数字につながるサムネイル
近年増えた配信
近年、見たいテレビを見逃しても様々な媒体で存在する「見逃し配信」ですが、この再生回数や媒体の中での順位は、業界の人が気にするポイントのひとつでもあります。
〈配信媒体の例〉
民放公式テレビ配信サービス TVer 日テレ系動画配信サービス Hulu,日テレ無料(TADA) TBS系動画配信サービス U-NEXT(旧Paravi),TBS FREE フジテレビ系動画配信サービス FOD テレビ東京動画配信サービス ネットもテレ東 テレビ朝日系動画配信サービス TELASA その他動画配信サービス Netflix,Amazon Prime Video など |
この様々な配信媒体では、見逃し配信だけではなく、外出していても番組を楽しむことができるリアルタイム配信も時間帯によっては楽しむことができるようになりました。
また、ドラマなどが媒体によっては年単位で長く配信されたり、昔の番組が再度放送されることも珍しくありません。
そんな「配信を見る」ことが増えた中で、テレビをザッピングするように、配信を見ることが多くなったかと思います。今回は、そんな中で重要視される「目に止まるサムネイル」について解説していきます。
配信作業で気をつけるところ
配信とはいえ、テレビで放送しているものの全てを配信できるとは限りません。
サムネイルの話をする前に、配信における注意点を記載しておきます。
最近では配信しない番組の方が少なく、上記のような各局の様々な配信媒体が存在するため、
素材を手配する際には通常の使用にかかる金額に加えて、配信にかかる金額や条件も
確認するのが必須になっています。
・料金の確認 / 振込期限の確認
・画像 / 映像の使用方法
・クレジット表記の有無
ADが用意する素材の中には配信ができないものや、媒体ごとに高額な料金がかかってしまうこともあります。料金の設定もものによってまちまちです。
使用料のみの場合もあれば基本使用料に加えて使用秒数ごとに変わったり、配信媒体が一つ増えるごとに料金が設定されていたりします。
また、素材によってはトリミング禁止、ズーム禁止など、使い方についても注意が必要です。
誤った使い方をしないように必ず先方に確認して使用するようにしてください。
クレジット表記についても正しい文言をもらうようにしましょう。メールなどの文字で先方からもらうのが確実です。
スペースは半角なのか、アルファベットは大文字なのか小文字なのか、電話口ではわからないこともあるためです。
また、エンドロールの表記を求められることもありますが、これはすぐにOKできるものではないことがほとんどです。番組のプロデューサーなどに確認しないといけないため、エンドロールのお願いをされた時には即答せずに確認しましょう。
サムネイルが使われるところ
先にも挙げた配信媒体での使用と合わせてSNSで使われることも非常に多くなっています。配信のURLを貼ると一緒に投稿に反映されるのがサムネイルになることがあります。その場合、配信媒体で見るよりも少し大きなサイズで見られることがあります。よりシェアされることの多い場面でも使われる大切さも兼ね備えています。
▼サムネイルの特徴
サムネイルを構成するものとして画と文字が挙げられます。
このふたつは実際にテレビの編集と同じですが、最も違う要素として大きさが挙げられます。テレビを媒体で見るより、さらに小さいサイズで表示されるのがサムネイルです。テレビの画面サイズと同じ横長がほとんどのサムネイルで横の長さは第一関節分ほどしかありません。(媒体差はあります…!)
そのため1つのサムネイルに対して、あまり要素が多すぎると伝えたい情報が伝わらないことも多くあります。
そのため、どんな情報があれば見たいと思うのか、番組に合わせて考える必要があります。
構成を考える
サムネイルを作る時に最初はどのような配置で文字を置いて、どのような顔を抜いて、どう伝えるかを考えておく必要があります。簡単にイメージを書き出してみてから実作業に入らないと、結局何が伝えたいのかわからないサムネイルになってしまいます。迷ってしまったり、初めて作ったりする時には先輩などに相談しながら進めてもいいと思います。
出演者に惹きがある場合
出演回ごとにゲストが違う番組や、メインで出た演者が人気のアイドルや俳優の場合、その人を見たい!と思わせるサムネイルであれば再生される可能性が上がります。
この場合、その人の名前をサムネイル上に載せることでもわかりやすくなると思いますが、なるべく大きく、かつ、いい顔をサムネイルに使うことがポイントになります。
・面白い、笑いの多い番組だったら思いっきり笑っている顔
・感動する話のある番組だったら涙ぐんでいる顔
・動きのある企画をする時には躍動感のある顔
・チャレンジものの企画の時は真剣な顔 など
こういった画像を抜くのはADの仕事になります。
もちろん演者の顔を使う以上、基本的には事務所の許可も必要ですが、しっかり意図のある画像を選ぶことで、再生回数につながると思うとよりこだわって選ぼうと思えると思います。
抜きのポイント
単純なように見える抜きの作業でも表情で苦戦することも多くあります。
そんな時に使える抜きのポイントをいくつかご紹介します。
・本編に入っている場面から抜く
・表情のわかるカメラで撮っている素材から抜く
本編で使われている場面は「何かが起きた時」であることが多いです。
爆笑している場面や涙している場面など何が起きてこの表情なのか気になる場面こそサムネイルにはもってこいの顔であることが多くあります。
作り始める時に考えた構成に使えそうな場面からみてみましょう。
そのようなシーンに関係ない構成でサムネイルを作る時には、素材の中の適した箇所を素材から探すことも効果的です。ですがその場合には、しっかりと表情の見えるカメラで撮っていることが大切です。
顔が全て写っていたとしても、定点のカメラだと設定で顔が少し歪んでしまっていたり、画質が悪かったりします。(外ロケではよくあります…)
そのため素材を見る時には、むやみやたらに全ての素材を見るのではなく、そのタレントの顔がよく撮れているカメラから探すといいと思います。
企画に惹きがある場合
レギュラー番組によくあるのが「人気企画」です。
この場合、その企画の名前を読みやすく出したり、その企画のキーワードを載せることでいつも見ている人ももう一度見たいと思わせることができます。
また文字がポイントになる上で大切なのが「見やすさ」です。
テロップの色だけでなく、そのベースの色や柄、画とのバランスを踏まえた配置などより考えた配置であることがポイントになります。
まとめ
近年欠かせなくなった配信におけるサムネイルの作り方について解説しましたがいかがでしたでしょうか?サムネイルなどをこだわって作ることも、ディレクターを目指すうえではとても良い経験になります。日々、様々なサムネイルを見たり、よりその番組の世界観や雰囲気を理解したりすることで伝わりやすいサムネイルを作ることができるはずです。是非、日々の積み重ねからできることを増やしていってみてください!