テレビ番組制作に関わる職種
前回の記事では、一つの番組を制作するのに関わる出演者・関係者・スタッフの数は、ゴールデン帯1時間のバラエティー番組の場合だと、5~60人にも及ぶ中、【出演者】・【関係者】・【制作】についての職種とその仕事内容を紹介しました。
実はまだまだありますので、今回はその続きとして、その他の職種と仕事内容を紹介していきます!
他にも、まだまだあります!
企画
番組の企画には、もちろん、演出やプロデューサー、ディレクターなどの制作チームも関わりますが、制作以外にも関わる職種があります。主に、以下です。
【構成作家/放送作家】
テレビやラジオの番組の構成や企画、台本を考える職業です。
プロデューサーやディレクターなどと番組の企画案を考え、アイデア出しをして、会議で決まったことを企画書にまとめていきます。作家になるためには、学歴や資格は必要なく、決まったルートはありません。専門学校や養成スクールなどで必要なスキルを学び、作家事務所に就職して経験を積むのが一般的です。インターネットでの番組配信なども増えている今、作家の需要は高まっています。
詳しくは…「放送作家になるにはどうすればいい?必要なスキルや向いている人とは?」
【リサーチャー】
番組の制作や企画のための下調べをする職業です。
主に番組制作のための情報やネタ、人探しを行います。番組によっては、医者や学者などの専門家に取材をしたり、その分野の第一人者を探したりすることもあります。インターネットの普及などによるメディアの増加や、映像作品のコンプライアンスが厳しくなっていることから、リサーチャーの需要も増しています。
詳しくは…「テレビリサーチャーとは?仕事内容やなるための方法を解説」
スタジオセット・大道具・小道具
美術は、スタジオセットや背景、撮影で使用する小道具を作る職業です。
制作チームと相談しながらスタジオのセットや小道具を考え、番組のコンセプトが伝わるように背景を整えます。美術スタッフには主に以下の役職があります。
【美術進行】
番組スタッフと直接打ち合わせやロケハンをしながら、必要な美術品を選定して発注を受けます。
番組の演出やディレクター、デザイナー、技術チームなど様々な窓口となり、「こんな世界にしたい」「こういったもの作れませんか」という要望を受け、実現に向けて各所に働きかけ、動いていく役割です。
【デザイナー】
番組の世界観をイチから“かたちづくる”仕事です。
番組側の要望に合うデザインを考え、絵に描いていきます。デザインしたセット模型や3Dデータを元に、制作チームや技術チームと擦り合わせながら、イメージ通りに形を膨らませていきます。
【大道具】
スタジオセットの骨組みなど、主に固定されて動かないものを制作します。
【小道具】
主に「身につけるもの」「手に持つもの」、その他「移動できる小物」を制作します。
いずれにしても、技術やセンスが問われるため、デザイン系の専門学校や美術大学でデッサンや造形について学んでから美術制作会社などに就職する人が大半を占めています。
ロケ・スタジオ撮影
【カメラマン】
番組ディレクターの指示のもと、撮影を行います。
ディレクターの撮りたい画を具現化する必要があるため、想像力やセンスも必要になる仕事です。
【照明】
出演者に照明を当てたり、料理などの物撮りが美味しそうに美しく撮れるように照明を仕込んだりします。
単純に照らしているわけではなく、いかに綺麗に撮影できるか工夫して照明を作り込んでいるため、技術やセンスが必要です。
【音声】
出演者などの声や音を拾う仕事です。
出演者にピンマイクという小さなマイクを仕込んだり、一般の方へのインタビュー時の声や食べ物の調理工程シーンの美味しそうな調理の音などをガンマイクという手持ちの大きなマイクでひろったりします。収録時の各マイクの音量調整なども行います。
【VE(ビデオエンジニア)】
テレビ局の副調整室(サブコントロールルーム)や中継車の中などで、収録中にカメラの色や明るさを均等に整えるなど映像調整を行いながら、番組が正常に収録されているかを監視するポジションです。各カメラの画格の中に不要なものが映り込んでいないかなど、撮影・照明・音声といった技術チームのほか、制作、美術チームとも連携をとって映像のクオリティを管理しています。
