ドラマを制作する部署がもつ役割とは
テレビ局や番組制作会社には、ドラマを制作する部署が存在します。
どんなドラマを制作するかを決める企画や脚本作成、全体のスケジュール調整やスタッフの選定、キャスティングなど、役職によって対応する業務はさまざまです。
ヘアメイクや大道具制作など、専門的なスキルが必要な業務に関しては、外部のヘアメイクプロダクションや美術制作会社などに依頼することも少なくありません。
制作のスタッフにもそれぞれ役割分担があり、全体が円滑に進むようチームで連携して動いています。
ドラマ制作に関わる主な職種と仕事内容をチェック!
ドラマ制作には、多くの人が関わります。ここではドラマ制作に関わる主な職種と、それぞれの仕事内容について見ていきましょう。
プロデューサー
プロデューサーは、ドラマ制作の総責任者として企画や台本制作、出演者やスタッフの選定などを行う、とくに重要な職種です。
ドラマ制作の予算管理や宣伝活動、グッズなどのコンテンツ展開にも決定権があり、幅広い業務をこなさなければなりません。サポートとして、アシスタントプロデューサー(AP)が業務を補佐します。
ドラマ制作の中心となるプロデューサーには、容易になれるものではありません。まずは、ドラマ制作に必要な知識やスキルを身に付ける必要があります。
助監督からキャリアをスタートするパターンがひとつです。助監督として経験を積んだらAPへ、APに昇格できたらプロデューサーの補佐をしつつ仕事を覚え、自分もプロデューサーを目指します。
なお、助監督を経験せず、APからスタートすることも多いです。
監督
監督はドラマ制作の現場の総指揮者として、出演者や技術スタッフ、編集スタッフなどに細かい指示を出すポジションです。
テレビ番組制作のディレクター的な仕事ですが、ドラマ制作の現場においては「監督」と呼ばれます。
監督には補佐役として複数の助監督がつくのが基本です。助監督にはチーフ・セカンド・サード・フォースの4種類があり、それぞれ異なる作業を担当します。
ポジション | 仕事内容 |
チーフ | プロデューサーや監督との打ち合わせ、スケジュール調整、撮影やセット担当の部署とのやり取り、メインキャスト以外の演技指導など |
セカンド | 衣装の準備、エキストラ演技指導担当、チーフ助監督の補佐など |
サード | 小道具の準備、カチンコ担当、チーフやセカンド助監督の補佐など |
フォース | ほかの助監督の指示を受けて働きながらサード助監督の仕事を覚える |
助監督の序列はチーフが1番上、次いでセカンド、サード、フォースと続き、会社によってはフォース助監督の下に見習い助監督がいるケースもあります。
助監督の仕事とテレビ番組制作のADの仕事には共通する部分もあるので、興味がある方は下記の記事もご覧ください。
「女性ADの現状は?メリットやデメリット、活かせる強みを紹介!」
制作部
制作部は、ドラマの撮影が滞りなく進行するように動きます。監督がイメージとするロケ場所の選定や地図作成、使用許可取り、人員整理、スタッフの食事の準備などが業務です。
カメラマン
ドラマ制作の現場にはカメラマンも欠かせません。監督と話し合い、イメージに合った映像を撮影します。
カメラマンになるのに必須となる資格はありませんが、高度な映像技術やセンスが求められるため、映像関係の学校で映像技術を学ぶのが一般的です。
また、就職後すぐにカメラマンとしてドラマを撮影できるケースは少なく、先輩カメラマンについて指導を受けながら仕事を覚えていくことになるでしょう。
カメラマンが扱う業務用の機材は重いものが多く、長時間撮影が続くこともあるため、ハードな仕事に耐えられる体力も必要です。監督の意図を汲み取り、理想通りの映像を撮影するためのコミュニケーション能力も求められるでしょう。
照明
ドラマ制作の現場には、場面構成に合ったライティングを行う照明専門のスタッフもいます。照明は映像に大きく影響するものなので、どこからどのように照明を当てるのかをカメラマンと打ち合わせたうえで業務に入るのが基本です。
照明の当て方にも知識と技術が求められます。そのため、映像関係の学校で照明技術を学んでから就職するのが一般的です。
就職後にいきなり照明担当として現場に入ることは少なく、先輩の照明スタッフのもとで技術を学び、1人立ちを目指すことになるでしょう。
照明スタッフの採用枠は少ないため、有名な照明担当に弟子入りしたり、学生のうちからアルバイトとして現場に入ったりする人もいます。
音声
音声は出演者のセリフや、必要となる周囲の音などを録音し、撮影後に整音を行います。
ドラマ制作に関わる仕事に就くには
ドラマ制作には、さまざまな職種のスタッフが関わります。これらの仕事に就くには、どうすれば良いのでしょうか。ここでは、ドラマ制作に関わる仕事に就く方法を見ていきましょう。
主な就職・転職先
ドラマ制作に携わるには、ドラマを制作する部署があるテレビ局や番組制作会社などに就職するのが基本です。
テレビ局では、学歴が重視される傾向にあり、「大卒以上」を応募条件としている求人が多いです。就職者数では早慶上智が高い割合を占めているため、学力・学歴に自信のない方は番組制作会社を目指すことをおすすめします。番組制作会社の場合は、学生のうちにアルバイトをしてから就職する道もあります。
カメラマンや照明、録音などの技術者としてドラマ制作に関わりたい場合は、専門知識を身に付けるためにも、映像関係の学校に通うのがおすすめです。
ここまで紹介したとおり、職種によって求められるスキルや就職までの道のりが変わってきます。途中で職種を変えるのが不可能なわけではありませんが、下積みが長い職種も多いため、かなり厳しい道になるでしょう。
できるだけ途中で職種を変更せずに済むように、どの職種でドラマ制作に携わりたいのかを、しっかり考えてみることも大切です。
就職・転職のポイント
ドラマ制作に関わりたいのであれば、ドラマが好きであること、映像に興味があることなどを強くアピールしましょう。
テレビ局や番組制作会社は、ドラマだけを作っているわけではありません。そのため、ドラマ制作に関わりたいという意思表示をしておかないと、まったく関係のない部署に配属される可能性もあります。
また、トレンドに敏感な人や体力・精神力がある人、コミュニケーションスキルが高い人はドラマ制作の仕事に向いているといえます。これまでの実績でアピールできるエピソードがあれば、積極的に伝えることをおすすめします。
まとめ
ドラマ制作には、さまざまな職種のスタッフが関わっています。それぞれ求められるスキルや就職までの道のりが違うため、まずはどのような職種があるのかを調べ、希望の仕事を探してみるのがおすすめです。
途中で職種を変更するのは不可能なわけではありませんが、専門知識が必要だったり下積みが長かったりする職種が多いため、かなりの遠回りになります。
できるだけ職種を変更せずに済むように、しっかり下調べしてキャリアプランを立てましょう。学生のうちにアルバイトで現場に入るなどの方法もひとつの手です。