ライブコマースとは?インスタライブとの違いは?

近年、中国で急速に勢いを増しているのが「ライブコマース」です。日本でも今後、ライブコマース市場は拡大するとみられており、注目されているEC事業者も多いのではないでしょうか。 今回はライブコマースについて、またライブコマー...


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近年、中国で急速に勢いを増しているのが「ライブコマース」です。日本でも今後、ライブコマース市場は拡大するとみられており、注目されているEC事業者も多いのではないでしょうか。
今回はライブコマースについて、またライブコマースとインスタライブの違いについてご紹介します

ライブコマースとはライブ配信を活用した販売方法

ライブコマースとは、ライブ配信を活用した販売方法を指します。具体的には、メーカーや代理店などがショップ店員やインフルエンサーにライブコマースの依頼を行い、配信者がライブ配信で商品をおすすめし、配信の視聴者や配信者のファンがおすすめされた商品を購入するという流れです。
例えば、Instagramなら、一定数以上のフォロワーがいる場合、ストーリーズに購入サイトへのリンクが張れるので、配信を見た視聴者がリンクから移動して購入することができます。

テレビショッピングにも似ていますが、ライブコマースでは配信者と視聴者が双方向にコミュニケーションできるのが特徴です。視聴者がコメント欄に書き込んだ質問に配信者がリアルタイムに答えたり、視聴者のリクエストに沿って商品の詳細を見せたりといったやりとりは、従来のテレビショッピングにはないユニークな点といえます。

ライブコマースが増加しているのはなぜ?

ライブコマースが増加している背景には、動画市場の盛り上がりがあります。最近では、モバイル通信の高速化やスマートフォンの高性能化により、誰もが簡単に動画で情報を発信できるようになりました。配信者の中には、芸能人顔負けの知名度を誇る配信者も少なくありません。ライブコマースは、そうした動画時代ならではの販売方法といえます。

ライブコマース市場が特に拡大しているのは中国です。ジェトロの「地域・分析レポート」によると、『コンサルティング会社のiResearch(艾瑞諮詢)は、同社が2021年2月に発表した「2020年ライブコマース白書」の中で、2020年の中国のライブコマース流通取引総額(GMV)前年比約3倍の1兆2,299億元(約22兆1,382億円、1元=約18円)、ライブコマースによる取引額がEC小売額に占める割合11.2%と前年(4.2%)から大きく上昇するとそれぞれ予測している。』と発表しています。
また、同レポートにて『iResearch(艾瑞諮詢)は、2025年にはライブコマースのGMVは6兆4,172億元、EC小売額に占める割合は23.9%に達すると予測している。』と報告しています。

ライブコマースとインスタライブの違い

ライブコマースは、インターネット上で動画ライブを通じて商品やサービスを紹介する販売手法になります。最近では、インスタグラムのインスタライブで自社商品を販売している企業も増えてきていますが、そこで疑問となるのが、ライブコマースとインスタライブの違いです。ここではライブコマースとインスタライブの違いについてご紹介します。

ネットかインスタか配信機能が違う

・ライブコマース
ライブコマースとは、わかりやすく例えるとオンラインで行われるテレビショッピングです。オンライン上でのライブ配信を通じて、自社が展開する商品やサービスを紹介する新しいマーケティング手法のことを言います。配信者である事業者と商品の購入検討者である視聴者が双方向のコミュニケーションを取れるため、視聴者の疑問にその場で回答したり、視聴者の反応を見てその場限りの特典を用意したりすることで、視聴者の購入検討を促進することができます。

・インスタライブ
インスタライブとは、Instagram Liveの略称で、meta社が提供するインスタグラムプラットフォームに付随したSNS型の「ライブ配信機能」になります。
SNSであるため、一般的には配信者がフォロワーと交流するためにライブ配信を行うケースが多いです

ライブコマースのメリット

ライブコマースには、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、事業者と視聴者、それぞれの立場から、ライブコマースのメリットについて解説します。