撮影に関する技術はもちろん、機材の搬入・搬出・組立なども行うため、体力も求められます。
フリーのカメラマンもいますが、技術会社に所属して、カメラアシスタントからスタートする場合がほとんどです。
編集
【エディター/編集マン】
ディレクターが編集した映像データをもとに色味の調整をしたり、テロップを入れたりと加工していく仕事です。
【編集アシスタント】
エディターのアシスタントとして、ADと連携を取りながらテロップの作成などの補助をします。
【ミキサー】
編集された映像に、音楽や効果音を合わせて、音量を上げたり絞ったり、効果音をずらしたり、ナレーションをつけたり、出演者同士の会話のボリューム調整などの整音作業をしたりします。
【MAアシスタント】
ミキサーのアシスタントとして、ADと連携を取りながらデータをマシンに取り込むなどの補助をします。
【音効】
効果音や音楽(BGM)を選んでつけたり、音の加工・編集をしたりします。
いずれの作業も、画や音にずれがなく、つなぎ目も不自然にならないように、非常に細かく調整・編集をしていかなくてはなりません。また、ディレクターの要望に応えられる技術力も必要です。
そのため、動画系の専門学校を卒業している、動画編集の経験がある、映像編集ソフトが使えるなど、即戦力としてのスキルが求められます。
ロケバスドライバー
制作の現場では「車両さん」と呼ばれています。
ハイエースやマイクロバスなどの大型車でテレビ局からロケ現場まで、スタッフや撮影機材等の運搬をします。場合によっては、出演者の自宅まで送迎する場合もあります。都内の車通りが多い場所から地方の道が狭い山奥など、様々な場所で大型車を運転するため、運転スキルの高さが求められます。また、地図を読む能力も求められます。ロケによっては朝早くからの場合や深夜に及ぶ場合などもあり、荷物の搬出入の手伝いをしたりもするので体力も必要とされます。
ロケ中などは空き時間ができることも多いので、その間に仮眠を取ったり、ロケ地付近の散策ができることもあります。
タイムキーパー(TK)
制作の現場では「TKさん」と呼ばれています。
番組進行表の作成をします。
進行表…「Qシート」とも呼ばれる、放送時間内のコーナーの順序や内容などが秒単位で記載された資料
また、生放送の場合には、副調整室(サブコントロールルーム)でディレクターの近くに座り、開始、終了時間や各コーナーの時間、CMに入るタイミングなど現在の状況を細かく伝えます。慌ただしい状況でも、冷静に素早く時間を計算できるスキルと正しく物事を伝える能力が必要とされます。
詳しくは…「タイムキーパーはどんな仕事?やりがいや仕事に就く方法も解説」
局まわり
テレビ局内で番組制作に携わるには、以下のような仕事があります。
【編成】
テレビ局の司令塔とも呼ばれる部署で、担当番組の企画立案やタイトル決めから、放送時間の決定や番組制作費の算出、視聴率分析などの業務にあたります。編成が番組の大枠を作り、そこから番組制作が開始されます。
【宣伝/広報】
担当番組の宣伝を行います。制作記者会見やイベントを仕切ったり、ロケ現場に行って、テレビ雑誌などの記者をアテンドし、広報用の写真撮影や取材などの対応を促し補助をします。番組によっては、番組公式SNSの投稿や管理などを行ったりすることもあります。
【字幕(ステノキャプショナー)】
字幕入力専用のキーボードを用い、聴覚障害のある方や番組の音を聴く事ができない環境にいる方々に向けて、番組出演者の発言やナレーションなどの音声情報を文字にして画面に表示するためのデータを作成する仕事です。生放送の場合には、放送中の番組を視聴しながら、リアルタイムで字幕化するといった作業を迅速かつ正確に行う必要があるため、集中力と耳で聞いた音声を即座に文字に変換するための国語力、タイピング技術は必須です。
まとめ
今回は、前・後半に渡り、テレビの制作現場に関わる様々な職種と仕事内容を紹介しましたがいかがでしたでしょうか。番組制作に携わりたい!と思っている方は、自分はどの職種に興味があるのか、向いているのかなど、業界研究の参考にして頂ければと思います。