AD経験者が語る!テレビ制作現場での【あるある失敗談】と【許されないミス】~前編~

ミスをしてしまったら…? どの職種においてもそうですが、仕事にミスはつきものです。 まず、一番初めに覚えておいてほしいことは、ミスをしてしまったら、すぐ誰かに相談することです! 特に、ADになりたての頃は、ミスをしてしま...


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ミスをしてしまったら…?

どの職種においてもそうですが、仕事にミスはつきものです。
まず、一番初めに覚えておいてほしいことは、ミスをしてしまったら、すぐ誰かに相談することです!

特に、ADになりたての頃は、ミスをしてしまったことに焦ってしまいどうしてよいかわからなくなってしまうものです。
そんな時は、まず先輩ADやAP、プロデューサーにすぐに報告・謝罪をして指示をあおぎましょう。
現場経験豊富な先輩方が必ずフォローしてくれるはずです。
一番良くないのは、ミスをしてしまったことを隠したり、放置してしまうことです。
誰しもミスはしてしまうものなので、素直にすぐ報告・謝罪することが肝心です。

今回はADが直面する、番組制作現場でやってしまいがちな【あるある失敗談】と気を付けてほしい【許されないミス】を前編と後編に分けて紹介していきたいと思います。
実際にADを経験してきた筆者も直面してきたことばかりですので、その際の乗り越え方や回避法についてもあわせて紹介していきます。

番組制作現場における【あるある失敗談】

寝坊


どの仕事においてもですが、特にADはこのミスがダントツで多いです。
ADはフレックスタイム制で働いており、どうしても不規則な生活になりがちで、仕事終わりが夜遅くになることもよくあります。
そんな中で、翌日のスケジュールが、朝からロケハンだったり、打ち合わせだったりする場合によく起こります。

特にロケの日は要注意です!
ロケ場所が地方だったりすると、制作陣でロケバス移動するパターンがあり、集合時間が早朝になることもよくあります。
出発が遅れると、他のADやディレクターなど多くの人に迷惑をかけてしまいます。
また、新幹線移動を伴う場合には、列車に乗り遅れてしまうと、指定席券が無駄になってしまいます。

まず、寝坊してしまった際にはすぐに連絡をしましょう。
その上で、出発に間に合わない場合には、他のスタッフに先に行ってもらい、自分1人で現場に行く方法を考えましょう。

予防策としては、アラームはスマホ以外にも、目覚まし時計やテレビのオンタイマーなど複数設定しておくこと。
また、翌日の準備は念入りに確認しておき、着る服も寝床に用意しておくなど、起きて支度をしたらすぐに出られる準備をしてから就寝するようにしておくと安心です。
朝にシャワーを浴びる派の人は、ロケなど翌日が早い場合には、夜に浴びるようにして、朝の支度の時間を少しでも短くしておくことも大切です!

申請漏れ・許諾漏れ


ロケの際の撮影先の許可、放送で使用する素材の使用許可などAD業務に申請作業はつきものです。

例えば、街ブラロケの場合には、取材先だけでなく、管轄の警察への道路使用許可など複数の撮影許可が必要になります。
また、最近はテレビでもよくみかけるドローン撮影においては、各地方自治体や観光協会、該当の土地の管理者にも撮影の申請・許可取りが必要です。

筆者が制作現場にいた頃の話ですが、番組の中で街のキレイな風景を紹介するシーンでドローン撮影を行いました。
その放送を見た、該当の土地の所有者から、「何も報告を受けていない」とお叱りの連絡が局に入った経験があります。
制作側は空き地だと認識していた場所だった為、事情を説明して、謝罪に伺い、その場は事なきを得ましたが、特に地方の場合には、一見空き地に見える場所も私有地であることがよくあります。
ロケハンで撮影場所をきちんと確認をした上で、地元の市役所や町役場等にも相談をして申請漏れのないように気を付けましょう。

また、放送にあたって、何かの素材を使用する際にも許可取りが必要です。
写真や書籍、新聞や雑誌の記事、映像関連など全てにおいて『著作権』が発生します。
所有者、撮影者、出版社など各所に使用許可を漏れなくもらいましょう。
その際、使用料の有無『クレジット表記』の確認も必ずしましょう。
※クレジット表記とは、写真撮影:●●、Ⓒ●●など、作者や撮影者、著作権元を素材と一緒に表記することです。

写真等を使用する際に気を付けなければならないことがあります。
例えば、京都の『清水寺』を撮影した写真を使用したい場合。
写真を撮影した撮影者の許可を確認するのはもちろんですが、対象物である『清水寺』にも写真使用の許可を取る必要があります。
撮影の際の映り込みであっても、対象物には使用許可が必要であることを頭に入れておきましょう。

申請や許諾確認の漏れを防ぐ対策としては、メールを送る際のCCに、先輩や担当APさんなどを入れておいて状況を共有しておくことです。申請状況、クレジット表記の有無なども共有できるので、特に新人のうちは必ず誰かをCCに入れてメールをする癖をつけておきましょう。

バラシ忘れ


『バラシ』というのは、業界用語で、押さえていたものをキャンセルすること、または、現場などを片づけたり撤収することを指します。

このバラシ作業、ADさんの仕事の中では結構発生します。
というのも、ロケや撮影が終わったあとのバラシ作業はもちろん毎回発生しますし、ロケや打ち合わせの場所を押さえたり、バラしたりするのもADの仕事です。

打ち合わせや撮影などの場所を押さえる際、候補場所がいくつかある場合には、各所に必要になった場合対応かどうかを確認して、複数個所押さえておきます。
その後、実際の場所が確定した時点で、押さえていた他の場所に断りの連絡を入れる必要があります。
日々の業務に追われていると、押さえていた場所のバラシ作業を忘れてしまうことがよくあります。
この作業を怠ってしまうと、キャンセル料が発生してしまったり、撮影などを期待して待っていた先方を怒らせてしまったり、トラブルに発展しかねません。

いくつか押さえる場合には、キャンセル料がいつからかかるのか、いくらなのかも確認しておき、表にまとめるなどしておきましょう。
場所が確定したら、すぐに他の場所にはキャンセルの連絡をする、撮影などの場合には丁寧に説明をし、今後何かあった際には気持ちよく対応してもらえるようにしておきましょう。

発注忘れ

これもよくあるミスです。
ロケの際には、仕込み・準備の段階で発注しなければならないものが沢山あります。
技術や機材を発注する、小道具やメイクBOXを美術に発注する、ロケ車両を車両会社に発注する、昼食のお弁当を発注するなど様々なところに色々なものを発注しなければなりません。
何か一つでも漏れがあると当日の進行に支障をきたしてしまいます。

発注漏れを防ぐ対策としては、準備リストを作っておき、チェックしながら進める、ロケ打ち(ロケ前の打ち合わせ)のあとなどに、AD同士で改めて必要なものを確認し合うなどです。
たとえ発注漏れがあったとしても、気づいた段階ですぐに報告して連絡をすれば、発注先や周りのスタッフ等、様々な力を貸してくれて本番に間に合うこともあります。
ロケ準備は一人で抱えず、ADみんなで共有し、確認・チェックし合いながら進めることが大切です。

まとめ

今回はADの現場での【あるある失敗談】とその回避法・乗り越え方を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?すぐに報告する、連絡する、相談すること【報連相】は、当たり前のことではありますが、AD業務全般においてもとても大事なことなので、常に意識しておきましょう。
後編では、ADの気を付けてほしい【許されないミス】について紹介していきますので、是非、そちらもあわせて参考にしていただければと思います。