テレビ局の種類と特徴
テレビ局の就職倍率の前にまず知っておきたいのがテレビ局の種類です。テレビ局は民間放送と公共放送に分けられます。公共放送は国の放送局で、民間放送はそれ以外の放送局のことです。
民間放送については、さらにキー局、準キー局、ローカル局(地方局)の3つに分けることができます。それぞれの特徴や役割について見ていきましょう。
キー局
キー局とは民間放送のうち全国放送権がある主要放送局のことです。すべてのキー局は東京に置かれています。
公共放送と比べると大衆性が高く、各局の強みを活かした独自性のある番組制作が行われているのが特徴です。
収入のほとんどは広告費から得ており、ローカル局への番組の提供や広告費の分担もキー局の役割となっています。日本のキー局は次のとおりです。
<キー局>
・TBS
・テレビ朝日
・テレビ東京
・日本テレビ
・フジテレビジョン
準キー局
準キー局はキー局に次ぐ規模の放送局で、すべて大阪に置かれています。放送エリアは関西圏全域であり、ローカル局と比べると影響力が強いです。準キー局には、次のような放送局があります。
<準キー局>
・朝日放送テレビ
・関西テレビ
・テレビ大阪
・毎日放送
・読売テレビ
ローカル局(地方局)
ローカル局(地方局)は、放送エリアをある一定の地域のみに限定した放送局で、全国に129局あります。キー局や準キー局の子会社ではなく、独立した放送局として設立されていることがほとんどです。
ローカル局は放送エリアが限定されることから、地域密着型の番組を多く制作しています。キー局や準キー局よりも小規模で予算が限られるため、逆手に取った自由な発想で番組制作をするローカル局も多いです。
キー局などと比べて人員が少ないことから、アナウンサーが記者を兼ねるなど、役割を兼任するケースも珍しくありません。ローカル局には、次のような放送局があります。
<ローカル局>
・北海道テレビ
・仙台放送
・テレビ神奈川
・テレビ埼玉
・中部日本放送(CBC)
・テレビ西日本(TNC)
・九州朝日放送
など
公共放送
公共放送は国が設立や所管する放送局で、日本ではNHK(日本放送協会)のみが公共放送に該当します。
民間放送と比べて公共性が高く、国が所管していることから安定性が高いことが特徴です。受信料が収入の多くを占めており、圧倒的な資金力があることでも知られています。
テレビ局の就職倍率
テレビ局の就職倍率の目安は、次のようになっています。
【テレビ局の就職倍率の目安】
技術職 | 総合職 | アナウンス部 | |
キー局 | 200倍~ | 500倍~ | 2000倍~ |
準キー局 | 100倍~ | 200倍~ | 1000倍~ |
ローカル局 | 職種問わず100倍程度 | ||
公共放送 | 30倍~ |
キー局の就職倍率の目安はエントリーシートの応募数をベースにしたものです。準キー局になるとキー局よりも就職倍率は下がりますが、それでも高倍率であることがわかります。特にアナウンサー部は応募者数が多いのが特徴です。
地方局であっても就職倍率は100倍を超えることもあり、非常に狭き門といえます。民間の放送局を中心に就職倍率が全体的に高いのは採用人数が少ないためです。限られた採用人数に対して多くの応募者が殺到する形になっています。
一方、公共放送であるNHKは、30倍~と民間の放送局と比べて就職倍率はそこまで高くありません。これは民間の放送局と比べて採用人数が多いためです。キー局などの採用人数は30人程度ですが、NHKでは毎年300人程度の新卒採用が行われています。
なお、テレビ局はいずれも就職倍率が高いため内定までの道のりも長いです。ESや筆記試験に加え、面接が最大8回程度行われることもあります。
テレビ局で働くのに向いている人の特徴
テレビ局の就職倍率の高さからもテレビ局は人気の高い就職先であることがわかります。では、テレビ局の仕事に向いているのはどのような人なのでしょうか。3つの特徴をご紹介します。
トレンドに敏感で深掘りできる人
テレビでは流行のものに焦点を当てたり、これから話題を呼びそうなものにスポットを当てたりすることもあります。そのため、最先端の情報をキャッチしたり、好奇心旺盛に情報を収集できたりする能力が必要です。
近年では、テレビのほかに、インターネット業界も番組配信に力を入れていますのでネット配信よりもテレビ番組に興味があり、実際にテレビ番組をよく視聴していることも重要なポイントになるでしょう。
