「テレビで出てくるイラスト、誰が描いているんだろう?」、「テレビ番組で出てくるイラストを描く仕事を始めたいがどうしたらいいのかな?」と、疑問に思ったことはありませんか。実はテレビに出てくるイラストは専門で描いているイラストレーターさんがいます!今回はテレビ番組のイラストレーターに絞って働き方ややりがいをみてみましょう。
テレビのイラストってどんなもの?
皆さんの中には、テレビ番組のイラストと聞いてピンとこない方もいると思います。まずはテレビに使われるイラストのイメージを考えてみましょう。
皆さんがバラエティ番組をみた時、タレントさんのトークに合わせて、エピソード紹介のイラストが出てきたことはありませんか。バラエティでは、視聴者にシチュエーションがわかりやすくするためにイラストが使用されることが多くあります。
また、トークで話題に出てきた芸能人の顔がイラストで出ているところをみたことがある方もいるのではないでしょうか。テレビでは著作権などの関係でタレントの写真が使えないこともあります。そのような時、制作スタッフがイラストレーターに似顔絵を発注するのです。
テレビのイラストの特徴とは?
テレビのイラストの特徴はとにかくわかりやすい点にあります。写真のようにリアルに描くことは少なく、特徴を捉えてキャラクター化したようなアニメっぽいイラストが多いです。一言でアニメっぽいといっても、ミステリーや不思議な体験を取り扱う番組では昔話のようなタッチのイラストだったり、シリアスな内容だと劇画っぽいタッチになったりと、様々な種類の絵があるのでバラエティ番組を見る際には注目してみてみると面白いかもしれません。
基本的にはバラエティやワイドショーで使うイラストが多いですが、少し特殊なものでいえば報道用の法廷画があります。ニュースでみたことがある人が多いと思いますが、ニュースで裁判の様子について報道される際に、手書きの絵が出てきます。法廷は人数制限があり、入ることができる人が限られていますし、写真を撮ることができません。ですから、どんな様子だったかを法廷画のイラストレーターに依頼して法廷の中で書いてもらうのです。法廷画はスピードが命なので、“鉛筆画に水彩が一番手っ取り早く表現できる”という理由でほとんどの法廷画は水彩画タッチのようです。
テレビのイラストを描くやりがいとは
テレビのイラスト制作のやりがいは、もちろんTVでたくさんの人に絵を見てもらえることです。テレビをみている人の中には普段イラストに興味がない人もいるので、幅広い人に見てもらうことができます。
また、法廷画のような報道に携わるジャンルの仕事もあります。裁判所に行ってニュースの時間までに間に合わせるなど、新たな困難も伴いますが、エンターテイメントだけではない社会的な意義を感じる場面もあり、やりがいを感じる人が多いようです。
3D、CG映像、VRなどの勉強が出来るチャンスも
テレビ番組から発注されるのはイラストだけではありません。3DやCG映像、VR技術など、幅広く扱っている会社に所属した場合は、その分野の勉強もすることができます。ゲーム会社やVtuberからの発注がある会社だと勉強できるジャンルの幅が広がるので、イラスト以外も興味がある人は幅広く制作している会社を探してみましょう。
働き方や待遇は?
働き方は会社によって様々ですが、会社としては24時間体制を組んでいるところが多いです。なぜなら、テレビ番組はほぼ1日中やっているので、緊急のイラスト発注への対応が必要になるからです。そのような仕事のため、「毎日残業で帰れない」、「泊まりでの作業が多い」という実情があることも事実です。しかし、シフトを組むなどして労働環境に配慮している会社も多くあるので、求人情報をよく確認しましょう。
気になる待遇ですが、基本給は一般的な大卒の初任給程度の会社が多いようです。しかし、残業代や深夜手当・賞与の有無などは会社によって違います。こちらも求人情報や面接での確認を怠らないようにしましょう。
会社に所属することのメリットは、未経験でも仕事を始めやすい点にあります。最低限の画力は必要ですが、スピードが大切な世界でもあるので未経験でも募集している会社が多くあります。
実際の会社紹介
ここで実際のイラスト制作会社をみてみましょう。ただし、イラストの会社はとてもたくさんあるのでここでご紹介できるのはごく一部です。
テクノカットスタジオ
『Qさま‼️』『ヒルナンデス!』『チコちゃんに叱られる』『坂上どうぶつ王国』などの制作実績あり。大量発注・スピード仕上げを得意とする会社。
イトウデザイン
『ダウンタウンDX』『youは何しに日本へ?』『情報ライブミヤネ屋』『世界の何だコレ?!ミステリー』などの制作実績あり。リアルタッチからポップタッチ、劇画タッチなど様々なイラストに対応。
TV-CG.com
『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』『ザ!鉄腕!DASH!!』『マツコの知らない世界』などの制作実績あり。こちらはグラフィックデザイン会社のアライアンスが共同で運営しているテレビ番組向けグラフィックス供給サイト。クリエイターの集合体で運営している。
フリーランスのイラストレーターになるには
ある程度業界での経験を積むと、フリーランスでの活動に切り替えることも視野に入ってきます。その場合は、在宅での作業がメインになることが多いようです。
会社に所属している間はイラストの単価を気にすることは少ないかもしれませんが、フリーになると価格交渉も必要になります。テレビのイラストだと平均1万円くらいが相場で、急ぎで仕上げて欲しいイラストの発注だと「特急料金」として追加で請求することもあります。
フリーになり、番組から直接仕事がもらえると、収入は上がることが期待できそうですが、収入が増えるかどうかは絵のスキルだけではなく、料金設定などの交渉、スピードや人脈も関わってきます。
では実際にフリーランスのイラストレーターさんをみてみましょう。得意分野や経歴など今後のキャリアの参考にしてみてはいかがでしょうか…?
森本レオリオ
テレビ業界からの発注が多く、主にテレビ番組のイラスト・地図・似顔絵・フリップなども作成している。
雑賀建郎
雑誌・書籍・ テレビ番組・ ミュージックビデオ・ VP・CMの イラストやアニメを制作している。似顔絵を使ったコミカルな表現が得意。
榎本よしたか
フリーランスのイラストレーター/法廷画家/漫画家として20年以上のキャリアがあり、テレビ番組用イラストや書籍・広告用イラストなど幅広く手掛けている。
まとめ
今回は、テレビのイラスト制作の仕事についてみてみましたがいかがでしたでしょうか。テレビのイラスト発注は皆さんの想像よりもとても多く、イラストのジャンルも多岐に渡ります。多数の人に自分のイラストをみてもらえる、そしてキャリアを積めば幅が広がっていくとても魅力的な仕事です。イラストが得意でテレビが好きという方はぜひ挑戦してみることをおすすめします!