テレビ編集者になるにはどうすれば良い?仕事内容・年収・将来性も解説!

テレビの編集の仕事は、テレビ番組を作るうえで重要な仕事のひとつです。近年は、高性能な制作ツールによって編集段階で特殊効果が入れられるようになっており、テレビ編集の重要性が高まっています。自分の手で作品を作りたいという思いがある人は、テレビ編集者に憧れがあるのではないでしょうか。 本記事では、テレビ編集者の仕事内容や年収、仕事の魅力などを解説いたします。


この記事は約7分で読み終わります。

【基礎知識】テレビ編集は何をするの?

多くのスタッフが存在するテレビ局内では、それぞれの職種が重要な役割を担っています。ここではテレビ編集の役割についてご紹介します。

テレビ編集の役割

テレビ編集は、あらかじめ撮影された映像をもとにして、番組で使用する映像の作成を行います。

テレビ番組は放送時間が限られているため、撮影した素材をいくらか削らなければなりません。テレビ番組のジャンルによっても異なりますが、撮影した素材の量によっては、1/10の尺に編集することもあります。そのため、番組で伝えたいことやフォーカスしたい出来事などを的確にまとめる必要があります。

また、テレビ編集の仕事で中心となって作業を進めるのは、ADやディレクターです。

「編集」と「編成」の違い

テレビ局の仕事の中には、編集とは別に編成というのもあります。語感の響きが似ていることから、この両者を混同してしまっている人もいるかもしれません。

しかし、編集と編成はまったく別の仕事です。編集は制作局が担当していますが、編成を担当しているのは編成局です。

編成は視聴者を獲得するためのタイムテーブルを決定したり、制作費の配分をしたりする役割を果たしています。各番組の具体的な内容に関わる仕事はあまりありません。

また、広告戦略やPRの展開など宣伝に関する仕事を行うこともあります。

テレビ編集の主な仕事内容

テレビ編集の仕事はオフライン編集とオンライン編集のふたつに大別できます。それぞれの主な仕事内容を見ていきましょう。

オフライン編集

オフライン編集は、本格的な編集を始める前にディレクターが行う作業です。

撮影後から複数の映像素材をつなぎ合わせたり、画像を加工したりして、編集業務を円滑に進めるための下準備を行います。効果音を入れたり番組のタイトルを挿入したりする作業もオフライン編集に含まれます。

オフライン編集は大まかな部分しか行いませんが、編集の方向性を決定し、番組完成後をイメージできるようにする重要な仕事です。そして、オフライン編集でOKが出たらオンライン編集に進むという具合です。

オンライン編集

オンライン編集は、オフライン編集から上がってきたものに手を加える作業です。おおよその方向性は定まっているため、編集マン(エディターやミキサー)が細かな部分を仕上げて映像を完成させます。

例えば、映像の色味の調整や音声の合成などがオンライン編集で行う代表的な作業です。音声は、番組の内容に合わせた音楽や効果音などを入れます。また、テロップなどを入れる作業もあります。

オンライン編集のことを本編集と呼ぶことも多いです。

また、オフライン編集とオンライン編集のいずれにおいても、ディレクターが責任者となり、ADが補助役として活躍します。

ADの仕事内容について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

テレビ番組制作の裏方「AD」の仕事内容を徹底解説!

テレビ編集者の年収相場

映像編集を担当するディレクターの平均年収は約400万円です。ただし、この数字はテレビ局で映像編集を行っているディレクターのみのものではありません。映画製作会社やアニメーション制作会社の編集担当者も含めた数字です。

また、ディレクターや編集担当者の年収は300万〜800万円と幅広く分布しています。そのため、実際の給料相場は職種や地域などによって異なるのが実情です。

テレビ局や映画業界の場合には、ディレクターなどの編集担当者を含め、全体的に給料が高い傾向にあります。テレビ局で編集の仕事をするなら、500万〜700万円程度の年収が期待できるでしょう。

テレビ編集者のやりがいと仕事の魅力3つ

テレビ編集を行うディレクターの仕事には次のようなやりがいと魅力があります。

自分が考えた世界観を映像に反映できる

テレビ編集の仕事は、視聴者に伝えたいことを表現できます。番組を通じて伝えたいことが視聴者に伝わるかどうかは、編集を行うディレクターの腕にかかっているといって良いでしょう。そのため、制作意図が伝わるよう創意工夫を求められる仕事です。

