放送作家とは?主な仕事内容や平均年収、向いている人の特徴とは?

放送作家という職業に対する多くの人のイメージは漠然としていて、仕事内容や放送作家になる方法についてはあまり知られていないのではないでしょうか。 本記事では、放送作家の仕事内容や年収、必要なスキルや適性などについて紹介します。


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【放送作家】主な仕事内容と給料事情

ここでは放送作家の仕事内容や給料事情について紹介します。

放送作家とは

放送作家の仕事は、テレビやラジオ番組の企画を考えて台本を書くことです。バラエティ番組の中でも毎回取り上げるネタが異なるものや、コント番組など、情報番組や報道番組などを除くさまざまな番組を手がけ、構成作家と呼ばれることもあります。

バラエティ番組などの特定ジャンルを得意とする放送作家もいれば、ジャンルを問わず仕事を引き受ける人もいます。

放送作家は、担当する番組のプロデューサーやディレクターと協力しながら、番組の構成や出演者のセリフなどを考えて一冊の台本に落とし込みます。ゴールデンタイムの番組などでは複数の放送作家が携わり、コーナーごとに分担して台本を書きます。

テレビ・ラジオ番組以外にもCMを手がけたり、お笑い芸人に付いてネタづくりやYouTubeチャンネルの方針決めをサポートしたりしている放送作家もいます。さらに、有名な放送作家になると、企業からの依頼で商品企画の提案をするなど、さまざまな場面で活躍しています。

放送作家の主な仕事内容

テレビ番組を例に、放送作家の仕事内容を紹介します。

リサーチ・企画

番組の企画を立てる前に行うのがリサーチです。決まっているテーマに沿ってネタを集めたり、番組で取り上げるテーマを決めるために世の中の動きをチェックしたりします。

リサーチで集めた情報をもとに企画を立て、企画書にまとめます。企画書では企画内容に加え、起用したいタレントも提案します。

企画会議への参加

番組制作の関係者が集まって番組の内容を詰める企画会議に参加し、企画を出します。

企画会議では放送作家が作った企画に対し、ほかの出席者が意見を出して企画をブラッシュアップしていきます。放送作家は会議で出た意見を取り入れながら、番組全体の流れを考慮して企画をより良いものにしていきます。

台本作成

企画会議を経て企画が固まったら、いよいよ台本の作成です。台本には、番組の進行に沿った演者の動きやセリフ、ナレーションなどが詳細に記載されます。セリフやナレーションの内容はもちろん、そのタイミングも台本によって細かく指示されています。

番組制作は台本に沿って進められるため、番組が面白くなるかどうかは、放送作家が書く台本にかかっています。

収録の立ち合い

放送作家はほとんどの場合、収録に立ち会います。収録の様子を見ながら随時指示を出すなど、収録の最後まで気を配ります。また、収録中に台本を書き換えることもあります。

収録後には編集が行われて放送されるため、実際のオンエアもチェックします。

放送作家の年収・給料事情

放送作家の働き方は、大きく分けて正社員とフリーランスのふたつです。

フリーランスの場合、手がけた番組1本に対して報酬が支払われることが多く、1本当たりの報酬は番組によってばらつきがあります。また、キャリアが浅いうちは番組の1コーナーや放送時間が短い番組の担当になることも多く、報酬もあまり高くない傾向にあります。

また、フリーランスは誰かに雇用されているわけではないため福利厚生はありません。

一方、正社員の場合、手がけた番組の本数に関係なく、固定給として給料が支払われます。会社に直接雇用されるため、賞与や手当、福利厚生などは一般的な会社員と同様です。

ある求人データによると、制作会社の社員として雇用される場合、平均年収は約355万円、月給は約25万円です。

放送作家に向いてる人は?求められるスキル

放送作家に必要なことは「自分が考えた企画で多くの人を楽しませたい」という気持ちです。人を楽しませたり、自分のアイデアを形にしたりするのが好きな人が放送作家に向いているといえます。

放送作家が番組の台本を書くまでに行う作業は以下の3つです。

①リサーチ

②企画立案

③会議でのプレゼンテーション

3つのプロセスに求められるスキルは、情報収集力や面白い企画を考える発想力、そして自分が考えた企画の魅力を会議で伝える力です。

面白い企画を立てるには、情報収集量に加え、知識量や柔軟な発想力が求められます。さらに、台本を作るにあたっては魅力的なセリフを生み出すセンスも必要です。

また、放送作家が立てた企画案がそのまま通ることは少なく、番組プロデューサーやディレクターなどの多くの人と意見をやりとりしながらより良いものに仕上げていきます。周囲の人と協力して作り上げるために、コミュニケーション能力も求められる仕事です。

放送作家になるには?

放送作家になるために特別な資格や学歴は必要ありません。そのため未経験からでも挑戦できます。とはいえ、放送作家として仕事をするには仕事を得られる環境に身を置く必要があります。

未経験でも挑戦できる

放送作家に必要な資格や経験は特になく、学歴も問われません。また、ディレクターのように、テレビ局や番組制作会社に入らなければ仕事に就けないということはありません。しかし、放送作家として実績がない状態では、案件を獲得することは困難です。

放送作家としてのコネクションを作るために、テレビ局や番組制作会社など“業界で働く”ことは有意義な経験となります。ただし、テレビ局や番組制作会社で放送作家の仕事ができるわけではありません。

コネクションを得られる点では、放送作家養成コースがある専門学校などに通うのも選択肢のひとつです。現役の放送作家が講師をしており、企画の立て方や企画書の書き方などを実践的に学べます。また、講師を介して業界とのつながりができたり、学校のバックアップを受けて放送作家事務所に就職できたりします。

放送作家事務所に所属する

テレビ局などからの依頼を引き受ける放送作家事務所に所属するという手段もあります。放送作家事務所に所属しているのは、ひと通りの仕事ができる放送作家がほとんどです。しかし、なかには未経験者を育成している事務所もあります。

事務所に所属していれば、キャリアが浅い放送作家にも事務所を通して仕事が来ます。先輩作家に助けてもらいながら経験を積んでいきましょう。実績を積めば、ひとり立ちしてフリーランスとして活躍する道も開けます。

まとめ

放送作家は番組の企画を考え、台本を書く仕事です。番組の面白さを左右する存在であるため、才能が認められれば仕事を依頼されることが増えて「売れっ子放送作家」として活躍できます。有名な放送作家の中には、企業からの依頼で商品企画を手がけるなど、幅広い分野で活躍している人もいます。

放送作家になるための特別な資格は不要です。ただし、文章力に加えて情報収集力や発想力、プレゼン能力などが求められます。何よりも「自分の企画で多くの人を楽しませたい」という気持ちが大切です。

放送作家になるために決まった進路はありません。現役放送作家が講師を務める専門学校に入学する、放送作家事務所に所属する、業界内の関連職種に就いて転身を図るなどして、コネクションを築きながらキャリアを磨きましょう。