プロダクションマネージャー(PM)とは?仕事内容や年収などを解説

映像業界では、プロデューサーとは異なり、プロダクションマネージャー(PM)といわれる職種があります。プロダクションマネージャーは主にどのような仕事を担っているのでしょうか。今回は、プロダクションマネージャーの仕事内容や求められるスキル、プロデューサーとの違いなどについて解説します。


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プロダクションマネージャー(PM)とは

プロダクションマネージャーは、CMをはじめとした映像分野に関わる職種です。映像制作会社で、制作の企画から納品まですべての進行をマネジメントする仕事です。

映像制作の責任者はプロデューサーです。プロダクションマネージャーはプロデューサーの右腕として、企画時には人選や日程調整などの手配、編集時には進捗やスケジュール調整を行います。

プロダクションマネージャーとプロデューサーの違い

プロダクションマネージャーはプロデューサーの右腕と説明しました。それぞれの職種の大きな違いは、制作現場との関わり方です。

プロダクションマネージャーは、制作現場の代表的な立ち位置で、現場をまとめる役割を担います。対して、プロデューサーは現場よりスポンサーや広告代理店と関わることの多い職種です。

そのため、プロダクションマネージャーよりもプロデューサーの方が責任範囲は広いといえます。

プロダクションマネージャーの仕事内容

プロダクションマネージャーは、具体的にどのような仕事をしているのでしょうか。ここでは代表的な仕事内容を6つ紹介します。

スケジュール立案

映像制作の企画が固まったら、企画を実行に移すためにスケジュールを立てる必要があります。出演者や関係者のスケジュール確保・調整、ロケのアポイントメントの取得なども、プロダクションマネージャーの仕事です。

全体のスケジュールを計画する必要があるため、納期から逆算して、編集時間、撮影時間、撮影に向けた準備時間などを決めていきます。

撮影は、ロケ地の予約状況や外で撮影する場合は天候が大きく影響してくるため、日程に余裕をもたせたうえで、無駄のないスケジュールを組んでいくことが重要です。

予算策定

予算設定や管理もプロダクションマネージャーの仕事です。予算は制作スケジュールとも関わりが深いため、スケジュール立案と同時進行で進めていきます。

プロダクションマネージャーに求められるのは、限られた予算内でどれだけ高い品質の映像を制作できるかです。制作初期だけでなく、必要に応じて制作期間中に予算を修正するケースもあります。

リスクや進捗管理

現場では、思わぬトラブルが発生することもあります。さまざまなトラブルにすぐに対処できるようリスク管理することもプロダクションマネージャーの仕事です。

また、実際に映像制作が始まると、当初予定したスケジュール通りに進まないこともあります。スケジュールに遅れはないか進捗を管理しながら、必要に応じて撮影を前倒ししたり編集時期を早めたりといったスケジュール調整を行うのもプロダクションマネージャーの仕事です。

状況に応じたスケジュール調整が必要とはいえ、スケジュールの変更が度重なると現場を混乱させかねません。そのため、まずはスケジュール立案の段階で綿密な計画を立てておく必要があります。

機材やスタジオの手配

撮影機材やスタジオの手配もプロダクションマネージャーの仕事です。撮影に特殊な機材を用いる場合は撮影機材の確保を行います。

ロケ地やスタジオの手配も必要です。撮影場所のレンタルについては、トラブルを想定しつつ、予算内に収めることが求められます。

3Dグラフィックなど社内で制作が難しい部分がある場合は、外注も検討しなくてはなりません。

出演者の選定

出演者を選ぶ際に、プロダクションマネージャーも参加して相談しながら選定することがあります。また、直接芸能事務所に出演を依頼する以外に、オーディションに参加して選定することもあります。ただし、最終決定権があるのは、クライアントやプロデューサーです。

また、映像によっては、メインキャストだけでなくエキストラの手配も必要です。制作する映像に適した出演者の手配が求められます。

発注先や顧客との関係維持

プロダクションマネージャーは、現場の指揮管理だけでなく、発注先や現場スタッフとの間を取り持つ役割も担います。良好な関係を維持するためにも、発注先や顧客と連絡を取りつつ、必要に応じて中間報告を行うなどのコミュニケーションが欠かせません。

プロダクションマネージャーに求められるスキル

ここまで、プロダクションマネージャーの役割や仕事内容について紹介してきました。プロダクションマネージャーの仕事を円滑に進めるには、どのようなスキルが必要なのでしょうか。プロダクションマネージャーに求められる4つのスキルを取り上げます。

マネジメントスキル

プロダクションマネージャーには、制作現場全体を見て、より良い作品を制作することが求められます。そのためにも、スケジュールの立案や進捗を適切に管理し、予算の範囲内で質の高い映像制作をしなければなりません。

そこで、プロダクションマネージャーにはマネジメントスキルが求められます。特に、現場で起こり得るさまざまなトラブルを想定したマネジメントが必要です。

専門分野の知識

プロダクションマネージャーは、それぞれの工程において、どのくらいの時間が必要か想定しながらスケジュールを組んでいかなくてはなりません。

無理なく、かつ効率の良いスケジュールを立てるうえで、必要な撮影技術・編集技術・機材といった各分野に関する専門知識は役立ちます。

深い知識までは求められないものの、さまざまな分野をつなぐ立場である以上、幅広い分野の知識を広く知っておくことが重要です。

企画力

プロダクションマネージャーは、依頼主の要望をもとに映像制作の方向性を検討するなど、企画立案に携わることもあります。プロジェクトを立ち上げるためにも企画力が必要です。

特に、依頼主のニーズを満たす企画力、アイデアとして浮かんだ企画を実現させる実行力が求められます。

コミュニケーション能力

映像制作には、さまざまな関係者が関わります。プロダクションマネージャーは現場全体を管理する立場にあるため、依頼主やプロデューサー、出演者やスタッフなど多くの人と関わることになるでしょう。

プロダクションマネージャーには、制作に関わるさまざまな立場の人の間に立ってプロジェクトを円滑に進める役割が求められるため、高いコミュニケーション能力が求められます。

相手と円滑なコミュニケーションを取るには、相手を不快にさせないビジネスマナーやヒアリング能力、複数の人の会話をまとめる理解力も必要です。

プロダクションマネージャーの年収

プロダクションマネージャーの平均年収は300〜600万円程度といわれています。年齢が20〜30代に多いことを考えると、同世代と比べて年収は比較的高い方だといえるでしょう。

なお、プロダクションマネージャーの経験を経て、将来的にプロデューサーを目指すキャリアパスも考えられます。プロデューサーになれば年収をアップさせることも可能です。

未経験からプロダクションマネージャーになるには

プロダクションマネージャーになるために特別な資格は求められません。未経験でも、将来的にプロダクションマネージャーを目指すことはできます。

しかし、プロダクションマネージャーになるにはプロデューサーからの信頼を得る必要があるので、各業務の経験は不可欠です。まずは、CM制作会社、映像制作会社などに就職して下積みとして経験を積むのが一般的なルートです。

まとめ

プロダクションマネージャーは、映像制作の現場において、プロデューサーの右腕のような存在です。制作現場全体の管理に関わる仕事で、スケジュール立案や出演者の選定、進捗管理などを行い、プロデューサーを補佐するのが主な役割です。

プロダクションマネージャーになるのに必要な資格はありません。しかし、適切な計画を立てられるようになったり、プロデューサーから信頼を得たりするためにも映像制作の各業務経験が必要です。まずは制作の現場で経験を積んでから、キャリアアップを狙いましょう。