テレビ番組の制作がしたいなら知っておきたい!BPOとは?

テレビ番組を作るとき、「これって放送しても大丈夫な内容なの?」というのを倫理的に判断していくのは、とても重要なことです。 テレビで放送される内容には、公平性や正確性が保たれる必要があり、誤報や過剰な演出、人権侵害などがあ...


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テレビ番組を作るとき、「これって放送しても大丈夫な内容なの?」というのを倫理的に判断していくのは、とても重要なことです。
テレビで放送される内容には、公平性や正確性が保たれる必要があり、誤報や過剰な演出、人権侵害などがあってはなりません。
今回は、その放送倫理にまつわる「放送倫理・番組向上機構(BPO)」という機関について、解説していきます。

放送倫理・番組向上機構(BPO)ってなに?

2003年の設立から2023年に20周年を迎えた放送倫理・番組向上機構(BPO)は、NHKと民放連によって設置された第三者機関です。
視聴者側の人権を犯さない範囲でテレビ制作側の表現・言論の自由を守るのが役目です。
とても簡単に言うと、放送業界の”お目付け役”ということです。

BPOの仕事内容とは

では、実際にBPOがどのような仕事をしているのかというと、放送されたテレビ番組に意見やクレームがあったり、「倫理的におかしいのではないか」という問題が起きたりしたとき、番組の製作サイドや、苦情を申し立てた人にヒアリングするのが主なお仕事です。

テレビ局がBPOから指摘を受けてしまったら、再発防止案や報告書を提出しないといけない

制作側とクレームを入れた視聴者にヒアリングをした結果、「これは、クレームが正しい。倫理的におかしい」と判断されたら、BPOはテレビ局に対しての「勧告」などを公表することができます。
勧告されたテレビ局は、再発防止策や報告書などを提出しなければなりません。

また、大きな問題があった場合は、その放送局やテレビ番組だけでなく、放送業界全体に注意喚起を行うこともあります。時代に沿って情報を共有し、放送業界の倫理観を常にアップデートしていきます。

ただ、BPOができるのはあくまで、注意喚起、指導のみで、強制力のある権限を持っているわけではないというのがポイントです。

ちなみに、放送倫理に違反するのではないか、と感じた視聴者は無料で申し立てをすることができるような仕組みになっています。

2022年4月に公表された、「『痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー』に関する見解」について

近年で一番話題になったのは、2022年4月に公表された「『痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー』に関する見解」でしょうか。
これはBPOの「青少年委員会」が公表した内容です。
他人の心身の痛みを周囲の人が笑う場面がリアリティーショーの体裁として放送されることが、形成途上の人間観・価値観に与える危険性があるという指摘が行われました。
「不快に思う」「いじめを助長する」など視聴者や中高生モニターからの意見を踏まえた結果です。

「罰ゲーム」「リアクション芸」「ものまね」「ドッキリ」は『痛みを伴う笑い』なのか

テレビ業界とりわけバラエティー番組界隈をザワつかせたこの話題ですが、そもそも「痛みを伴う笑い」の定義とはなんなのか…、落とし穴を使った「ドッキリ」や、面白おかしく過剰にデフォルメした「ものまね」などもその定義に入るのかなど様々な議論がまきおこりました。
また、このこととは関係ないとされていましたが、2022年冬の『笑ってはいけない』が放送休止になったことも当時はあわせて大きく取り上げられました。

お笑い界は「傷つけない笑い」へ進化したともいえる

一方で、BPOの規制は、お笑い界やテレビ業界を時代に合わせて進化させているとも考えられます。
ここ数年で、お笑い業界全体に広まった「傷つけない笑い」の風潮。
ものまね界でも笑いよりクオリティの高さで人を感動させようという風潮もでてきています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。「BPO」について、ご理解いただけましたでしょうか。「言論・表現の自由」を確保しながら、視聴者の人権を守るための組織を通して、この激動の時代の中でどうあるべきなのか――。私たちも当事者としてしっかりと考えていかないといけませんね。