エンタメ業界とは?主な業種や平均年収
まずはエンタメ業界への理解を深めるために、基本的な情報としてエンタメ業界の業種や職種、平均年収の目安を紹介します。
エンタメ業界の業種
ひとくちにエンタメ業界といっても、その事業範囲は幅広いです。たとえば、以下のような事業がエンタメ業界に含まれます。
・映画業界
・音楽業界
・テレビ業界
・芸能プロダクション業界
ここでは、それぞれの業界の特徴を紹介します。
映画業界
映画業界には、映画製作会社や映画配給会社、映画館運営会社など、さまざまな会社が存在しています。映画製作会社は新作映画の企画立案から脚本作成、出演者への交渉、撮影、編集などを行います。「時代が求めている作品」を作る発想力が試される事業です。
映画配給会社は、制作された映画の買い付けや、映画間運営会社への交渉、予告編集や舞台挨拶等を行う「宣伝」を担い、より多くの観客に映画を広げる役割を担っています。
映画館運営会社は、買い取った映画を観客に上映する会社です。映画業界の中でも、一般客と接する機会が多い事業といえます。
音楽業界
楽曲や音楽コンテンツの制作、配信などに関連する業界です。CD制作やメディアへの宣伝活動を行うレコード会社や、コンサート会場での音響機材を操作するイベント会社なども含まれます。中にはアーティストのマネジメントを行うマネジメント会社もあり、音楽業界の事業内容も多岐にわたります。
近年では、Apple musicなど有料音楽配信サービスである「サブスクリプション」が拡大しており、世界最大手のSpotifyが日本でサービスを開始していることも特徴のひとつです。
また、SNS配信によるSNSからのアーティスト発掘など、新たなビジネスモデルも登場しつつある業界です。
テレビ業界
エンタメ業界の中でも、ひと際巨大な市場規模を誇るテレビ関連の業界です。CM枠などの広告収入を主な収入源としており、近年ではオンライン動画コンテンツ事業にも市場を拡大させている業界です。
テレビ番組を制作・放映するテレビ局や、テレビ局から依頼を受けて番組制作を行う番組制作会社などがあります。テレビ制作や番組運営に欠かせないカメラマンや照明、音響などの専門の仕事も含まれます。
芸能プロダクション業界
事務所に所属するアーティストに関わる業界です。演者やタレントのマネジメント業から、タレントのホームページの運営・企画・更新、チケットの販売・管理などの業務、所属アーティスト・タレントのプロモーション作成など、さまざまな事業が展開されています。
ここまで代表的な業界をいくつか紹介しましたが、ほかにもラジオ業界や出版業界、アニメ業界、ゲーム業界、動画配信業界などもエンタメ業界に含まれます。
エンタメ業界の職種
エンタメ業界にはさまざまな業種が含まれることからその職種も幅広いです。
たとえば音楽業界であれば、アーティストやマネージャー、作詞、作曲、編曲、レコーディング、レコード制作や配信、ライブ制作などの職種があります。
テレビ業界なら、プロデューサーやディレクター、AD、カメラマン、音声、照明などの職種が挙げられます。
ほかにも、企画や営業、マーケティング、グッズ販売、施設運営などの幅広い職種があります。
エンタメ業界の平均年収
エンタメ業界にはさまざまな業種や職種が含まれるため、年収は働く業界や働く会社、雇用形態で大きく変わってきます。そのため平均的な年収の目安を計算するのは難しいです。
テレビ業界を例に挙げると、キー局に勤務する局員の年収は1,000万円を超えることも珍しくありません。また、ゲーム業界の大手であるスクエアエニックスの2022年度の平均給与は1,400万円を超えていました。
このように、働く会社や業界などによって年収が1,000万円を超えることもあります。
参考:2022年3月期有価証券報告書(5.従業員の状況)|スクウェア・エニックス・グループ
エンタメ業界の現状は?