番組進行におけるテンポや間の取り方、緩急の付け方など、自分のアイデアや感性などを番組に反映させられます。ディレクターの世界観が番組に与える影響は大きいということで、やりがいを感じる人は多いでしょう。

自分が作った映像を多くの人に見てもらえる

テレビ番組は非常に多くの人が視聴します。職場や学校などで話題になることもあるでしょう。自分が編集した番組を大勢の人に見てもらえることで、やりがいを感じる人は多いです。

また、番組が完成したら達成感を味わえるでしょう。放送されるまでのワクワク感もディレクターの仕事の魅力です。番組の反響が良かった場合には、自身の評価にもつながることもあります。

エンドロールに名前が載る

エンドロールとは、番組の終わりに出てくる出演者や制作に携わった人の名前を列挙した一覧のことです。

ディレクターとして編集を担当した番組では、エンドロールのディレクターの部分に名前が載ります。このことで、やりがいを感じたりモチベーションが上がったりする人も多いでしょう。

制作に携わったとして認知されやすくなります。注目度がアップし、今後担当する番組を見てもらうきっかけになることもあるでしょう。

視聴者によっては、「このディレクターが編集を担当しているから」という理由で、番組を見てくれることもあります。

テレビ編集者になるにはどうすれば良い?

テレビ編集者になるには、テレビ局や映像制作会社に就職する方法が一般的です。テレビ局は大卒や専門卒が多い傾向にあり、大卒以上を応募条件としている求人がほとんどです。一方、映像制作会社では高卒や専門学校卒でも積極的に採用されています。

入社後すぐはアシスタントとして仕事をしながら経験を積むことが一般的です。ディレクターの補助をする仕事を任されることもあります。

技術を高めれば、転職後も編集の仕事に携わることも可能です。また、フリーランスとして編集の仕事をする方法もあります。

テレビ編集者に必要なスキル

映像制作は知識を身に付ければ素人でもできることが多いです。しかし、テレビ編集者として活躍するにはセンスとスキルが求められるため、誰でもできるわけではありません。

テレビ編集のセンスは、ADとして編集の仕事に携わりながら、少しずつ磨いていくしかありません。過去の優れた作品や人気のある番組を見て参考にすることもできるでしょう。

編集ソフトを扱うスキルやコミュニケーションスキルなども求められます。

テレビ業界では、主にAdobe Premiereという映像編集ソフトが使われています。就職・転職前に試してみたいと考えている場合は購入してみるのもひとつの手です。

また、より良い番組制作のためには、自分の意見を伝えることも大切です。ディレクターの指示から意図を汲み取りながら、意思を伝えるコミュニケーションスキルも重要になります。

限られた時間内で映像を作り上げなければならないことも多いため、集中力や管理能力も必要です。

テレビ編集者の仕事の将来性とは

近年、テレビ番組の視聴率は急下落しており、視聴時間も全体的に減少しています。一方で、ネット動画が台頭し、動画配信サービスのユーザーは増加中です。

低迷期とも考えられるこれからのテレビ業界では、新しいコンテンツの拡充が求められていきます。実際に、テレ朝やTBSなどでも今後の展望としてコンテンツの重要性が語られています。

そのため、現在は放送以外の事業に力を入れているテレビ局も多いです。例えば、リアルイベントやグッズ販売、広告付きの有料動画配信など。映像制作会社に入社した場合には、Web番組・YouTube・TikTokなどの動画編集を担当することもあるでしょう。番組を起点とした新規ビジネスの立ち上げも考えられます。

また、AIの台頭によって高精度な編集ツールが登場していますが、編集自体が早くなることはありません。

限られた時間の中で伝えたい映像を収めなければならないテレビ編集者は、伝えたい内容を精査することも必要で、熟練度が必要です。

テレビ番組が好きで、番組制作に対して熱意のある方は、テレビ編集者を目指してみてはいかがでしょうか。

まとめ

テレビ編集は、映像素材から番組として放送できる動画を作る仕事のことです。下準備としてのオフライン編集と、仕上げのオンライン編集に分かれています。いずれも、ディレクターが責任者となって行う仕事です。

ディレクターとして編集を担当した番組には、エンドロールで名前も出るため、やりがいを感じられるでしょう。Web番組・YouTube・TikTokなどの動画編集をはじめとして、今後は新たなコンテンツの拡充に携わる機会もあるかもしれません。テレビ編集の仕事に興味がある方は、今後の動向なども調べておくことをおすすめします。