テレビ局も注目!今、TikTokなどでZ世代に大人気の「ショートドラマ」とは?

Z世代に大人気のショートドラマとは? 近年、TikTokをはじめとするショートムービーに合わせ、スマートフォンに合った縦型の画面で収録された「縦型ショートドラマ」が人気となっています。日本テレビも2023年3月、そんなT...


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Z世代に大人気のショートドラマとは?

近年、TikTokをはじめとするショートムービーに合わせ、スマートフォンに合った縦型の画面で収録された「縦型ショートドラマ」が人気となっています。日本テレビも2023年3月、そんなTikTokドラマの流行に合わせ、TikTok上で縦型ショートドラマ専用アカウントを開設しました。今回はそんなTikTokで話題の縦型ショートドラマについてご紹介します。

ショートドラマは短い尺の実写ドラマ

そもそもショートドラマとは、1~3分ほどの短い尺の実写ドラマのことです。学園物や恋愛ものなど、様々なジャンルの作品が動画アプリに投稿されています。今、こうした縦型ショートドラマがZ世代に絶大な人気となっています。
SNSにおける縦型のショートドラマは、もともと中国で人気に火がついたジャンルです。日本にも徐々にその波がやってきて、2023年に大きくユーザーの支持を集めるようになりました。

ショートドラマがバズった背景

ショートドラマが人気を博す背景として、「スピード感」と「情報密度の濃さ」が挙げられます。タイパという言葉が一般化してきていますが、倍速視聴やながら視聴、スキップ視聴といった行為に慣れた若いユーザーを中心に、長い動画やテンポのゆったりした動画の視聴は時間がもったいない、損をしたくないという理由から敬遠されてしまう傾向にあります。
若者のテレビ離れに加え、昨今ではデジタルメディアにおいても「広告を見ない」機能が実装されています。今後もその傾向は加速していくであろう中で、ショートドラマはユーザー自身が“見たいと思って見る”作品にできる点と、まさに動画自体がバズを生みローコストで多くの視聴数を獲得できることを魅力と捉える場合が多いようです。

ショートドラマのターゲットや狙い

20代のZ世代を中心に人気を集め瞬く間に広まった縦型コンテンツは、以前まで当たり前とされていた“横長”の常識を覆し、マンガや映画界といったエンターテイメント業界を変化させています。
もともと縦型画面のコンテンツは“SNSの個人発信”のモノが多く、若年層へ向けたコンテンツや一部のターゲットに向けた投稿が多くを占めていました。
しかし最近ではYouTubeのようにグループでアカウントを持ち、編集が創りこまれた作品を投稿するクリエイターが増加したことでコンテンツの種類も増え、30代、40代もターゲットに含まれ始めました。
また、縦型コンテンツのメリットとして、完全視聴される確率が高いことが挙げられます。
基本的には一本のコンテンツの時間が10分前後と短く、視聴者を飽きさせる前に物語が終わることが由来し、長編動画よりも完全視聴率が高い傾向に繋がっているのです。
完全視聴の確率が高いことは広告の面で見ても大きな利点があるため、企業との共作の可能性も拡がります。SNSでのアルゴリズム的に完全視聴率が高くなると、合計視聴時間も伸び、おすすめ動画に表示される可能性も高くなります。
縦長ドラマを始めとするショート動画作成の際は、長尺のコンテンツも短尺に切り分けて投稿を行うことで多くのユーザーへのアプロ―チに繋げていくことが好ましいでしょう。

人気のアカウントだと、累計再生回数26億回超え!

例えば、ショートドラマで視聴回数を一気に伸ばしているアカウント「ごっこ倶楽部」20代から30代が中心のクリエーター集団で、スマホ向けの縦型ショートドラマをメインに制作しています。視聴者層は10~20代が中心で、累計再生回数は26億5000万回を超えます。
特徴は短いシーンと早い展開です。1シーンの撮影がわずか5秒程で終わることもあるようです、ごっこ倶楽部の俳優によれば「2分ぐらいのドラマを3時間ぐらいで撮っている」といいます。
また、BGMもポイントで、音楽に合わせて編集することで、興味を惹きつけているそうです。
そんな「ごっこ倶楽部」の事業内容と収益化の方法をみてみましょう。

事業内容

ごっこ倶楽部は、“日常で忘れがちな小さな愛”をテーマにTikTokを中心に縦型ショートドラマの作成・投稿を行っています。
2021年5月からTikTokにショートドラマの投稿を開始し、幅広いジャンルのドラマを制作しています。2023年3月現在でTikTokアカウントに98.5万人を超えるフォロワーを抱えるほか、2022年9月単月での調べでは、1か月での再生回数が1億回を突破していることが報告されました。
また、ごっこ倶楽部を運営する株式会社GOKKOは2022年2月にベトナムアカウントを開設し、翻訳テロップを付けた投稿開設を行うことで、1カ月で再生1800万回、63万イイね、4.5万フォロワーを突破した実績を上げ、2022年4月にはインドネシアアカウントも開設しています。
さらに、2022年11月には、世界初の試みとして、縦型映画『アンガージュマン』をTikTokで映画公開前に配信を開始しました。

収益化の方法

ごっこ倶楽部では、制作費がかかるドラマ制作で、どうやって黒字化しているのでしょうか。その秘密は、オフィスにあり、普通のオフィスとして使用しながらも、撮影時にはスタジオにもなるそうです。
例えば、塾のシーンは、横で撮影すると、背景も作り込まなければなりませんが、縦で撮る場合には、人物をアップで撮影することが多いので、オフィスの一角の少しの背景で成立します。
また、オフィスの隅に丸テーブルが置かれたスペースがあり、こちらは、カフェのシーンの撮影に使うそうです。このように、スタジオの費用がかからないので、コストを大幅に削減できているそうです。
さらに、スタッフによると、「演技も編集も脚本も書いて、音声もカメラもしてます」と、ごっこ倶楽部では1人が様々な役目を兼務しています。
主演の男優が監監督の役目をしたり、女優もレフ板を持ったり、自社で一気通貫で制作することでコストを抑えています。

ショートドラマは各国でも大人気!

ショートドラマの人気は各国でも広がっています。海外向けショートドラマ配信アプリのうち、「ReelShort」はダウンロード数が全体の52%、収益は全体の48%と、市場の半分を占めて首位に立ちました。また、「ShortTV」は東南アジア市場で大きく伸び、サービス開始からわずか6カ月で海外市場での累計ダウンロード数が2位に入りました。

中国の調査会社の調べでは、中国発ショートドラマの海外での人気はここ半年で急速に高まったと指摘しています。2024年2月末時点で、ショートドラマを配信する40以上のアプリが海外市場に参入しており、過去1年間の累計ダウンロード数は約5500万回、アプリ内課金による収益は1億7000万ドル(約255億円)に達しています。
ちなみに、日本市場をターゲットとした、中国発の「TopShort」というアプリも登場しており、2024年2月の売上高は前年同月比で110%増加し、日本市場で売上高とダウンロード数が最も多いショートドラマ配信アプリとなりました。
また、米国はショートドラマ配信アプリの激戦地で、中国発の主なアプリも売上高の6~7割を米国市場から得ています。

まとめ

縦型ショートドラマについての事例やポイントをご紹介しましたが、いかがでしたか。
市場はまだあまり大きくないですが、テレビ業界が参入したことで今後拡大していくことが期待されます。