ドラマで街中や実在するお店がテレビに出ていることはよくあります。例えば、食べ歩きをするバラエティ番組があったとして、撮影する前には必ず許可をとっています。(または、その常識を逆手にとって出演者が撮影交渉しているところを出している番組もありますね!)今回は、許可取りの種類に注目してみましょう。
誰が許可取りを行うか
許可取りはバラエティの場合は新人AD、ドラマの場合は制作進行が行います。外部への許可取りに限らず、局内の過去映像の使用許可など、新人が行う許可取りはかなり多いです。社会人1年目で不慣れな部分もあるかもしれませんが、番組を支える重要な仕事ですのでしっかり務めましょう。
許可取りの基本はリサーチと問い合わせ
実際許可を取ろうと思っても、どこに行って何をすればいいのか混乱してしまう人もいるでしょう。そんな時は実際使用したい施設やお店について調べてみましょう。許可取りの問い合わせが多い施設の場合は申請書のフォーマットやメールアドレスが書いてあることもあります。もし書いていなくても、ほとんどの施設のWebサイトには電話番号が書いてあります。ネットで調べても許可取りの情報がない場合は、まず電話をしてみて、ロケをしたい、撮影申請をしたいと伝えましょう。
例①道路の使用許可
例えば街中で何時間も交通規制をして行うような規模の撮影は警察にいき、道路使用許可申請書や撮影内容の分かる書類を提出して行います。人通りが多いところはなかなか撮影許可が下りないことが多いです。申請のポイントは、配置図を作成し、きちんと警備員等を設置して人の流れを妨げないなど対策をしながら撮影を行うことをアピールすることです。管轄の警察署の担当の方に丁寧に説明しましょう。
例②公園の使用許可
公園の撮影も警察に許可を取ることが多いのですが、公園は県や市区町村が管理している場合と、指定管理者が管理している場合があります。まずは撮影したい公園を調べてどこに許可を取りに行けばいいか確認しましょう。
例③商店街の使用許可
特定のお店を撮影する場合はそのお店に問い合わせることが基本ですが、例えば商店街全体を撮影したい場合などは、商店街役員という特定の人に交渉する必要があります。
なので、あらかじめどの範囲での撮影をしたいのかを明確にすることが大切です。「(自分は)お店の撮影だけでいいと思ったが、(ディレクターは)商店街も撮影する予定だった」というような認識の違いは起こりうるので、自分は理解していると思っても個別にディレクターに確認をしておくと安全です。また、お店単体の撮影の場合でも、商店街の中のお店の場合は、商店街への許可も必要な場合が多いので、お店の方に商店街への許可も必要かどうか確認をしましょう。
こんな時どうする?許可取りでありがちな注意事項
お金がかかる
国が保護している重要文化財などは、気軽な撮影スタジオのように使われることを好ましく思わないため、使用料がかかることがあります。料金は施設によって違うので、もしお金がかかる場合は事前にプロデューサーに相談しましょう。
余談ですが、撮影料がかかるのはテレビ撮影だけではありません。個人の結婚式の前撮りなどに使用する場合もお金がかかったりするようです。みなさんも、もしかしたら個人的に撮影許可を取りに行く日も来るかもしれないので、お仕事で経験できるのはラッキーかもしれません!(ちなみに横浜のみなとみらいや山下公園近郊は撮影料金が高い傾向にあるようです)
社判が必要
申請書のフォーマットが決まっている場所の場合、社判(会社、テレビ番組なら基本的にはテレビ局の判子)が必要になることがあります。大体のスタッフは社判を持っていることはないので、局内の規定にしたがって社判をもらいましょう。
企画書が必要
番組のスタッフとして問い合わせると、企画書の提出を求められることがあります。特に重要文化財や歴史ある建造物などに多いのですが、どんな風に取り上げられるのか、事前に内容を把握するために聞かれることが多いです。番組のジャンル、どんな番組なのか、伝わらなければなりませんが、わかりやすくなければ意味がありません。しかも、既存の企画書には外部に知られたくない事情も書いてあったりしてそのままの流出は危険です。既存の企画書をパワーポイントに簡潔にまとめるなど、事務作業も発生します。
見取り図の提出が求められる
市街地での撮影では、一般人への迷惑にならないよう、事前にどこにカメラがあって、何人で撮影するのかなど詳しく説明しなければなりません。これは決まったフォーマットがあることが少ないのでなかなか難しいのですが、提出先の担当者に伝わりやすいように作成しましょう。
出演承諾書集め
一般の方にバラエティ番組でのインタビューをした場合は「出演承諾書(出演許可書)」などを書いてもらうこともあります。そこには、特定の番組以外で映像を使うことはしないという約束などが書いてあります。また、何かの企画に参加してもらう場合には万が一の事故があったときの責任の所在なども明記してあり、撮影前に出演してもらう人に内容を確認してもらってサインをもらうことになります。基本的に危険なことを一般人に強いるような番組はないので、撮影に参加する意思のある人は快くサインしてくれることがほとんどです。もし心配そうな方がいたら、後から問題が起こるリスクをふまえ、参加を辞退してもらうのが無難でしょう。
報道目的の撮影は許可がいらない!?
報道目的であれば、事件、事故、行事などを撮影する場合、そこに映る人たちの承諾がなくても問題はないとされています。しかし、その場合でも特定の個人の容ぼうや姿態が分かる撮影には本人の承諾が必要です。もし報道として取材を行う場合は、腕章を着けるなど、まわりに取材がをしていることが伝わるようにしましょう。また、無関係な人や建物などの映像を不用意に流すことは避けましょう。
まとめ
許可取りはやらなければ撮影ができないにも関わらず、新人が任せられる重大な仕事の一つです。初めは外部に電話をかけるのも緊張するとは思いますが、自然と抵抗がなくなって慣れていく業務です。また、先方も何かトラブルがあっては困りますから、丁寧な態度でわからないことは質問すればしっかり答えてくれます。それでも困ったことがあれば先輩ADやディレクター、プロデューサーと相談し、リスク回避・トラブル防止を意識して進めましょう。