テレビ番組で芸能人をキャスティングするのは一体誰?!その仕事内容とは

テレビ番組には様々な芸能人が出演していますがコンセプトに沿った出演者をキャスティングするのは誰の仕事なのでしょうか。今回はその仕事内容と意外と知られていないキャスティング事情をお伝えします。


この記事は約7分で読み終わります。

 

キャスティングって誰の仕事?

「キャスティング」と聞くと出演者を自分の思う通りに決める華やかな仕事のイメージがあります。テレビ制作への就職を希望する方の中にも「芸能人と仕事がしたい」「キャスティングをしたいのでプロデューサーになりたい」という方は一定数います。

そもそも出演者を決めるキャスティングとはどのような流れで行われているかご存じでしょうか。新番組を立ち上げる場合の例をあげて説明していきます。

まずはコンテンツの基礎となる企画内容の立案が行われます。
プロデューサー、ディレクター、作家など数人で相談をしながら骨組みを考えていきます。

おおまかな企画内容が決まった時点で、次は企画のコンセプトに沿った出演者の候補を挙げて行く作業にはいります。MCやメインで出演をお願いしたい人を第一候補から順番に出していきます。

 

例えば…グルメ番組を立ち上げるとします。
「タレントが地方ロケに出て一般の方にインタビューを行いながら美味しいグルメを見つける企画」
となった場合、
第一候補『冠番組を何個かもっている大人気芸人コンビA』
第二候補『ロケが得意な若手芸人コンビB』
第三候補『今若者に流行っているピン芸人C』

と、出演者候補を出していきます。

ディレクターや作家は番組を面白いものにするために出演者を考えますし、プロデューサーは出演料や芸能事務所の兼ね合い、番組の裏被りなど現実的な面も考慮しつつ話し合いを進めます。

 

そして候補に上がった順番にプロデューサーが事務所に出演オファーを進めます。
第一候補で挙げた芸人コンビがスケジュールが空いていて番組内容的にも出演してくれる可能性もありますし、色々な都合で全く出演者が決まらず候補を出し直す場合もあります。

 

 

番組のメインとなる出演者以外も大まかにはこの流れで出演者は決まっていきます。
レギュラー番組で毎回変わるゲスト出演者やロケ出演者はその都度、会議で決まっていきます。

 

だいたいの番組は、事務所に連絡をしてマネージャーに出演交渉をするのはプロデューサーの仕事です。企画書を作って内容をプレゼンしたり、スケジュールの調整を行ったりするので出演者の決定はプロデューサーの腕にかかっていると言っても過言ではありません。

 

ただ、誰にどんな企画を行ってほしいか、など番組の演出に関わることは基本的にディレクターに決定権があります。

そのため、プロデューサーやディレクター、作家が各々の立場から意見を出し合ってより良い番組を作るために出演者を決めていきます。

 

 

キャスティングに関するエピソード

次にテレビ番組でキャストへの出演交渉を行うときにある意外と知られていないエピソードを少しご紹介していきます。

 

 

クセが強い企画に関するキャスティング

 

テレビの企画には様々な仕事があります。

 

芸能人の部屋をプロが綺麗にする企画」なら実際に片付けが下手で汚部屋に住んでおり、さらに部屋の撮影がOKな芸能人を探す必要があります。

 

プロデューサーが事務所に企画に沿った所属タレントはいますか?と直接候補者の有無を伺う場合もあれば、ADやリサーチ専門のスタッフがネットなどで芸能人の過去の発言をリサーチした上でオファーする場合もあります。

 

 

 

大食い企画」だと実際に食べられる量は事前に必ず聞きますし、「長期間かかる企画」だとスケジュールを長期で抑えられることが大前提になってきます。

 

トーク番組などで「○○オタク集合」や「帰国子女トーク企画」など縛りのお題がある場合は事前にエピソードを話してもらうオーディションを行い、ゲストを決める場合もあります。

 

 

プロデューサーにも得意・不得意がある

 

プロデューサーは人脈がとても大事な職業です。
番組をいくつか掛け持ちしている人が多く、多数の事務所との繋がりを持っています。

 

その中でもAP(アシスタントプロデューサー)の頃からお付き合いがある事務所マネージャーや、ブレイクする前から目をかけていた芸人など親交が深い人にはキャスティングをしやすくなります。

逆に全く仕事をしたことがない事務所などは周りのプロデューサーに繋げてもらったり、公式HPの代表番号から連絡を取る…なんてこともあります。

 

「この女優さんがバラエティ番組に出てくれたのは○○プロデューサーのおかげだ!」なんてことも少なくありません。

 

 

事務所側の売り込みが実を結ぶパターン

 

テレビ局のプロデューサーのデスクには事務所から売り込まれた若手タレントのプロフィールが多く置かれています。

 

収録の際に事務所イチオシの新人を連れて挨拶に周るマネージャーもいます。

まずはプロデューサーやディレクターに顔を覚えてもらい何が得意か知ってもらうことが新人にとっては大切になります。

そこで印象に残れば、最初にお伝えした企画会議での出演者候補を挙げていく際に名前を出してもらえる可能性があるからです。

 

「今回、フェンシングの企画をやるけど誰か得意なタレントっていたっけ?」「この前挨拶してくれた子、子供の頃から習ってたって言ってたよね」みたいな会話からキャスティング候補に挙がることもあります。

 

 

番組宣伝、バーター出演

 

同じテレビ局で始まる新ドラマに出演する時や、映画公開のためのPR活動期間などは普段バラエティなどに出る機会が少ない芸能人をゲストとしてキャスティングできることがあります。

宣伝目的とはいえ普段出演してもらえないレベルのゲストが来るので企画事態もゲストに寄せたものを考える番組も多いです。

 

他にもメインMCと同じ事務所のタレントをロケやスタジオゲストで出演させるなどいわゆるバーター(抱き合わせ)出演という形でキャスティングを入れ込むパターンもあります。

 

 

若手の意見も必要!ADに流行っている人を聞くパターン

 

今まで述べたように基本的に出演者を決めるのは総合演出を含めたディレクター陣や事務所とのやり取りを常に行っているプロデューサーですが、企画会議などでADに出演者は誰が良いか意見を求めるということも少なくありません。

 

特に若者がターゲット層の番組では若い意見がとても大事なので今若者の中で流行っている人などは誰か、と聞かれたりもします。企画会議までに宿題としてゲスト案をまとめて提出する、という番組もあります。

 

 

 

 

 

最後に

世間的には出演者はプロデューサーがキャスティングをすると思われがちですが演出を考えてキャストを選んだり指示するのはディレクターの仕事になります。芸能人に出演交渉をするのがプロデューサーの仕事です。

 

キャスティングという仕事に興味ある方は、その違いを知ったうえで自分がやりたいことは何か考えてみてください。

 

今すぐに決められることではないと思いますが、ディレクターもプロデューサーも基本はADを経験してからスキルアップする職種になるので、ADとして下積みの経験を積みながら自分にはどちらの職種が向いているのかを考えるのもいいと思います。