また、情報を収集するだけでなく、ひとつの事柄を掘り下げ、知識を深められる人も向いています。特定のジャンルへの深い知識がテレビ局では求められることもあるためです。
ポジティブに粘り強く努力できる人
テレビ局に入局できても、希望とは異なる部署に配属されることもあります。また、入社後すぐは雑務が仕事として割り振られるようなことも多いです。希望する仕事とは違う下積み時代も前向きに捉えて、ポジティブ思考で努力できる人はテレビ局の仕事に向いています。
体力・精神力に自信がある人
テレビ局の仕事は体力や精神力がある人に向いています。放送日までに番組を完成させる必要があるほか、番組の内容によっては番組制作が不規則になってしまうためです。
報道番組の場合は、緊急時にすぐに出勤しなければならないこともあります。また、生放送ではやり直しできないプレッシャーのもと仕事をしなければなりません。
ハードワークでプレッシャーのかかる仕事であるため、耐えられる体力や精神力が必要です。
高い就職倍率でもテレビ局の内定を勝ち取るには
高い就職倍率のテレビ局において、内定を勝ち取るにはどうすれば良いのでしょうか。内定をもらうために押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
テレビ番組をたくさん観て局や番組の特色を研究する
選考時に「なによりテレビが好き」という熱意を重視するテレビ局は多いです。入社したいテレビ局では、どのような番組が放送されているかを番組研究は念入りに行いましょう。
企画や構成のポイント、番組制作の意図、ほかの類似番組との差別化などを客観的な視点から話せるようにしておくと良いです。
また、報道に強い、ドラマ制作に注力しているなど、各局の特色も把握しておきましょう。
インターンやアルバイトで業界をよく知る
インターンやアルバイトで実務に携わることによって、現場でしか得られない業界の情報や知識を得られる可能性があります。仕事内容を知ってテレビ局への理解を深めることで、局に抱く理想と現実のギャップを埋められるため、就職の意思を固める意味でも有効です。
インターンに関しては、参加することによって選考の一部が免除される面もあります。ただし、インターンに参加するためには選考に通過する必要がありますので、その点には注意しましょう。
実務に役立つ資格を取得しておく
テレビ局に就職するにあたって必須になる資格はないものの、仕事に活かせる資格があれば選考時のアピールポイントになります。ここでは実務に活かせる資格を4つ見ていきましょう。
TOEIC
海外ロケや海外でのインタビューなど、番組によっては海外で撮影が行われるものもあります。取材やインタビューは記者やアナウンサーが直接行う方が円滑なケースもあり、語学力の指標になるTOEICが高得点であるとアピールしやすいです。
TOEICには聞く力と読む力を測るListening & Reading Testや、話す力と書く力を測るSpeaking & Writing Testsなどがあります。
漢字検定
漢字検定は漢字能力を測定する検定試験で、1級から10級まで12段階式の試験です。テレビ局によっては内定者研修に漢字検定を盛り込んでいるところもあります。特に原稿を読むアナウンサー志望の場合は、漢字検定準1級以上がアピールポイントになります。
映像音響処理技術者資格認定試験(一般社団法人 日本ポストプロダクション協会)
映像音響処理技術者資格認定試験は、技術、映像、音響、著作権などの基礎を問う資格試験です。映像コンテンツを制作するための各工程を理解することを目的としたもので、テレビ局でも特に技術職を目指す場合にアピールポイントになります。
舞台・テレビジョン照明技術者技能認定(公益社団法人 日本照明家協会)
舞台・テレビジョン照明技術者技能認定は、照明の知識をもとに、光による演出技術を認定する資格です。2級以上は受験資格として実務経験が必須となりますが、各地で開催される地域講座であれば実務経験なしでも受講できます。特に、技術職を目指している人が参考にしたい資格です。
まとめ
テレビ局の就職倍率は、いずれも高いです。特に、採用人数が少なく人気の高いキー局や準キー局への就職倍率は高く、就職は厳しい傾向にあります。テレビ局への内定を勝ち取るには、学歴以外の資格やスキル、企業研究、インターンシップへの参加などにも力を入れましょう。