テレビカメラマンの年収は勤務先によって大きく異なる
厚生労働省発表の「令和3年度賃金構造基本統計調査」によると、テレビカメラマンの平均年収は約486万円です。(美術家・写真家・映像撮影者の項目参照)
しかし、テレビカメラマンには以下の4パターンが存在し、勤務先によって年収が大きく異なります。
・テレビ局所属
・番組制作会社所属
・技術(カメラマン)専門会社
・フリーランス
テレビ局のテレビカメラマンはほとんどが正社員です。一方、番組制作会社は正社員・契約社員・アルバイトなど、さまざまな雇用形態のカメラマンが所属しています。番組制作会社は下請けの立場であるため、高年収を得るのは難しいと考えられます。
また、勤務先の規模や性別、年齢などによっても平均年収に差があります。これらについては、下記にて詳しくご紹介します。
出典:「令和3年度 賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)
テレビカメラマンの年収|規模別
テレビカメラマンの年収は、勤務先の規模によって大きく異なります。厚生労働省発表の「令和3年度賃金構造基本統計調査」によると、企業規模別のテレビカメラマンの平均年収は以下のとおりです。
・10~99人規模:約387万円
・100~999人規模:約460万円
・1000人以上規模:約981万円
10~99人規模の会社の平均年収と、1000人以上規模の会社の平均年収には、約594万円の差があります。
TBSやテレビ朝日、日本テレビなどのキー局の平均年収は1,000万円を超えるため、高年収を得たいなら規模の大きな会社への就職が選択肢のひとつとなります。
出典:「令和3年度 賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)
テレビカメラマンの年収|年齢別
テレビカメラマンの年収は、年齢によっても大きく金額が変わってきます。厚生労働省発表の「令和3年度賃金構造基本統計調査」によると、テレビカメラマンの年齢別の平均年収は以下のとおりです。
年齢 | 平均勤続年数 | 平均年収 |
~19歳 | 1.5年 | 約252万円 |
20~24歳 | 1.3年 | 約280万円 |
25~29歳 | 3.4年 | 約361万円 |
30~34歳 | 5.7年 | 約404万円 |
35~39歳 | 9.4年 | 約446万円 |
40~44歳 | 14.1年 | 約518万円 |
45~49歳 | 15.5年 | 約633万円 |
50~54歳 | 22.5年 | 約625万円 |
55~59歳 | 29.8年 | 約871万円 |
60~64歳 | 20.1年 | 約351万円 |
20代前半の平均年収は約280万円ですが、55~59歳では約871万円と、約591万円もの差があるのです。また、勤続年数に比例して年収も上がる傾向にあります。
国税庁発表の「令和3年分民間給与実態統計調査」によると、令和3年12月31日時点の日本人の平均年収は443万円です。
テレビカメラマンの平均年収は、35~39歳で日本人の平均年収を超えています。長く働き続ければ、日本人の平均年収よりも高い収入が期待できます。
出典:「令和3年度 賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)
出典:「令和3年分 民間給与実態統計調査」(国税庁)
テレビカメラマンの仕事内容
テレビカメラマンと聞くと、スタジオでテレビ番組を撮影している姿を思い浮かべる人が多いと思います。しかし、実際のテレビカメラマンの業務はそれだけではありません。ここでは、テレビカメラマンの主な仕事内容についてご紹介します。
スタジオ収録
スタジオ収録はテレビカメラマンの代表的な仕事です。テレビ局内にあるスタジオで、バラエティ番組や報道番組など、さまざまなテレビ番組を撮影します。
さまざまなアングルで撮影する必要があるため、スタジオ収録でテレビカメラマンが1人だけということはまずありません。番組にもよりますが、1番組あたり数人~十数人 のテレビカメラマンが収録に参加します。
中継・屋外ロケ
テレビカメラマンの仕事には、中継や屋外ロケに携わるといったものもあります。中継に限っては、中断・撮り直しができない緊張感のある仕事です。
中継や屋外ロケでは想定外の出来事が起こったり、一瞬の出来事をカメラに収めたりする必要があるので、臨機応変な対応力が求められます。
また、カメラ1台の小規模な撮影もあれば、演者の人数に応じて3台以上のカメラが稼働することもあるなど、参加するカメラマンの人数もさまざまです。
フリーランスのカメラマンの中には、不定期に依頼されるロケの仕事を受けつつ、より稼ぎやすいライブやコンサートのカメラマンを両立している人もいます。
映画・ドラマ
映画やドラマの撮影もテレビカメラマンの仕事のひとつです。映画やドラマの撮影では、性能の良いカメラが使用されます。
また、さまざまなシーンを撮影しなくてはならないため、より高度な撮影技術・知識が必要です。脚本家や出演者の要求や意図を汲み取り、映像化するスキルも求められます。
CM・PV・MV
CM・PV(プロモーションビデオ)・MV(ミュージックビデオ)などの撮影においても、テレビカメラマンが活躍します。
CM・PV・MVはスタジオ収録やロケなどと比べて、コンテンツの時間が数十秒~数分と短めです。しかし、性能の良い最新機材が用いられることが多いため、それらを使いこなすスキルが求められます。
テレビカメラマンに関するよくある質問
テレビカメラマンへの就職・転職を考えたときに「テレビカメラマンになる方法」や「労働環境」など、さまざまな疑問が浮かぶのではないでしょうか。そこで、ここからはテレビカメラマンの仕事に関してよくある質問とそれに対する回答をお伝えします。
テレビカメラマンはきつい?
テレビカメラマンは体力的にハードな仕事です。最近はロケでGoProなどを使うこともありますが、約10kgの重い機材を担いで撮影することもあります。
また、長時間の撮影や炎天下での撮影、大雪の中での撮影などもあり、休憩も自由に取れません。テレビカメラマンは体力だけでなく、忍耐力も必要な仕事です。
テレビカメラマンに向いている人とは?
テレビカメラマンに向いているのは、テレビ業界や映像撮影が好きな人、体力や忍耐力がある人です。長時間の撮影や悪天候下での撮影、重い機材を担いでの撮影など、ハードな現場でも耐えられる体力・精神力が求められます。
また、撮影には多くの人が関わっており、それぞれの意図を汲み取って撮影を進めなくてはなりません。そのためコミュニケーション能力も求められます。
テレビカメラマンになるには?
フリーランスのカメラマンもいますが、テレビカメラマンになるならテレビ局や番組制作会社、技術専門会社などに就職するのが一般的です。
ただし、テレビ局に就職するには、四年制大学卒業以上の学歴が求められます。新卒採用でテレビ局や番組制作会社などへの就職を希望するなら、大学の理工系学部や放送学科、放送系の専門学校の卒業を目指しましょう。
まとめ
テレビカメラマンの年収は、勤務先の種類や規模、年齢などで大きく異なります。高年収を目指すなら、キー局をはじめ都市圏のテレビ局への就職が得策です。
ただし、テレビ局は高学歴を求められる傾向にあり、就職難易度が高いことを理解しておく必要があります。
また、テレビカメラマンは重い機材を担いでの長時間に及ぶ撮影や、悪天候の中での撮影に挑むこともあるハードな仕事です。テレビカメラマンを目指す前に、これらを踏まえて自分がテレビカメラマンに向いているか判断してみてください。