テレビ局の技術職にはどんな種類がある?
テレビ局で番組を制作するスタッフには、番組の映像や音声を収録したり、番組を放送するためのシステムに携わったりする技術職がいます。
ここでは、その中でも主な技術職について紹介します。
カメラマン
カメラマンは、撮影用カメラを使用して、番組制作に必要な映像を撮影します。使用するテレビカメラの種類もさまざまで、スタジオやロケなど収録する場所、撮影内容によっても変わるため、幅広い撮影技術が必要です。
スタジオで番組を収録する場合、番組ディレクターの指示に従い、複数人のカメラマンで映像を撮影します。一方、ロケに同伴して撮影する場合は、ディレクターと打ち合わせをして、移動しながら撮影します。特に、屋外での撮影は長時間にわたるケースも多く、体力が求められる仕事です。
ニュースやドキュメンタリー番組を担当する報道カメラマンの場合、ディレクターや記者と打ち合わせをしたあとは、自分の判断で臨機応変に動くことも多々あります。
音声担当
テレビ番組では映像と音声は別々の機材で収録し、音声担当はマイクロフォンで音声を収録します。収録中は音声に問題がないか、イヤフォンでチェックするのも音声の仕事です。
カメラマン・音声担当・照明担当は撮影現場でワンチェーンと呼ばれ、基本的に行動を共にします。
放送システムのエンジニア
収録した番組を送信所や系列局に送り出すのは、放送システムのエンジニアの仕事です。放送トラブルが起きないよう、放送機器の機器や保守を行い、放送システム全体を支えています。
テレビ局技術職の年収はどれぐらい?
厚生労働省が行った令和3年賃金構造基本統計調査によると、テレビ局技術職の年収は584.4万円です。国税庁が行った令和3年分民間給与実態調査によると、日本人の平均年収(平均給与)は443万円となっており、テレビ局技術職の年収は全国水準よりも高くなっています。
上記の数字よりは古い資料になりますが、年代別の平均年収は下記のようになっています。
・25~29歳 423万円
・30~34歳 455万円
・40~45歳 496万円
・50~54歳 525万円
また、役職別の給与でも、テレビ局技術職は全国平均より高い水準です。ただし、後述するように、テレビ局員の年収は地方によって大きな差があり、技術職だけに限っても同じ傾向にあります。
たとえば、東京都のテレビ局技術職平均年収は669.4万円ですが、福岡県は472.7万円、宮城県は558.1万円、愛知県は579.5万円、大阪府は620.1万円です。テレビ局技術職の全国平均年収に届かない地域は少なくありません。
地方の中で大阪府が比較的高いのは、準キー局(各キー局に準ずる立場にある大阪の民放4局)があるためです。
テレビ局の技術職に就くには?
新卒でテレビ局の技術職に就きたい場合、工学系や電子・通信・放送系の大学や高等専門学校、専門学校に進学し、テレビ局や制作プロダクションに放送技術者として採用されるルートが一般的です。実際に働いている人の学歴は、大卒と専門学校卒の人が多くを占めています。
入社後は各部署に配属後、研修や実務を通じて技術者としての経験を積んでいきます。機材を扱ったり、ディレクターの演出意図を理解して自身の仕事に反映させたりするには、豊富な知識と経験が必要とされます。
ただし、テレビ局員は東京のキー局、地方局にかかわらず高倍率です。テレビ業界という人気の高い業界であることに加え、安定した収入と整った福利厚生・昇給制度がある点も人が集まる要因と考えられます。
テレビ局の技術職は、入社前から技術的なスキルが求められることはほとんどないだけに、志望動機や自己アピールが重視されます。
テレビ局員の給料は?
一般的に、テレビ局員は給料が高いというイメージを持たれています。ここでは、テレビ局員の初任給や平均年収について紹介します。
テレビ局員の初任給
東京のキー局の場合、初任給は20万~24万円程度です。もちろん、局によって差はあり、フジテレビの場合は29万2,100円(2022年度実績)と、好待遇です。フジテレビの場合、基本給は22万4,500円ですが、住宅費補助やさまざまな手当が加算されています。
高給といわれているテレビ局ですが、地域によって格差が大きく、地方局になると初任給は諸手当を除いて18~22万円です。もちろん、その地域の初任給よりは高めに設定されており、キー局と地方局の初任給の差は物価などの地域差が反映されています。
テレビ局員の平均年収
テレビ局社員の平均給与は60~100万程度です。東京のキー局なら平均年収が1,000万円を超えており、40代で1,000万円を超えている人も珍しくありません。
初任給同様、平均給与・年収も地域があり、地方局はキー局の7割程度の収入といわれています。地方局の社員でも、地方企業の中では高い給与・年収を得られるといえます。
ただし、高給・好待遇の会社員の代表格だったテレビ局員ですが、若者のテレビ離れが叫ばれている今、業界を取り巻く環境は厳しくなっています。テレビ局の収入源はスポンサーからの広告収入ですが、視聴率が低下すると広告収入も減ってしまいます。
テレビ局の業績が悪化すると、これまでのような高給・好待遇が維持できなくなる可能性もあります。
テレビ局員以外の給料は?
テレビ局には社員以外のスタッフもたくさん働いています。ここでは、派遣社員とフリーランスの給与について見てみましょう。
派遣社員
派遣会社の正社員としてテレビ局で働く人の職種はさまざまです。制作に関わる人だけでなく、事務系にも派遣社員がいます。派遣社員の時給は1,500~2,000円と、一般的なパートやアルバイトに比べると高い傾向です。
派遣社員はテレビ局内でさまざまな番組制作に携われるというメリットはありますが、テレビ局員に比べて給与が低いという点がデメリットといえます。
フリーランス
テレビ局員のアナウンサーやディレクター、カメラマンなどの中には、経験を積んでフリーランスになる人も多くいます。テレビ局員は収入が安定している反面、人気番組を制作しても給料が飛躍的に上がるわけではありません。そのため実績を積んでから、退社してフリーランスになる傾向があります。
たとえば、カメラマンの場合は実績を積んで独立すれば、番組の収録以外にもライブやイベントの撮影仕事も受けることができ、テレビ局員時代よりも仕事の幅を広げて収入アップも可能です。
ただし、フリーランスになると、仕事がなければ収入が激減するリスクも抱えることになります。
まとめ
テレビ局にはディレクターや営業職以外にも、カメラマンや音声担当などの技術スタッフがいます。職種にかかわらず、テレビ局員の給与は相対的に所在地の一般企業よりも給料が高いことが多く、業界の華やかなイメージもあって、社員募集には応募が殺到します。特に東京のキー局に就職するのは、技術職でも狭き門です。
テレビ局員の中には番組制作の経験や実績を積んで、フリーランスとして独立する人が少なくありません。技術職では、カメラマンが独立するケースが多く、番組制作以外に仕事の幅を広げて会社員時代よりも収入を増やしている人もいます。