海外ロケの要!?コーディネーターとは?ロケにあたりどんな準備が必要?

海外ロケのコーディネーターとは? 『海外撮影コーディネーター』(以下、コーディネーター)というお仕事を知っていますか。一言で言うとTV番組などの海外ロケで必要な全てのオペレーションを行う仕事です。そして、海外ロケが成功す...


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海外ロケのコーディネーターとは?

『海外撮影コーディネーター』(以下、コーディネーター)というお仕事を知っていますか。一言で言うとTV番組などの海外ロケで必要な全てのオペレーションを行う仕事です。そして、海外ロケが成功するか否かはコーディネーターの腕にかかっているといっても過言ではないキーパーソンなのです。
ロケ先が海外である場合、日本にいるうちに準備できることは限られています。ネットで調べても外国語で意味がわからなかったり、そもそも情報が出てこないこともしばしば。しかし、実際ロケに行ってから問題が起こって撮影ができないなんてことになったら大問題。そこでコーディネーターの出番です。

コーディネーターの仕事

番組スタッフは、ロケが決まったら現地にいるコーディネーターに話を聞き始めます。コーディネーターは、現地でリサーチ、撮影場所・取材対象の選定と許可どり、ホテルや移動手段の手配、現地キャストとスタッフ・機材の手配、スケジュール作成まで行い、ロケ中もタレントやスタッフの通訳や緊急対応、帰国後の追加リサーチもこなす心強い存在なのです。では、具体的にどんな仕事をするのでしょうか。

リサーチ

コーディネーターの最初の仕事はリサーチです。日本のスタッフが調べた情報が本当に正しいのか、裏取りをします。日本で調べたことは、特に海外の場合情報の正確性が怪しいものが多いため、現地で人脈があったり、直接現地で聞き込みをできるような人が必要です。

また、あまり想像がつかないかもしれませんが、予防接種についての情報提供も大切な仕事です。現地で流行っている感染症があれば、日本でワクチンを打つことが必要な場合もあります。そのような情報をロケ前にスタッフに連絡することで、タレント及びロケに参加するスタッフたちは万全の準備をすることができます。

治安が悪い国であれば、防犯上必要な情報を伝えることも大切です。海外では物を盗まれたり、ジャングルで迷ったり、国によっては強盗にあってしまうこともあります。日本のスタッフは渡航先の知識が現地の人ほどありませんから、情報を提供したり、日本で買っておきたい防犯グッズなどあれば伝えます。

撮影場所・取材対象の選定と許可取り

番組のディレクターやADからロケの際の要望を聞いたら、最適なロケ先を選定します。ロケの前に担当者との信頼関係を構築する必要があります。

ではどのように信頼関係を構築するのか。ロケ先の目星をつけたら、担当者にあいさつし、番組の趣旨を説明、お土産を渡すなど、ロケ前の下準備を進めます。その時、信頼を獲得することと同時に、ロケ先の担当者として任せて良い方なのか見極めることも大切です。人によっては時間にルーズだったり、約束を守ってくれないこともしばしばありますから、一緒に仕事をする人としてふさわしいか、こちら側も確認を怠らないようにしましょう。

「番組スタッフからの要望にも応えられそうで、ぜひここでロケがしたい」という段階になったら、撮影の許可取りに入ります。先方にロケの目的や番組内容の説明、使用する機材、撮影期間や時間帯、スタッフの人数なども伝えます。

撮影許可は、①公的機関の許可②民間施設の許可に分かれます。①市役所や空港、国立公園などへ申請して許可をとるイメージです。②は例えばレストランでの撮影でお店に許可をとるというイメージです。民間の施設だと思っていたら公的機関だったということもありますので、一つひとつ丁寧に調べる必要があります。並行して、航空券やホテル・移動手段も確保します。手配することもコーディネーターの仕事です。この時、予算におさまるように配慮し、各所と調整を進めます。

現地キャストとスタッフ・機材の手配

現地の技術会社で機材を手配する場合はその準備を進めます。また、現地に住んでいるタレントが必要な場合は事務所とも連絡を取らなければなりません。それらの申請もコーディネーターの仕事です。

また、日本から機材を持ち込む際にも手続きが必要です。国によっては撮影許可と通関手続きはセットになっていたり、逆に日本側で撮影ビザの申請と通関手続きに対応するなど各国によって対応は異なります。必要書類を提出した後も抜け漏れがあれば対応します。特にコロナ禍では必要書類が増えてとても大変でした。

スケジュール作成

諸々の手続きが終わったら、現地でのスケジュールを作成します。日本のスタッフに滞在できる時間を確認し、決められた時間で無駄がないスケジュールを作成する必要があります。ここで重要なポイントは、予備日をうまく作ることです。現地でのトラブルは様々で、こちらが注意していても天候の問題でやむを得なく予定の日に撮影できないということは良くあります。そのような不確定要素にも対応できるよう、スケジュールに余白があることが大切なのです。

ちなみに、現地での撮影が終わったら、打ち上げも行いますので、そのお店も確保します。大変なロケを終えたあとの食事会ですので、現地のとびっきり美味しいお店を選びます。

スタッフ到着前の最終確認

コーディネーターはスタッフ到着の1~2日前から最終確認を進めます。スタッフ用のSIMカードと携帯電話を入手し、今回のロケで必要な連絡先(滞在するホテルやロケ先など)を登録し、すぐ渡せる状態にします。
ホテルの事前チェックインをして、部屋の状況や空調、Wi-Fiの接続状況などの確認をします。天候や日の出・日の入り時間も改めてチェックします。
これらの確認を全て終えて、スタッフが到着する前に空港で待機しています。

ロケ中の翻訳

ロケ中の仕事のほとんどは翻訳です。日本語のニュアンスを正しく現地の方に伝えることが求められます。しかし、その他にもスタッフに常時張り付いてスケジュールの変更にも対応しなければなりませんから、撮影中は誰よりも忙しくなります。

ロケ後の追加リサーチや翻訳サポート

ロケが終わってタレント・スタッフが日本に帰れば、コーディネーターはやっと落ち着いてきます。ただし、日本から編集の際に必要な情報を教えたり、追加資料の翻訳にも対応し、番組のサポートを最後まで行っているのです。

まとめ

今回は、海外ロケのコーディネーターのお仕事を紹介しましたがいかがでしたか。ロケをスムーズに進めるために、コーディネーターは必要不可欠な存在です。コロナ禍の制限も緩和され、今後さらに海外ロケも増えていくことが予想されます。「海外でテレビの仕事がしたい」という人にはぴったりのお仕事です。