動画編集ディレクターとは
近年、一般の方でもSNSやYouTubeなどで動画や写真を投稿し、情報発信する機会が増えたことで、動画編集に関わる仕事が注目されています。魅力的なコンテンツにするには、動画編集者以外に動画編集ディレクターの力も必要です。
動画編集ディレクターは、映像制作現場で重要な役割を担う職種です。また、企画や編集作業の監督など仕事を細かく把握して、指揮を取る役割もあります。さらに監督や品質管理だけでなく、チームをまとめるマネジメント能力などのスキルや経験が求められます。
動画編集ディレクターの仕事内容
動画編集ディレクターの仕事は多岐に渡ります。まずは詳しい仕事内容を一覧でチェックしましょう。
仕事内容 | 詳細 |
クライアントとの打ち合わせ | クライアントの要望やビジョンを聞き取り、動画制作の目的やターゲットについてリサーチする。 |
動画の企画・構成立案 | プロジェクトの全体像を把握し、動画コンテンツの方向性を固め、ストーリーボードやシナリオ作成をする。
映像に使用する素材やエフェクト、音楽などのリソースを選択する。 |
進行・スケジュール管理 | プロジェクトの進捗を確認しながらスケ
ジュールを管理する。 |
品質チェック | 編集後、映像素材やエフェクト、音声などの最終チェックを行い品質向上に努める。 必要に応じて修正依頼を出す。 |
採用活動 | 動画の規模によって優秀な人材の採用活動を行う。 |
ほかにも、企画書の作成・プレビューの参加・ロケ現場のまわし・ナレーションによる演出をする場合のナレーション原稿の作成・オフライン編集(映像をつなぐ作業)・EED編集(エフェクトやCGを挿入する作業)・MA(音声編集)などがあります。
動画編集ディレクターの平均年収
求人ボックスによる映像ディレクターの平均年収は445万円と示されています(2023年10月31日時点)。
国税庁「民間給与実態統計調査」によると、2022年における給与所得者全体の平均給与は458万円でした。動画編集ディレクターの年収は全体の給与所得者の平均とほぼ同じです。
ただし、上記の年収は正規雇用の場合であり、非正規雇用では年収が下がる傾向があります。雇用形態以外でも、年齢や会社の規模、案件(YouTubeの動画編集、企業向けのプロモーション動画制作など)や仕事内容によっても年収に大きな差がみられます。
とはいえ、動画編集ディレクターは中長期的な契約になりやすく、収入が安定しやすいのが魅力です。スキルを高めれば年収アップが期待できるでしょう。
出典:「映像ディレクターの仕事の年収・時給・給料」(求人ボックス)
出典:「令和4年分 民間給与実態統計調査」(国税庁)
動画編集ディレクターに求められるスキル
動画編集ディレクターになるには、どのようなスキルが必要なのでしょうか。ここからは、動画編集ディレクターに求められるスキルを解説します。
動画編集に関する総合的な知識
動画編集ディレクターは動画制作全般の幅広い業務を担うため、豊富な知識が求められます。動画編集以外にも、映像の構成の知識や視覚効果など、基礎から学ぶ必要があります。
また、映像ジャンルや市場の動向にも着目し、最新情報を入手すべくアンテナを張っておくことが重要です。
ディレクション力
動画編集ディレクターに求められるスキルとして、ディレクション力が挙げられます。動画編集ディレクターは、プロジェクトを円滑に進めるために、スケジュールを調整したりクライアントの要望をもとに戦略を立てたりする必要があるからです。プロジェクト全般の指揮を取る能力が求められます。
例えば、以下のようなディレクション力が必要です。
・ビジョンの共有とコンセプトの策定:具体的なビジョンや目標を掲げ、チームに共有する。魅力的な映像を制作するための方向性を考える。
・プロジェクトの計画とタスク管理:プロジェクトの細かい進捗状況を把握する。タイムラインの設定や優先順位の決定などを行う。
・チームをまとめるリーダーシップとモチベーション管理:円滑な業務遂行を目指し、チームを指揮する。チームのモチベーションを高めて協力体制を構築する。
・問題解決とリスク管理:問題や課題を早期発見し、適切に処理する。リスクを想定し、対応策を考える。
マネジメント力・コミュニケーション能力
動画編集ディレクターには、クライアントの要望を正しく聞き出すためのコミュニケーション能力が必要です。また、プロジェクト全体をマネジメントする仕事なので、チーム内での円滑なコミュニケーションを交わすことが欠かせません。
金銭管理を行うプロデューサーとうまくコミュニケーションを図ることも大切です。例えば、「ここでロケをしたい」などの意見をもつディレクターと、「予算が厳しい」と意見を出すプロデューサーと折り合いをつけながら進めていく必要があるからです。
このように動画編集ディレクターは、コミュニケーション能力に加えて、スケジュールの管理・動画編集にかかるお金の管理・リソースの配分など、プロジェクトをスムーズに進めるためのマネジメント能力が求められます。
動画編集ディレクターのなり方
動画編集ディレクターになるには、「スキルを磨く」「スクールに通う」「転職する」の3つの方法があります。最後にそれぞれの特徴を確認していきましょう。
動画編集者としてスキルを磨く
動画編集ディレクターになるには、動画編集スキルが必要です。動画編集ディレクターはチームを指揮する立場であり、プロジェクトを円滑に進める必要があります。滞りなく仕事を進めるために、動画編集に関する知識や技術を研鑽しておきましょう。
これらの能力があると、完成した動画をチェックする際に役立ちます。またチーム内からの信頼も得やすくなるでしょう。動画編集者として十分なスキルがあれば、ディレクターへ移行しやすくなります。
ディレクションも学べるスクールに行く
独学でのスキル習得が難しい方は、動画編集スクールや通信講座を活用しましょう。動画編集やディレクションに必要なポイントを効率良く学べるため、短期間でスキルを習得できます。
また、動画作成スキル以外にも、実践的な課題やプロジェクトを通して、企画や運用などの経験を積めるのでおすすめです。現場で役立つスキルを習得したり、経験を積んだりすることで、動画編集ディレクターになった後も知識や経験を活かせます。
動画編集ディレクターとして転職する
動画編集者としてのキャリアがあるなら、転職を検討してみてはいかがでしょうか。転職を希望する際は、ディレクターに必要なスキルを身に付けてアピールしましょう。
ディレクター経験がない場合でも、動画制作スキルやチーム制作の経験があれば応募できる求人もあります。ただし、所属していた会社でアシスタントしか経験していない場合は、転職・独立後もディレクターとしての仕事はもらえない可能性があります。
そのため、動画編集ディレクターとして活躍したい方は、所属している会社でディレクターの肩書きをもらってから転職を検討することをおすすめします。
まとめ
動画編集ディレクターは、映像制作現場で企画や編集作業の監督などを行う職種です。チーム全体を指揮する役割もあり、プロジェクトの進捗状況の把握やスケジュール管理なども行います。
動画編集ディレクターになるには、豊富な知識に加え、ディレクション力・マネジメント力・コミュニケーション能力が必要です。動画編集者としてのスキルを磨き、自己研鑽に励みましょう。動画編集者として十分な知識や経験が得られた後、動画編集ディレクターとして転職するのもおすすめです。