってなんか古そう」という印象を持っている人は多いのではないでしょうか。確かにネットやSNS、サブスクが普及してなんとなくテレビは古い印象を持たれるようになってしまいました。しかし、そんなテレビ業界も実は刻一刻と変化しています。
ここでは制作現場での変化をみてみましょう。

編集ソフトや機材の発展

テープからディスクでの納品へ

以前は、撮影が終わったあとにパソコン上での編集を行い、その後編集室にディレクターとADが缶詰になって編集をする、というやり方でしたが、現在はディレクターとADは編集室には入らず、テロップや音楽などをオンライン上で指示しています。テレビ局と編集所間の移動がなくなり、作業効率が格段に上がりました。
また、オンラインで進めることが多くなったため、テープ編集からディスク編集に切り替わりました。

テープ編集は“リニア編集”とも呼ばれる編集方法で、文字通り、テープを使用します。テープとは、昔のVHSに似た形のもので、ちょっと分厚い単行本1冊分くらいの大きさがあります。それを何本も(番組によっては何十本も…)編集所まで持ち込み、『リニア機』と呼ばれる大きな機械で編集していました。テープをデッキから何回も入れたり出したりしてかなり時間がかかる上に、1本でもテープがなくなったら大変なトラブルになります。かなりアナログな方法に聞こえますが、数年前までこの編集方法がテレビ業界では主流でした。

しかし、今はデータを使った編集方法に変更されています。リニア機を使わないので“ノンリニア編集”と呼ばれています。文庫本1冊ぐらいのハードディスクにカメラ7台分ほどのデータを入れて、自分のデスクで、自分のパソコンで作業しています。

ファイナルカットからAdobe Premiere Proでの編集へ

テレビ業界で使われる編集ソフトは大きく分けて2つ、①Final Cut Pro(ファイナルカットプロ)②Premiere Pro(プレミアプロ)があります。

以前はファイナルカットが主流だったのですが、現在はほとんどプレミアが使われており、テレビだけではなく人気YouTuberもプレミアを使用しているのです。

プレミアはWindowsでもMacでも使用できますし、サブスクに登録すれば1ヶ月単位で使うことも可能です。興味がある人はお試しで楽しむことができます。

機材の軽量化

技術が発展し、機材も軽くなりました。GoProやドローンでの撮影も増え、以前よりもカメラマンの体力的負担は少なくなっていると言えるでしょう。そのため、以前よりも女性のテレビカメラマンが増加傾向にあります。

PCのスペック向上により、業務がスピード化

また、PCのスペックも日々進化しています。動画編集はPCにかかる負荷が大きいので、たくさんの映像をつなげたり、テロップを増やしたりすると動きが遅くなってしまうなどの不都合がありました。しかし、今ではかなり進化して応答速度が速くなりました。そのおかげでデータ編集が可能になり、スタッフの負担がかなり減りました。

コロナ禍で改善されたこと

テレビ業界はコロナ禍の影響を最も受けた業界のひとつといっていいくらい、たくさんの変化がありました。遠方でのロケができなくなったり、スタジオ撮影も密になるということで慣れないリモート出演をしたり、ドラマは放送期間がかなりずれこむなど予想外の事態が続きました。しかし、その一方でコロナによって改善された部分もあります。

会議は対面からオンラインへ

会議はほとんどがリモートになりました。テレビ番組には何十人ものスタッフが関わります。もちろん、全ての会議に全員が参加していたわけではありませんが、それでもスケジュールを合わせるのは大変でした。テレビ局に制作会社のスタッフがわざわざ出向いたりと移動の負担も大きかったです。
しかし、コロナ禍で大人数で集まることが不可能になり、ほどんどの会議をオンラインで進めることになりました。現在コロナ禍の規制は緩和されていますが、オンライン会議の文化は残り、かなり効率的な業務が可能となりました。

ペーパーレス化

以前まで、大きな会議室にスタッフが集まって会議をしていたので、会議前には人数分の資料を印刷していました。しかし、リモート会議に変化したことで、資料もデジタル化。印刷する手間だけではなく経費も削減され、エコにもつながりました。

クラウド上のデータ共有や電子申請

従来は番組のデータが局内のPCでしか閲覧できなかったり、過去の番組映像を使用したい場合の申請もわざわざ別のフロアの担当者のところまで行っていたりしました。しかしコロナの影響で出社が減ったことも影響し、Dropboxでの資料の共有、Web上の電子申請もできるようになりました。

ネットやSNS、サブスクリプションの普及を受けて

みなさんご存知の通り、現代はスマホ・SNSの普及で、テレビを見る人が減少傾向にあります。YouTubeやTikTokでコンテンツをみたり、好きなテレビ番組を見るにしても、TVerやサブスクリプション(以下、サブスク)の配信でみる人も多くなりました。そんな変化に対応すべく、テレビ業界も進化しています。

番組公式SNSの運用

最近はほとんどの番組が公式SNSを運用し、情報発信や連動企画をしています。バラエティー番組の中には、YouTubeで次回予告をするだけではなく、限定企画を配信していたりもします。中には、番組を丸ごとYouTubeで配信していることも。もはやテレビのコンテンツをネットでみることに対してはかなりハードルが下がっているといえます。
特にドラマではリアルタイムの感想や考察を楽しめることが逆にプラスに働いていて、放送中にトレンド入りする番組がたくさんあります。考察系のドラマの流行ができたのもSNSの影響が大きいかもしれません。

配信対応がマストに(TVer用の編集、YouTube用の編集)

最近はTVerでほとんどの民放番組が視聴可能になりました。「いつもTVerでみてるからリアルタイムではいつ放送してるかわからない」「テレビはみないけどTVerは見る」なんて人もめずらしくありません。ですから、TVer用のデータ納品もセットで行います。
また、YouTube限定の企画を編集したりという仕事もできました。ある程度経験のあるADはYouTubeの企画の編集を任されたりもしますので、ステップアップのチャンスが増えたと言えるでしょう。

まとめ

テレビ業界の変化を振り返ってきましたがいかがでしょうか。技術や文化の発展に伴い、働き方もかなり変わっています。そのおかげで業務も効率化し、スタッフの労働環境も改善されています。テレビ業界もまだまだ進化していける業界なのです。