事業者にとってのメリット

ライブコマースは、事業者にとってさまざまなメリットがあります。代表的なメリットは、以下の3点です。

①商品の魅力を動画で伝えられる
動画というフォーマットそのものが商品の販促に向いている点が、ライブコマースのメリットとなります。動画の情報量は、テキストや写真とは比較にならないほど膨大です。ライブコマースであれば、写真やテキストでは伝えにくい商品の実情や魅力をしっかりと訴求できます。例えば、化粧品のラメの光り方や洋服の素材感などは、写真とテキストよりも動画のほうが伝えやすい情報だといえるでしょう。さらに、配信者が自分の言葉で商品を説明することで、商品の魅力をより強く印象づけることができます。

②配信者のファンに宣伝できる
配信者にすでにファンがいる場合、ライブコマースは集客量を予想しやすいというメリットがあります。また、ファンは配信を好意的に視聴してくれるため、ただ動画を配信するよりも宣伝効果が高いといえるでしょう。

③場所を選ばない
配信や視聴に関して場所を選ばないことも、ライブコマースのメリットです。例えば、日本の事業者が中国のインフルエンサーに依頼してライブコマースを実施し、配信を視聴したヨーロッパのファンから注文が入るということもあります。ライブコマースなら、これまでリーチできていなかった新規顧客層にリーチできる可能性があります。

視聴者にとってのメリット

ライブコマースには、事業者だけでなく視聴者にもメリットがあります。代表的なメリットは、以下の3点です。

①商品の詳細がわかる
最大のメリットは、なんといっても写真やテキストではわからない商品の詳細がわかる点です。公式サイトの写真には写っていない角度も、動画なら簡単に確認できます。

②その場で質問ができる
ライブコマースは、配信者と視聴者が相互にコミュニケーションできるので、商品についてわからないことがあればその場で質問することができます。
例えば、新型のスマートフォンの紹介であれば、「◯◯というアプリの動作が見たいから、起動して操作してみてください」とか、「スペック表だと前のモデルと比べて少し重くなっているようだけど、体感的にはどうですか?」など、質問すると配信者が実際に操作して感想を教えてくれるといった具合です。
こうした、相互のリアルタイムコミュニケーションにより疑問点をすぐに解消できるのは、視聴者にとって大きなメリットになるでしょう。

③配信者の応援につながる
ライブコマースでの商品の購入は、配信者の応援につながります。配信者にとってライブコマースは、企業から依頼を受けて行う大事な仕事です。企業は配信者がどれだけ商品を販売してくれるのかをチェックし、しっかりと効果測定をしています。ライブコマースがきっかけで商品が売れれば、その配信者にはまた仕事が入るでしょう。企業からの依頼が入れば、ファンもより長く配信者の活動を楽しむことができます。

ライブコマースに向いている商品

ライブコマースと相性が良い商品の共通点として、「見栄えが良い」「トレンドを押さえている」「動画配信で効果や魅力が伝わりやすい」といったことが挙げられます。また、ライブ動画の視聴者層も踏まえると、比較的若い世代をターゲットとした商品が向いているでしょう。ここでは、ライブコマースに向いている2つのジャンルをご紹介します。

アパレル

タレントやモデルのコーディネートを解説したり、実際のサイズ感を見せたりできるアパレル商品は、ライブコマースとの相性が良いジャンルのひとつです。スタイリストや人気モデルを起用することでその人のファンが視聴者として集まるため、事業者は高い集客効果が期待できます。

化粧品

化粧品をはじめとした美容系の商品も、見栄えが良くトレンドを押さえやすいため、ライブコマースに向いています。事業者側はメイクアップアーティストやモデル、商品企画担当者、マーケティング担当者などが商品の特徴や魅力をわかりやすく伝えることで、多くの集客や売上が期待できるでしょう。
また化粧品は、実際の使用感や仕上がりを知った上で購入したいと考える人が多い商品です。実際に商品を使ってメイクをする様子が見れて、使い方のポイントや使い心地、仕上がりなどが分かるのは視聴者側にとっても魅力です。

まとめ

近年ではYouTubeやTikTokなどの動画プラットフォームが人気を博しており、さらに新型コロナウイルスの影響によりECサイトでの購入意向が高まっている中、ライブコマースは今後も需要が高まっていくと考えられます。ますます目が離せませんね。