「ライツビジネス」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。ライツビジネスは、いまTV・映像・エンタメ業界で注目されている、将来性の高い市場のひとつです。
今回は「ライツビジネス」や「ライツ営業」「ライツ事業」についてご紹介していきます。
ライツビジネスとは?
「ライツビジネス」とは、TV局・映像制作会社が保有する番組・コンテンツなどの権利(ライセンス)を売買するビジネスです。たとえばアニメをゲーム化・書籍化・映画化したり、キャラクターグッズを展開したりすると、権利の保有者はライセンス使用料を獲得できます。またコンテンツを動画配信サービスに販売するのも、ライツビジネスの一例です。
ライツビジネスが注目されている理由
ライツビジネスがTV・映像・エンタメ業界で注目されている代表的な理由として、まず挙げられるのは番組・コンテンツを視聴するプラットフォームの多様化です。
中でも動画配信サービス市場は、新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要増加の影響によって、いま急速に成長しています。アニメ・映画はもちろん、TV番組を好きなときにスマホで視聴できるサービスもあり、ライツビジネスの販路が拡大しました。
国内のキャラクタービジネス市場規模は、コロナ禍がもたらしたビジネス機会喪失の影響により、2020年度に9年ぶりにマイナスとなったものの、デジタルコンテンツや動画配信サービスの普及により着実にファンを獲得しています。今後も安定的に成長していくでしょう。
また日本の漫画・アニメは海外でも高い人気を誇っていて、作品はもちろん二次展開のニーズも少なくありません。
加えて枠にしばられない展開ができるのも、ライツビジネスの魅力の一つ。ゲーム・書籍・映画・アニメ・漫画・フィギュアはもちろん、日用品・アパレル・化粧品・食品など幅広い業界に向けてプロモーションできます。ほかにも企業・組織のキャンペーンとコラボするなど、アイデア次第で無限の可能性があるビジネスなのです。
ライツ営業とは?
「ライツ営業」の役割は、ライツビジネスを進めていくためにプロジェクトを企画して、制作会社・商社などにライセンスを売り込むこと。TV局・映像制作会社の収益に直結する重要な仕事といえます。
ライツ営業に向いている人
ライツ営業はTV・映像・エンタメ業界にとどまらず、さまざまな業界の人とのつながりができる、刺激的な仕事です。不況のなかでも安定しており、将来性の高い業種といえるでしょう。営業経験がある人、TV局・映像制作会社で活躍したいという人には特におすすめします。
ライツ事業とは?
ライツ事業には、ライツ事業部やライツマネジメント部などがあります。
各部署についてご紹介します。
ライツ事業部とは?
ライツ事業部はわかりやすくいうと、「原作以外の作品展開すべて」を手掛ける部署です。アニメ化、映画化、ドラマ化、舞台化、(原作以外の)商品化……などなど。映画やアニメのエンドロールで、「製作委員会」なるものを見たことはありませんか?ライツ事業部は、そこに入ることもあります。ざっくりいうと、作品を原作以外の形として世に出すべくプロデュースしていくことがライツのお仕事なので、ときにはプロデューサーとして名前が載ることもあります。アニメ化の例で言うと、企画の立ち上げから契約、脚本、コンテ、キャスティング、アフレコ、宣伝、グッズ、イベントまで、すべてに携わることができます。
ライツマネジメント部とは?
ライツマネジメント部は、各二次利用展開のルールに基づき、適切な権利処理をするプロフェッショナル集団です。あまり表に出るような仕事ではありませんが「縁の下の力持ち」として、テレビ番組の二次利用展開を支えています。
・番組の権利チェック
テレビ放送された番組を、二次利用(配信、海外での放送、DVD化等)するために必要な権利状況の確認や権利処理を行います。特に見逃し配信サービスでは、配信開始前に映像と使用楽曲の権利チェックが必要になります。
・番組の部分使用
番組の部分使用を希望する会社からの申請を受け付け、番組の関係各署に許諾の可否を確認し、番組の映像を提供しています。
番外編
ライツ関連のお仕事に興味のある方は持っていると役立つ資格もあります!
ビジネス著作権検定
著作権に関する知識について、基礎的な理解、具体的な事例判断での応用力を測定する民間の検定試験です。2004年(平成16年)からサーティファイ著作権検定委員会が主催し、開始された比較的新しい民間検定です。出題形式は、リモートWebテストで、初級、上級に分かれており、それぞれ難易度が異なります。
ビジネス著作権検定は、知的財産権と言われるもののうち、特に、著作権についての知識・理解を問う試験です。著作権の知識は、著作権を扱う企業法務担当者、知財担当者などはもちろん、クリエイターや、クリエイターをマネジメントするマネジメント担当者などに必須の知識となります。
なので、このような分野で活躍したいという人には非常にメリットのある検定となります。もちろん、個人でも知っておいて決して損はない知識です。もはや一般常識といっても過言ではありません。
受験資格、受験料
受験資格については、何ら制限はありません。学歴、年齢等に関係なく、誰でも受験可能です。
受験料については、受験レベルに応じて、初級:5,300円、上級:8,200円となっています。(2024年12月時点)
就活にも役立つ!
ビジネス著作権検定は、就活に役に立つというのもメリットの一つです。
著作権についての理解が深い人財は、これからの社会において必須に求められる人材です。ビジネス著作権検定は知識の証明にもなるので、就活において有利に働くことでしょう。
まとめ
今回は、テレビ局や制作会社、出版社などに専門の部署があり、今エンタメ業界で注目されている、ライツビジネスやライツ営業、ライツ事業についてご紹介しました。エンタメ業界に興味のある人は是非チェックしてみて下さいね。