多岐にわたる事業が展開されているエンタメ業界も時代の流れに合わせて変化しています。ここでは、近年大きな変化がみられるライブ・エンタテイメント業界とテレビ業界の現状を一例としてエンタメ業界の現状を紹介します。
ライブ・エンタテインメント業界
ライブ・エンタメ業界は、2020年からの数年は特に大きな打撃を受けました。新型コロナウイルス感染症が拡大したことで、多くの公演やイベントの開催が中止となったためです。2020年以降は中止が相次いだことで市場が大幅に縮小し、ライブ・エンタメ業界の売上は大幅に落ち込みました。
新型コロナウイルス感染症に関しては、現在、感染が拡大した時期とは状況が変わってきており、開催基準の緩和などから、少しずつライブ・エンタメ業界もにぎわいを取り戻しつつあります。
回復傾向にはありますが、それでもコロナ禍前の2019年と比べるとその規模は小さいです。代わりに、コロナ禍の巣ごもり需要で、ゲーム市場などのデジタルコンテンツ市場が大きく成長しました。
テレビ業界
総務省の調査によると、2020年度の放送事業者売上高(NHKと民間放送事業者の合計売上高)は、3兆5,522億円です。
近年、インターネットの普及によるテレビ離れが指摘されるようになりました。10年前の2010年の売上高は3兆9,089億円であったため、減少していることが分かります。
SNSのライブ配信や個人の動画配信、サブスクリプションなどの市場も伸びてきていますが、テレビ業界の規模が依然として大きいのは、他事業に参入するテレビ局が増えているためです。
近年のテレビ離れを受け、Tverなど見逃し配信サービスなどでの広告収入の確保やサブスクへの算入、番組のマネタイズ(イベントやグッズ販売、企業コラボなど)といった、テレビ放送以外の部分でテレビ業界は売上を伸ばしています。
参考:第2部 情報通信分野の現状と課題|総務省
エンタメ業界に将来性はあるの?エンタメ業界で伸びる業界とは
ここからはエンタメ業界の将来性について、エンタメ業界の中でも伸びるといわれている3つの業界を例に紹介します。
eスポーツが伸びる
eスポーツは、エレクトロニック・スポーツの略です。PCやゲーム機などの電子機器を使った娯楽やスポーツ、競技全般を指します。コンピューターやビデオゲームでの対戦をスポーツ競技として捉えた名称です。
eスポーツではスポンサーからの広告収入のほか、放映権の販売や物販、チケット販売、ライセンス料などで収益が構築されます。近い将来、16億ドルを超える市場規模になると予想されている業界です。
日本でもeスポーツ市場への参入が見られ、大手のテレビ制作会社IVSテレビのグループ会社などもeスポーツ専門の会社として業界に参入しています。
サブスク型のゲームが増加する
アメリカを中心に市場拡大してきたゲームのサブスクは、近年、日本でも増加しています。
定額料金を払うことで、スマートフォンのゲームやPCゲームなど、複数のゲームを楽しめるものです。
日本では、任天堂(Nintendo Switch Online)やソニー・インタラクティブエンタテインメント(Play Station Now)など、大手ゲーム会社が次々と参入しています。
動画サービスが拡大する
2020年に5Gサービスが始まったことで、高速、大容量、低遅延、多数同時接続により、通信環境に大きな変化をもたらしました。
動画のプラットフォームも増加しており、動画を楽しめる環境が整ってきたことから、高画質の動画コンテンツを楽しむ人も増えています。
さらに、5Gの普及はテレビ業界にも変化をもたらしました。テレビ局でも、メタバース事業部やVRの部署を作る動きがあり、5Gは動画以外での事業の幅も広めています。
エンタメ業界へ就職するためにすべきこと
ここまでエンタメ業界について理解を深めてきました。では、就職するためにどのような準備が必要となるのでしょうか。ここでは、特に力を入れたい3つのポイントを紹介します。
自己分析を行う
どんな企業を受けるにあたって自己分析を行うことは大切です。自己分析により自分の得意分野や業界を選んだ理由を明確にできます。特に、エンタメ業界は業界や職種によって就職が難しくなるため、なぜエンタメ業界で仕事をしたいのか納得できる理由が必要です。
自己分析で、なぜその業界に入りたいのか自分の言葉で理由をまとめることが大切です。
志望動機を練って面接練習を増やす
自己分析から業界への志望動機を明確にした後は、面接対策を行います。業界や職種によっては就職難易度が高くなるからこそ、本番の面接で十分に自分の思いや考えを伝えることが大切です。面接対策は何十回も行って慣れておくことをおすすめします。
ビジネス視点を持つ
エンタメ業界も収益によって成り立っています。ビジネス視点を持っている人材であることも重要です。たとえば、面接などでは自分が関わる商品をどのように売り出し、売り上げにつなげるか具体的に説明できると良いでしょう。
まとめ
エンタメ業界にもさまざまな業界や職種があります。エンタメ業界に就職したい場合は、どのような業界で仕事をしたいか、どのような仕事をしたいかなど具体的にイメージしてから就職を考えることが大切です。将来性が期待できる業界や注目されている業界に就職するのも方法のひとつです。